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【福岡県八女市】保護者9割が利用する入学祝い金申請。教育委員会の業務負担を半分に軽減し、教職員の働き方改革を実行

八女市では、小・中学校に入学する子どもの保護者に支給する入学祝い金の申請をLINE経由のオンライン申請に変更しました。この結果、祝い金支給に関する教職員の業務は「案内文書を配布するだけ」に、教育委員会の業務時間は「半分」に減らすことができました。


1. 自治体概要

人口:59,695人(令和6年8月末現在)
LINE開設:2020年4月(@yamecity)
LINE機能:住民票の申請、印鑑登録証明書の申請、ごみ分別検索、ごみ収集日通知、ファミサポ会員登録、子育て教室予約、確定申告窓口予約、道路の通報、入学祝い金の申請

2. デジタル化した理由

入学祝い金の申請は、毎年3〜4月に事務が集中しており、短期間に非常に多くの申請を処理しなければなりません。学校を介して保護者とやり取りをするので、調整にも多くの時間を要していました。そこで、ほとんどの保護者が今すぐ使えるであろうLINEを使った申請のデジタル化を行うことにしました。

3. 導入前後の業務フローの変化

業務フローのBefore/After

Before

  1. 教育委員会から各学校へ案内文書と申請書を配布。

  2. 学校の先生は児童・生徒へ案内文書と申請書を配布。

  3. 保護者が申請書を記入。

  4. 児童・生徒が学校の先生に申請書を提出。

  5. 学校の先生は申請書を回収して教育委員会に提出。

  6. 学校の先生は未提出の保護者に提出を催促。

  7. 教育委員会は紙の申請書の内容をExcelに入力。

  8. 教育委員会は申請内容を確認し、不備があれば保護者に連絡。

  9. 保護者は申請内容を修正して申請書を再提出。

  10. 交付決定。

After

  1. 教育委員会から各学校へ案内文書を配布。

  2. 学校の先生から児童・生徒へ案内文書を配布。

  3. 保護者がLINEで申請

  4. 教育委員会は申請内容を確認し、不備がある場合は保護者のLINEにメッセージを送り申請内容を確認。

  5. 保護者がLINEで回答。

  6. 交付決定。

4. 工夫した点・特徴

申請内容に不備があった場合は、保護者に電話をするのではなく「フォローアップ機能」を使いました。 フォローアップ機能を使えば、保護者のLINEに質問を送ることができますので、日中何度も電話をかける業務がなくなり、「相手が電話に出ない」という悩みからも開放されます。 また、LINEを使うと保護者からの返信がとても早く、申請内容を迅速に確認することができました。

保護者への連絡・Before/After
フォローアップの送信操作を行う画面(左)とユーザーのトーク画面(右)

5. 結果

令和6年度の申請では、対象者1,004件中約89%の895件がLINE経由で申請を行いました。
教育委員会の申請処理にかかる時間は、LINE経由だと紙申請に比べて1件あたりこれまで10分かかっていたところを5分程度短縮し、処理時間全体では約75時間の業務時間の削減効果がありました。
また、教職員の業務は案内文書を配布するのみでその他の事務作業は不要になりました。
LINE経由で申請を行なった住民からは「スマホで簡単に申請できた」「夜間に申請ができるのがよかった」などの声を聞くことができました。

6. 担当職員の声

  • 紙で受け付けた申請内容をエクセルに入力・確認する手間が減りました。

  • LINE上でいつでも質問・回答を行う事ができ、保護者からの回答率は100%でした。電話だと時間を配慮してかけるも中々つながらなかったり、折り返し電話に担当者不在で対応できなかったりすることがあるので、確認作業が楽になった実感があります。

7. さいごに

学校教育の業務は、学校と教育委員会という複雑な組織体制によって事務が煩雑になりがちです。しかし、八女市の取り組みはその解消に向けた非常に優れた事例だと思います。

従来、教育委員会の職員は、保護者との連絡調整には学校の先生を介した方が効率的と考えていたかもしれませんが、この事例はそのイメージを覆しました。

八女市の事例では、LINEを利用することで、保護者との迅速なやり取りが可能となり、事務作業が大幅に効率化されました。さらに、この事例は教職員の働き方改革にも大きく貢献しています。従来、申請書の配布や回収に多くの時間を要していたところ、オンライン申請の導入により教職員の業務負担は案内文書を配布するのみになりました。
これにより、教職員は本来の教育活動により専念でき、働き方改革の一環としても非常に意義深い取り組みとなっています。他の自治体でもこのような改善が進むことを期待しています。

<参考資料>


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