【国税庁】300万人が登録。全国の確定申告会場での申告相談をLINEで受付
2021年1月より全国の税務署含む確定申告会場での現地相談をLINEから申し込めるようになりました。
当然、確定申告はe-Taxを活用して現地に行かずにオンライン申請が理想的です。ただし、諸般の事情で申告にあたり職員のサポートを必要とする方々もいらっしゃると思います。そのような方々が、できるかぎり密にならず、寒空で長時間待たされることなく相談をおこなっていただくための仕組みとして、LINEで事前に時間を指定し、相談を申し込める、というものです。
利用方法
まずQRコードをスマホのカメラで読み取って国税庁のLINE公式アカウントを友だちに追加します。
画面下部のメニューから「相談を申し込む」をタップします。
申告会場を選択し、相談に行く日時をカレンダーから選択して「確定」ボタンをタップします。
申込内容を確認し、問題なければ「申込」ボタンをタップすると完了です。友だち登録から1分あれば完了できます。
プロジェクトを振り返って
このサービスはGovTech Expressの「トークで予約」機能を活用して提供されています。この機能はこれまでも市区町村で活用いただいていますが、今回は全国の何万人という納税者の方々がご利用されるとともに、バックヤードも国税庁および全国の国税局、税務署の2600人以上の職員の方々にご利用いただくという大規模なプロジェクトです。
通常こういった国のシステムはかなりの期間をかけて設計・開発されてきたと思いますが、今回のプロジェクトは契約からサービス提供開始までが約3ヶ月というExpressデリバリーです。こういった案件は「まずは設計書作って・・」というやり方ではなく、まず仮説に基づいてプロトタイプを一気に作成し、それを開発側・発注者側で使い倒しながらブラッシュアップしていくという当社が得意とするプロトタイピング方式で進めてきました。
常に資料ではなく「出来上がりイメージ」を直接確認しながら磨きをかけていくので、仕様書に頼るよりも認識のギャップを最小化することができ、合理的なサービス開発が可能になります。プロトタイプが先行することで、これまで作り過ぎていたドキュメント類についても「本来必要なもの」を見極めることができ、ミニマムに抑えることができます。
スクラッチから開発するのではなく、民間事業者の今あるサービスに乗ることで時速300kmからスタートし3ヶ月でゴールできる。こういった事例を積み上げることで、今後の国のデジタルプロジェクトにおけるリファレンスとなり、これまでの調達方法・開発方法に捉われず、行政サービスにおいてテクノロジーをアンロックする一助になれば幸せです。
次のプロジェクト・自治体に還元される製品開発
今回のプロジェクトにあたり「トークで予約」機能には多くの機能拡張をおこないました。そのほとんどは大きな機能追加というよりは文言変更やボタンの表示・非表示をより柔軟に切り替えることができるという軽微なものです。ただし、官公庁プロジェクトではこういった痒いところに手が届くことが意外に重要で、既製品ではそれに対応できず個別開発になることがこれまで少なくなかったと思います。
このプロジェクトにおける開発は個別開発ではなく、あくまでも製品の機能拡張として実施しており、上記のような機能強化は現在当社サービスを採用いただいている団体、および今後採用いただくすべての団体で追加費用なく利用できるものとなります。
GovTech Expressはこのように個別プロジェクトで ニーズを拾う => 製品を拡張する => 他の団体にも適用される という開発サイクルを繰り返すことで、個別プロジェクトを進めつつも個別開発にはせず、1団体からの開発投資があると全国すべての自治体・官公庁で恩恵が受けれるという仕組みを確立しています。
これは、現在謳われている自治体システム統一や共通化というコンセプトに対する当社の具体的なアイデアです。物理的に大規模な共通基盤を作ろうとすると開発に費用と時間がかかり、できるころには古くなる。大規模で共通なので頻繁なアップデートが難しく、改善にかかるコストが莫大になってしまいます。結果、「共通化したけど使われないシステム」になり、歴史が繰り返してしまいます。
共通化においては国は手続きの仕様を統一することにフォーカスし、実装は国の予算をかけて基盤を作るのではなく、共通の仕様にあわせて民間事業者が開発し、競争することで健全なプレッシャーの中で常に改善をおこなっていく。これは、国にとって、地方自治体にとっても、住民にとっても、民間事業者にとってもWin-Win-Win-Winな仕組みだと考えています。
当社ではこのような考えのもと、「論ずるより体現」を理念としてノンストップで事業活動を進めていきます。