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【沖縄県竹富町】公衆トイレやFree Wi-Fiの位置検索がLINEから可能に。観光客の受入環境整備に活用

竹富町では、GovTech Expressで作成した手続き・機能を2023年8月16日から公開していますが、今回はその中から住民だけではなく旅行や出張で訪れた人にもうれしい公衆トイレとFree Wi-Fiのスポット検索機能を紹介します。


1. 自治体概要

人口:4,247人(2024年2月末時点 竹富町HPより)
友だち数:4,865人(2024年3月29日時点)
LINEのトーク上で完結する手続き:住民票の申請、税証明書の申請、離島割引カードの申請、離島振興総合センター等の施設予約、公衆トイレ、Free Wi-Fi検索、受信設定
LINE ID:@taketomicho

人口に対する友だち登録率は脅威の114%!

2. 取り組み

今回の手続きは、利用者がトーク上から位置情報と検索範囲の2つの情報を送信すると、指定した範囲内に存在する公衆トイレやFree Wi-Fiの情報(スポット)や経路を確認できるというものです。


ご覧のように、他のアプリをダウンロードしなくても機能を利用することができます。また、位置情報は竹富町内のもののみ送信が可能。トーク上に表示された[経路]のボタンをタップすると、送信した位置情報からの経路を表示してくれます。検索も30秒もかからずに行うことができます。

表示したいスポット名などを管理画面に取り込むだけで実装が可能で、他の自治体では職員のアイディアから生まれた「オムレツ店」の検索(橋本市)や「AED設置場所」の検索(渋谷区)が実施されています。

インポート用のCSV例。備考欄には洋式トイレの有無を表示するなど自治体によって工夫をすることも可能です。

3. 職員インタビュー

今回の機能の企画と構築に携わったDX課の久保田さんにお話しを伺いました! 

- 経緯

中原:私は旅が好きなのですが、土地勘がない地域で利用できるトイレを探すって結構切実な問題だなと思っていたので、竹富町さんの機能を見たときは、「考えた人、すごい!」と思ったのを覚えています。この機能はどういうった経緯で生まれたものなのでしょうか?
久保田さん:当時、竹富町を担当している淺田さんから、トーク上で避難所検索*ができる機能を紹介いただいたのですが、「これって他の種類のスポットも検索できますか?」と質問したのがきっかけでした。

公衆トイレとFree Wi-Fiを取り上げた理由としては、町内にはコンビニがなく、早朝や深夜に開いている施設もないのですが、観光・集落エリアごとに距離も離れているため、公衆トイレがどこにあるのかという情報は、観光客はもちろん、町民にも喜ばれる機能だと思ったからです。また、町内は携帯のプロバイダによってネットが繋がらない場所があるので、日頃からFree Wi-Fiの位置情報を公開して情報共有する必要があると考えていました。

*避難所検索:現在の位置情報と検索範囲の情報を送信すると、該当する避難所がトーク上に表示されるもの。当初は避難所のみ検索が可能だったが、自治体からの要望を受け、様々なカテゴリのスポット情報が検索できるようにアップデートされました。

普段の様子(仲良さそう^^)

中原:特定の場所の検索はインターネットからもできますが、GovTech Expressで構築した場合は、どのような点が便利だと感じましたか?
久保田さん:インターネット検索より位置情報にたどり着くまでの工数が少ないのと、行政運営する公式アカウントの情報という安心感、またトーク上からであれば利用者はテキスト入力しないでよいという点が利点だと思います。

- 構築から公開まで

中原:公開まで担当課とはどのような分担をしたか教えて下さい。
久保田さん:GovTech Expressでできることを知っているのが自分だったので、担当課とLINE上に盛り込みたい機能について意見交換をしたうえで、トーク上で確認できる形まで自分で作り込んで担当課に負担がかからないように進めました。

中原:スポット情報のとりまとめは大変だったと思うのですが、元々もっていたデータで活用したものなどあったのでしょうか?
久保田さん:竹富町が公開しているオープンデータの中に、公衆トイレ一覧や公衆無線LANアクセスポイント一覧がすでにありましたので、それを利用しました。

竹富町オープンデータカタログサイトより

- ビジョン

中原:LINEアカウントを運用している自治体は多いですが、切り替えたメニューの一面を観光メニューにする自治体は意外に少ない中で、竹富町としてはどのような狙いがありますか?
久保田さん:竹富町は観光業に力を入れています。宿泊飲食業やレジャー業などの事業者も多く、町民も観光客の動向は注視しています。一方で、観光客のマナーに関することや各地域の情報発信など、町が観光客に対して情報を提供できる環境が非常に重要となっています。

西表西部の浦内橋。浦内川は橋の近くから遊覧船が出ており、上流の軍艦岩で下船するとトレッキングでマリユドゥの滝、カンビレーの滝も見に行けるそう。ツアーもあるようです♪

また、各島それぞれ特色・魅力がありますので、ぜひ自分が住んでいる島以外の良さをより知ってもらうことができればとも思いました。竹富町においてはふるさと納税が重要な収入源となっており、ふるさと納税の導線としての狙いもあります。

8つの島からなる竹富町は島によってカラーが違うそうです。マンガを読むことで、町民が他の島ことを知るきっかけにもなりそうですね

中原:観光が主力産業のまちということですが、LINEやGovTech Expressの強みを生かしてどんなアカウントに育てたいですか?もし実際にやってみたいアイディアなどあれば教えてください。
久保田さん:町公式LINEアカウントで観光客向けに情報発信をすることで観光にきた方が快適に竹富町を楽しみ、ファンになって自宅に帰ったあともふるさと納税等で竹富町とつながりを保ってまた観光に来る、という循環をつくれたらよいなと考えています。今後は全島スタンプラリーや道路などの不具合報告機能を利用した町民と町政共同のおすすめポイントマップ作りなどできたらよいかなと思っています。

DX課の職員のみなさん

4. さいごに

観光庁によると、外国人観光客に対して行ったアンケートでは旅行中に困ったことで最も多いものが「Free Wi-Fi環境」という結果があります。また、トイレの利用・場所・設備については、Free Wi-Fi環境ほど困ったと回答した人の人数は多くないものの、困ったシーンを尋ねると、いずれも「観光地」が最も多い結果となっています(2019年「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」結果より)。

これらは国内観光客に対してのアンケート結果ではありませんが、その土地に不慣れという点では観光客に共通した課題といえるため、今回の取り組みは観光地が抱える課題を解消する施策の一つとして価値があるものだと考えています。

観光スポットにLINE公式アカウントのQRコードを設置し、簡単に友だち追加できるようにすることで、友だちになった観光客へ対して自治体から直接情報発信を行ったり、災害時に避難所検索機能への誘導を行ったりすることも可能です。

新しく観光アプリをつくらなくても、GovTech Expressでできることはたくさんあります。「こんなことできたら面白いんだけど」というアイディアでも大丈夫ですので、希望する機能などがあれば、是非、担当のパートナーサクセスマネージャにご相談ください!


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