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【長崎県川棚町】LINE申請率は76%。3日で支給できるギフトURLを使った生活応援事業

各自治体で物価高騰の影響を受ける住民への支援が行われていますが、川棚町ではLINEからの申請者へ対して、キャッシュレス決済サービスで使えるポイントを付与する事業(川棚町マイナカード生活応援事業)が実施されました。

今回の申請手続きでは、GovTech Expressを活用し
 ①自治体のLINE公式アカウント上で
 ②PUSH配信により
 ③対象者ごとに異なるポイント受け取り用URL(ギフトURL)を配布
する仕組みを構築しています。

審査済みの対象者には画像(右)のようなメッセージが送信されます

1. 自治体概要

人口:13,168人(川棚町HPより)
友だち登録者数:6,003人(2024年2月29日時点)*人口の約45%
LINEのトーク上で完結する手続き:住民票・税証明書申請、新型コロナウィルスワクチン接種予約、総合健診予約、ごみ収集日通知など
LINE ID:@kawatanatown

2. 事業と取り組み

(1)事業
マイナンバーカードを保有する19歳以上の川棚町民(平成17年4月1日までに生まれた方)であれば、LINEから申請を行うとポイントを、窓口で申請を行うと商品券を受け取ることができます。

申請方法は2種類ありますが、いずれもマイナンバーカードを使った本人確認が必要となります(事業詳細はこちら)。

川棚町ホームページ画面

(2)取り組み
LINEからの申請であれば、申請から付与までは以下のような流れで行われます。

◆申請
LINEからの申請の場合、申請者はトーク上で確認事項を読み、マイナンバーカードをかざすだけで申請が完了します。所要時間は30秒ほどです。

GovTech Expressデモアカウントで手続きを再現したもの

◆審査
同一人物が端末を変えるなどして重複した申請を行っていないかや、マイナンバーカードから取得した情報から町民かどうかのチェックを行います。

管理画面の審査ステイタスを[審査済]へ変更することで、ギフトURLの付与対象者のフラグ立ては完了します。

申請のステータスを変える様子

◆付与
付与対象と認定された個々の申請に紐づける形で、ギフトURL等の情報をインポート(CSVデータの一括取り込み)します。次に審査の過程でフラグを立てた申請者(ステータスが[審査済み]になっている方)をセグメントにして、当該ギフトURLを確認できるアンケートを一斉配信します。これにより自治体のLINE公式アカウント上でPUSH配信でギフトURLの配布が完了しました。

上記③でアンケートを使ったギフトURLの配布を行います

ちなみに、アンケートを受け取った申請者は、ボタンをタップすることでギフトURLを確認できますが、ボタンをタップ=アンケートを起動(開封)した場合、ステータスが自動で[送信済]へ変更されます。

ギフトURLは複数回に分けて配布されましたが、川棚町では、新たな付与対象者に配信を行う際には、既に配布した方のうち、まだアンケートを開封していない方(ステイタスが[送信済]になっていない方)にもリマインドをかねてアンケートを配信しました。

3. 結果

申請件数は、窓口が1,237件に対して、LINEからの申請は4,066件と、全体の約76%がLINEからの申請となっています。

給付にかかった日数は、窓口での申請は受付を2月14日に締め切り、発送したのが29日とのことだったので、少なくても2週間ほどの期間が必要でした。一方で、LINEからの申請であれば1日から3日で給付できたとのことだったので、より早く住民にポイントを届けることができました。

この他、LINEからの申請であれば、土日にも申請を行えるほか、期限である2月14日の夜中0時まで申請を行えるため、忙しくてついつい忘れていた方も駆け込みで申請することができます。なお、開庁時間外*に申請された方は、LINEからの申請全体のうち約69%でした。
*土日または月~金の8:30~17:15以外の申請

4. 職員インタビュー

今回の手続きの企画と構築に携わった総務課行政係の井原さんと中村さんにお話を伺いました!

- 導入経緯

中原:川棚町は、2022年1月からGovTech Expressを利用されているため、機能的なことはだいぶご存知かと思いますが、GovTech Expressのどのような部分がポイント付与事業と相性がよいと思われましたか?
中村さん:追加のアプリをダウンロードしなくてもマイナンバーカードをかざして本人確認ができる点や、同一端末からの申請用アンケートの起動を1回に制限できる点です。これにより、同一人物が自身の端末から何度も申請しているかどうかを審査しなくてよいというメリットがありました。

また、特定の条件に合致した場合に途中で手続きを終了させることもできるので、この点も職員の審査の負担を減らすことができ、相性が良いと思いました。対象外の方にはフォローアップという機能を使ってトーク上で個別にメッセージを送信できるので、電話でコミュニケーションを取らなくて良い点も作業時間の削減に繋がったと思います。

中村さん

- ギフトURLを選んだ理由

中原:給付方法は、現金や商品券など含めて様々な選択肢がありますが、今回選択されたギフトURLについては、どのような点に利便性を感じたのでしょうか?
井原さん:付与はギフティが提供する「えらべるPay」を採用したのですが、住民が「えらべるPay」のラインナップの中から付与されたポイントとPay系等の商品を自由に選び交換できることと、自治体からはURLを送信するだけでポイントを付与できることが便利だと思いました。

※注記参照

中原:周知の面ではどのような工夫をされましたか?また、LINEを入り口にすることで期間中の友だち数に変化はありましたか?
中村さん:町広報誌のほか、町ホームページ、新聞折込チラシでも周知を行いました。また、友だち全員へ対してPUSH配信でも周知をおこなったのですが、イラストを使った配信を行ったり、最終日にリマインドの投稿を行うなどの工夫も行いました。ちなみに、受付期間中の1月27日~2月14日の間に、友だちは1,887人増加しました。

- ビジョン

中原:川棚町のGovTech Expressの活用状況を見ていると、単にオンライン手続きを増やすだけではなく、住民がオンライン申請に慣れてもらう仕掛け・仕組みを意識されいるように感じます。DXを進めるうえで、大切にしていきたいことはどういったことでしょうか?
井原さん:行政がどんどんオンライン手続きを増やしても、住民が「使い方が分からない」という状態がある限り、活用率を上げるのは中々難しい部分があると思います。そういった意味で、今回の取り組みは、給付の目的を果たすだけではなく、マイナンバーカードをかざすオンライン手続きの操作感を体験していただく機会としても重要な役割を果たしたと考えています。

川棚町では住民票や税証明書の申請がマイナンバーカードをかざすことでLINEから行うことができるので、今回の事業に申請された方は操作に迷わず証明書申請が利用できるのではと期待しています。

今後も、単にオンライン手続きを増やすだけではなく、利用のハードルを下げるような工夫も意識しながら町のDXを進めていきたいです。

井原さん

5. さいごに

2020年の国の特別定額給付金事業は、「簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行う(総務省HPより)」ことを目的に実施されました。

ここで挙げられている「迅速さ」と「的確さ」は給付事業に共通する重要なポイントといえますが、限られた自治体職員のリソースでこの2つを担保するためには、「封印や発送業務など工数そのものをなくす」「審査プロセスにシステムの力を借りる」という両方の視点を持ち、人海戦術に頼らない仕組みづくりが必要になるのではないでしょうか。

今回のようなオンライン経由の給付であれば、書類の封印や発送業務などから職員を解放することが可能です。また、同一端末から重複申請があれば申請を受け付けないなどの決まったコマンドの処理はシステムが得意とするところで、GovTech Expressであればマイナンバーカードを読み取った住所情報から、当該住所に特定の自治体名が含まれていなければ申請を受け付けないといったことも実現が可能なことからも、審査をともなう手続きとGovTech Expressは相性が良いと考えています。

なお、GovTech Expressであれば、自治体側で給付の方法を選ぶことができ、ギフトURLの配布以外にも、セブン銀行ATM受取、LINE Pay・Amazonギフトコード(用途を限定することが可能)・QUOカードPay送金を利用いただくことができます。

GovTech Expressを活用した審査方法についてもアドバイスが可能ですので、給付事業を検討している自治体があれば、担当のパートナーサクセスマネージャーまでお気軽にご相談ください。

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注記1:
※PayPayポイントは出金、譲渡不可です。PayPay/PayPayカード公式ストアでも利用可能です。
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