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【鹿児島県さつま町】QRコードをスキャンするだけ。避難所受付のデジタル化で、避難者情報をリアルタイムに集約

災害発生時には、スピーディーかつ適切な判断が常に求められます。鹿児島県さつま町では、避難者に氏名・電話番号・住所を記入いただき、その内容を職員がメールや電話、MCA無線を使って対策本部へ報告していたため、避難状況の把握に時間がかかってしまったりと、様々な課題が挙げられていました。
これらの課題を解決するための実証実験がスタートしていますので、ご紹介します。


1. さつま町の概要

人口:18,843人(令和5年7月1日現在)
LINE開設:2018年2月
LINEの機能:コロナワクチン予約、受信設定、ごみ分別検索、避難所検索、自主避難申告
アカウント名:さつま町
LINE ID:@satsumatown

2. 避難の流れ

これまでの避難所運営では、

  1. (住民)避難者名簿を記入

  2. (避難所職員)避難者数をメール等で報告

  3. (対策本部)報告内容を別ファイルにまとめる

と、避難当日に複数の作業が発生していましたが、QRコードをスキャンするだけでこれまでの一連の流れを、一人の避難者当たり約10秒で完結することを可能にしました。

住民による事前登録

住民は、避難者名簿に記載していた情報(氏名、電話番号、住所)をさつま町LINE公式アカウントに登録し、専用のQRコードを発行します。
避難当日はこのQRコードを見せるだけで避難手続き完了。一度登録しておくだけで何回でも使用する事ができます。(※一人のLINEアプリで複数人の登録も可能です。)

避難所運営職員による避難者管理

避難者から提示されたQRコードをスマートフォンもしくはタブレットのカメラでスキャンします。スキャンが完了すると、避難者情報の他に避難した場所、入所日時が管理画面上に自動保存されます。

また、避難者が退所する際に同じQRコードをスキャンすると、データベースの同じ保存先に退所日時のみが保存されるため、避難者情報が重複することはありません。

対策本部による避難所状況のリアルタイム把握

事前にレポートを作成しておくことで、報告内容をまとめる必要なく全避難所の状況をリアルタイムで把握することができます。
もちろん特定の避難所のみを抽出や、過去の避難状況を確認することも可能です。

3. 工夫した点・特徴

避難所の混雑状況の確認

避難所の混雑状況をLINE上で確認することができます。
こちらの機能は「スポット検索機能」を活用していますが、スキャンで入所報告をした避難者数と連動しており、手動で変更する必要はありません。

QRコードの代理発行

スマートフォンを持っていない、LINEアプリをインストールできない、といった住民の方もいます。さつま町では、要援護者やQRコードを発行できない方については、QRコードを代理発行して対象者に郵送することで、全住民が利用できる仕組みを構築しました。

4. さつま町様コメント

さつま町総務課 主査 髙木 繁典様(写真右側)、同課 主事 上西 雅人様(写真左側)

さつま町総務課 主査 髙木 繁典
本町においては、町の中心部に一級河川が流れており、過去の豪雨災害で浸水被害を経験した住民もいることから、「安全・安心なまちづくり」を目指し防災対策に尽力しております。

GovTech Expressでは、様々な機能が随時アップデートされているのを知っており、この機能が「園児チェックイン」としてリリースされた頃から、別の機能に応用できる汎用性を感じており、スポット登録として機能を拡充された際に、避難所機能として使えないかご相談させていただきました。

パートナーサクセスマネージャー(以下PSM)の伴走支援により、機能実装のスピード感は充分感じましたが、PSM以外から頂いた社内のご意見も情報共有していただき、リリースまでに多くの機能提案や改善が行われました。

本町ではモデル地区で住民周知を行い、実証実験を開始しておりますが、実際に大規模な災害が発生しないと避難するケースは少ないため、事前登録を促す、災害以外の新たなきっかけ作りも必要だと感じています。
また、高齢化率も高く、スマホを使いたがらない住民への対策は継続的課題であり、既存の避難が必要となる方との連携方法も検討中です。

将来的には「避難者がQRコードを持参して避難する」という行動変容が日常化するために、今後もBot Expressさんと多くの機能改善に取り組みたいと考えています。

さつま町総務課 主事 上西 雅人
今回轟原地区の住民を対象に説明を行いましたが、スマホですぐに登録ができる方がいる一方で、スマホを持っていても自分では登録ができない方やスマホを持っていない高齢者も多数いらっしゃり、登録に結びつかないこともありました。そのような方々に対するフォローなどまだまだ課題がありますが、QRコードの代理発行などを活用して少しずつ広げていきたいと思います。

まだ実証実験中であるため、しばらくはQRコードと紙の受付の併用が必要かと思いますが、実際に避難された方へ説明をするなどして登録を促していき、住民、職員ともにメリットを感じられるようにしていきたいと思います。

5. さいごに

昨今、線状降水帯の発生など豪雨が増加している中、スピーディーかつ適切な防災情報の発信及び避難所運営はまず初めにクリアしなければならないポイントであり、多くの自治体で課題に挙げられているのではないでしょうか。
この機能は、過去に甚大な被災を受けて、誰一人取り残さずに住民を守りたいという担当者の熱い想いからアイディアを出し合って実現しましたが、GovTech Expressでは柔軟かつ誰でも利用しやすい仕組みを構築することが可能です。

この機能を利用するにあたっては、避難者は「QRコードを見せる」、避難所職員は「スキャンする」というルールを徹底するだけで、簡単に運用ができる仕組みになると思います。まちの安心・安全を強化するため、全国で検討いただければと考えています。

GovTech Expressを利用している自治体であれば、追加費用なく実装することができますので、導入を検討される場合は是非パートナーサクセスマネージャまでご相談ください。

▼プレスリリースはこちらhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000096169.html

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