【京都府長岡京市】利用率・満足度90%以上。QRコード入場への変更で行列を解消したジャブジャブ池LINE予約
長岡京市では令和3年度から、市内の水遊び場「ジャブジャブ池」の利用予約を、LINE経由で受け付けるシステムを導入しました。令和6年度からはQRコード入場も開始し、園内に貼り出されているQRコードを読み取ることで、入場受付が完了します。
予約システムおよびQRコード入場を導入した結果、課題となっていた入場時の行列が解消された上、予約者確認カード約6,000枚の入力作業がなくなり、職員の作業時間を25時間から2.5時間と90%削減することができました。
令和6年度の予約件数6,613件のうちQRコード入場の利用率は91.4%、利用者アンケートによる利用満足度は92.4%と、利用率・満足度ともに高い数値となっており、利用者からは「LINEから簡単に予約できて良い」「QRコード受付が非常に便利」といった好意的な意見が寄せられています。
1. 自治体概要
2. 取り組み
長岡京市では、令和3年度から、市内の水遊び場「ジャブジャブ池」の利用予約を、LINE経由で受け付けるシステムを導入しました。
ジャブジャブ池は、毎年4月下旬から9月上旬まで営業しており、一枠100分の入替制です。先着順での完全予約制であり、市内在住者は利用日の14日前、市外在住者は利用日の10日前から予約が可能です。予約はLINEか電話で受け付けています。
LINEでの予約の場合は、長岡京市LINE公式アカウントを友だち追加し、リッチメニューの「申請」から予約を行います。予約したい時間やお名前、利用人数等をトーク形式で答えることで、予約が完了します。
利用当日は、係員による予約確認を行います。
電話予約の場合は予約確認カードの記入が必要になりますが、LINE予約でQRコード入場を行う場合は、園内に貼り出されているQRコードを、利用者のスマートフォンで読み取ることで、入場受付が完了します。
3. 工夫
予約制導入当初は、紙の予約確認カードの記入を必須としていたため、入場時の行列が生じていました。
この課題に対応するため、令和6年度よりQRコード入場を導入した結果、利用者から「紙に記入するよりQRコードの方が簡単で良い」「小さな子供を見ながら申込用紙を書くのが不便だったが、QRコード入場は非常に便利」といった好意的な意見が寄せられています。
また、施設に掲示したQRコードを利用者のスマートフォンで読み取っていただく方式のため、施設側にQRコード読取用端末を設置する必要がなく、低コストでQRコード入場を実現しています。
4. 結果
令和6年度の予約件数6,613件のうち、91.4%がQRコード入場を利用されました。
LINEで予約された方に対しては、利用翌日にフィードバックアンケートを自動配信しており、利用満足度(満足・やや満足)は92.4%、自由意見欄にはデジタル化の進展を評価する声や現場スタッフへの感謝の言葉が多く寄せられています。
また、所管課においては、紙の予約確認カード約6,000件分をExcelに入力し、利用実績を集計する作業が発生していましたが、QRコード入場の導入により、ほとんどが自動集計されるようになったため、作業時間が25時間から2.5時間と90%削減できました。
5. 長岡京市様コメント
今回の手続きの企画と構築に携わったデジタル戦略課の井手さんにお話を伺いました。
-導入経緯
新倉:今回の予約システム導入のきっかけを教えてください。
井手さん:新型コロナウィルス感染症への対応で、令和2年度のジャブジャブ池の利用を停止していましたが、三密回避や利用者名簿の作成を行うことで、何とか再開できないかと担当課から相談をいただき、令和3年度に予約システムを導入しました。
新倉:それまでは自由に出入りできる施設だったのですか?
井手さん:そのとおりです。特に夏休みは混雑し、駐車場に入りきれない車が渋滞を起こし、近隣の自治会から改善要望をいただいている状況でした。
新倉:QRコード入場を導入したきっかけも教えていただけますか?
井手さん:予約制にしてから、混雑は改善されました。しかし、入場前に紙の予約者確認カードを書いていただき、係員がそれをチェックする方式としていたため、入場受付に長蛇の列ができ、利用者の方から「入場をもっとスムーズにできないか」とのご意見をいただきました。
GovTech ExpressでQRコードを使った入場管理ができると聞いていたので、担当課に提案し、令和6年度からQRコード入場を導入しました。
新倉:利用者の声を、すぐに施策に反映するなんて素敵ですね!
井手さん:昨年度も利用者アンケートを行っており、その中で一番多かったのが「入場までに時間がかかる」という声でした。
GovTech Expressを導入してから、住民の声をダイレクトに聞けるようになりました。これはすごいことで、他の手続きでも利用者アンケートを実装すれば、自治体職員の意識も変わるのではないかと感じています。
-効果
新倉:担当課の職員からの声はいかがですか?
井手さん:担当の公園緑地課では紙の予約者確認カード約6,000枚の内容をExcelに打ち直して、利用実績の集計をしていました。QRコード入場の導入により、その大部分がデジタル化でき、作業が10分の1くらいになったので、非常に助かっていると聞いています。
新倉:担当課の業務改善にも繋がったのですね。実際に受付を行なっているシルバー人材センターの方の反応はいかがですか?
井手さん:スムーズに入場していただけるようになって非常に助かっているとのお声と、QRコードの読み取り方法の説明に苦労する場面があるとのお声をいただいています。こういった声を受け、現場の方が説明しやすいように、公園緑地課に資料を作っていただきました。
-今後の展望
新倉:今後の改善予定などはありますか?
井手さん:今年度の利用者アンケートで一番多かったのが、電波に関する意見でした。一部のキャリアが繋がりにくい立地なので、Wi-Fi環境の整備を検討しています。
また、一部のAndroid端末でQRコードが上手く読み取れないということがあったので、今年度の後半からNFCカードを導入しています。QRコードリーダーを起動しなくても、タッチで読み取っていただけるので、設置箇所を増やしていきたいと思っています。
新倉:今後のLINE活用の展望などありましたら教えてください。
井手さん:子ども・障害・高齢関係の取り組みを進めていきたいと考えています。書かない・待たない・行かなくてよい市役所が、ユーザーの求めるものだと思うので、そういうものをどんどん実装していきたいです。
6. 担当パートナーサクセスマネージャーコメント
長岡京市を担当するパートナーサクセスマネージャー黒澤に、今回の行動変容事例について話を聞きました。
7. さいごに
今回、長岡京市の井手さんにインタビューさせていただき、一番印象に残ったのは「住民の声をダイレクトに聞けるようになった」というお話しです。
お話しのとおり、長岡京市では利用者アンケートの結果を真摯に受け止め、QRコード入場やNFCカードを導入する等、利用者の声を施策に反映する取り組みを行なっており、そういった姿勢が利用満足度92.4%の秘訣なのだと感じました。
利用者アンケートでは、現場スタッフへの感謝の言葉が多く寄せられており、このような良い循環を生み出す事例を増やしていきたいと考えています。
施設予約や入場受付業務は、どこの自治体でも発生している業務かと思いますので、今回の事例が参考になれば幸いです。
また、今回の事例では、「市内在住者と市外在住者で予約開始日を分ける」「同じ人が何度も入場できないようにする」など、細やかな要件が多数ありましたが、担当のパートナーサクセスマネージャーが設定方法を提案し、長岡京市の求める要件を実現することができました。
GovTech Expressは柔軟なカスタマイズが可能で、自治体ごとに異なる要件にも細やかに対応することができますので、施設予約やQRコード入場を検討している自治体がありましたら、担当のパートナーサクセスマネージャーまでお気軽にご相談ください。
※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。