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【岡山県岡山市】市立学校126校に導入、学校連絡システム(セミナーレポート)

7月31日、「岡山市立学校126校に導入されたLINEを使った学校連絡システム」をテーマに、岡山市赤枝様をお招きし「Bot Express Showcase 第16回」を開催しました。自治体職員の管理画面もお見せするデモンストレーション含むアーカイブ動画と、ポイントを書き起こしたイベントレポートをお届けします。


1.事例紹介

登壇者

岡山市 教育研究研修センター 情報教育推進室 室長 赤枝辰哉様
岡山県の特別支援学校、岡山市の公立小学校教諭として、12年間勤務。2017年から岡山市教育研究研修センター指導主事、2021年新設の情報教育推進室で今年度より室長として勤務。GIGAスクール構想の推進とともに、昨年度から保護者の負担軽減と教職員の働き方改革の推進のために、保護者連絡ツールの導入に関わっている。

▼岡山市概要

人口:699,698人(2023年5月)
岡山市立学校:126校
登録者:約41,000人/50,902人(児童生徒数)

▼保護者連絡ツールの機能

主に以下3つの機能があります。
・保護者が学校へ欠席等の連絡する
・学校または教育委員会から保護者へ連絡する
・学校・教育委員会から保護者へアンケートを実施する

▼導入の背景
・文部科学省の通知(学校が保護者に求める押印の見直し及び学校・保護者等間における連絡手段のデジタル化の推進について)、校長先生からの要望
・保護者負担を軽減
朝の忙しい時間帯の連絡は保護者にとって負担になると考えました。
・教職員の働き方改革

▼LINEを活用した理由
・市の施策
公式LINEを強化するという話があり、岡山市が施策を進める中で、教育委員会としても何か貢献できないかと考えました。
・認知度の高さ
LINEは広く知られ、使用する人が多いことがメリットだと考えました。
・保護者の負担軽減
新たなアプリのインストールが不要なので導入負担が少ないと感じました。

▼導入までの流れ

オンラインMTGや岡山市での現地打ち合わせ、関係課にも話を聞きながら導入を進めました。2月の実証校(1校)では、実際に導入した学校から色々な声を聞く中で、必要な機能を実装・機能改善(メッセージ配信の簡素化、地域の方への送信設定など)をしていきました。
岡山市では4月の公開に向けて、学校現場で使えるようにマニュアル、説明動画を作成、各校が使えるようにSalesforceを設定しました。合わせて文書の準備も進め、4月3日の開始と共に文書を発出しました。
開始直後しばらくは問い合わせが続きましたので、Bot Express社の協力を得て、学校向けにオンライン説明会を2回実施しました。

▼導入の効果

教職員は、朝の電話が減少、印刷・配布の時間短縮などの負担軽減などの効果

▼Bot Expressからのサポート
・学校の特性、個別の要望、教職員の負担軽減のための操作方法等に関するシステム改良:教職員の負担軽減のためには、簡単で分かりやすいことが前提だとお伝えし、操作の手数が減るように、管理画面で移動が少なくなるように機能を改善していただきました。
・学校を対象にしたオンラインでの説明会
・教育委員会からの質問にメールやフォームで対応

▼今後に向けて
・年度末と年度初めの作業簡略化
学校も保護者も少しでも手数が減るように検討していきたいです。
・機能を考慮した運用ルール
機能上変えられない部分は、運用でカバーしていきたいと思います。
・端末、アプリの未利用者への対応の検討
スマホを持たない、LINEに抵抗がある保護者の皆様への適切な対応を検討していきたいです。

126校全てが同じように使っていけるように、登録者100%に近づくようにどうしたら良いか、教育委員会や学校で考えていきたいと思います。

▼学校欠席連絡のデモ

2.質疑応答

回答は岡山市赤枝様。

Q:メール配信サービスなどを使用していたか?切り替えに際して工夫・苦労した点は?
A:岡山市でメール配信サービスは導入していませんでした。学校ではそれぞれ異なるものを使っていたので、切り替えには学校も教育員会も大変苦労しました。使い慣れたものを変えるのは負担だったと思いますが、研修会やオンライン説明会などで説明していきました。

Q:保護者連絡に係る他サービス(まなびポケットの活用など)と比べての長所・短所
A:長所は素早く機能改善に対応いただいたことです。これは他の連絡ツールではないことだと思います。Bot Express社には、私たちの要望に丁寧に対応いただきました。
短所は学校専用のシステムではないので、操作や運用方法を理解してもらうため、一から説明しなければならなかったことです。

Q:外部システムへの欠席情報取り込み等を想定しているが可能か
A:CSVデータとして取り込めるので、外部システムの中にインポートすることで可能かと思います。(Bot Express淺田)

Q:Salesforceアカウントは各校に設定しているか?
A:各校1アカウントずつ配布しています。各校が保護者に連絡ができるように、その学校しか見えないように設定しています。

Q:PTA連絡の場合、学校教育もしくは教育委員会職員が配信しているか?
A:学校職員がしています。PTAから連絡を受けて、教頭先生などが配信しています。

Q:地域の方(地域学校協働活動推進員)と学校とのやりとりも有効か?
A:双方向でのやり取りではなく、「会議があるので何時に来てください」といった一方からの情報を配信しています。

Q:学校からの発信は、市からの発信と同じトーク上に表示されると思うが、保護者等に見てもらえるような工夫は?
A:セグメント配信で自分の欲しい情報だけ届くようになりますが、その機能を使って制限しています。
学校からは「○○学校です」と冒頭に記載するよう伝えています。

Q:保護者の方への周知方法は?
A:各学校が、保護者に紙で配布しています。学校によってはHPに登録方法のマニュアルを公開しているようです。

Q:各学校は自分の学校情報しか見られないように制御されているか?
A:はい、自校のみが見られるよう設定しています。「担任はクラス情報しか見られない」など詳細の設定も可能です。

Q:学校側のネットワークはどう接続しているか?
A:教職員が使うネットワークに接続して作業いただいています。

Q:児童の情報はどのように登録しているか?
A:岡山市の方法は、児童の情報は事前にアップロードはしておらず、保護者側が登録する形を取っています。学校側で全ての児童情報を用意できるのであれば、それを予めインポートし、結びつけて運用することも可能です。
どういった運用をしたいかによって方法が異なってくるかと思います。
今回の岡山市の方法だと、年度が変わったタイミングで再登録していただく必要があります。(Bot Express中嶋)

3.「スマホ市役所」を実現するLINE拡張サービスGovTech Express紹介

Bot Expressの代表中嶋より、GovTech Expressについてご紹介しました。

今年の2月に急ピッチでリリースを進める中で、先んじて実証校1校を設けたのは非常に有意義な取り組みでした。
実際に学校に伺うことで、どういった部分が実運用で課題となるかが明確になりました。
例えば、学校側からメッセージを送る部分では、クラス単位・学年単位で連絡を送りたいというニーズがありました。元々ある機能でしたが、「宛先IDを入力して送信する」という一手間が負担になるという現場からの意見があり、チェックボックスで選択する形に変更しました。
「一手間をなくしていく」「一つの手順をできるだけ省いていく」ことは、使われるシステムになるために、大変重要なポイントだと思っています。
これは、住民側のインターフェースや職員側の管理画面のどちらにも共通していて、できるだけ手順を減らすにはどうすれば良いか、を考えていきたいと思います。

今回は、手順を少なくしていく、より多くの人たちが使えるようにするための計画をお話をしたいと思います。

▼脱・申請
名前、住所、家族の情報はどの申請用紙にも存在していると思います。これは住民側からするとストレスに感じるのではないでしょうか。
役所に届けてある情報ですので、本来は役所側で把握できることで、ポイントとなるのは本人確認さえしっかりできていれば、全て自身で入力する必要はないかと思います。

例えば未就学児支援の給付金事業では、対象者は決まっていて、役所側では把握できる仕組みになっていますが、これまでは、まず対象者が自分で申請する必要があったかと思います。

これまでは、自治体が郵送での通知やHPで公示し、口座に送金されるまでに1ヶ月ぐらいかかるかと認識しています。この手続きをスマホ市役所の仕組みを使うことで、住民側の手間がなくなり、送金までのリードタイムも著しく短縮できるようになります。

給付金申請に関するデモ
この仕組みで必要なのは、1度だけ本人確認をすることです。
毎回申請毎にマイナンバーカードの情報を入れる必要がなくなり、給付金申請をプッシュ型に変えていくことができます。

▼スマホ市役所とSmart Lock

公共施設の予約をスマホ市役所を使うという取り組みです。
LINEで予約し、Smart Lockを設定し、当日該当者だけが入れるように鍵(番号)を送信して管理していくことを考えています。
こうしたものを連動させて予約すれば、該当施設に職員を派遣することなく住民に使っていただけると思います。

▼LINEでも、Webでも
従来もWeb利用できましたが、今回はこれまでのLINEでの機能を損なわずにWebでも使っていただけるようになります。
LINEのアプリケーションを用意する必要はありません。
LINEと同じようにWebでも対話型のインターフェースを提供しています。

Webフォームのデモ

▼リリース予定

4.Bot Express登壇者


株式会社Bot Express 代表取締役 中嶋一樹
Salesforce、日本オラクル等でエバンジェリストとしてキャリアを重ね、前職のLINE株式会社在籍時に日本初のLINEを使った行政サービスとなる粗大ごみ申請(福岡市)の仕組みを実現。 2019年に株式会社Bot Expressを創業。「お客様は住民、自治体はパートナー」という理念のもと、共鳴していただけるパートナーと最高の住民サービスを提供することをミッションとして事業を推進。趣味はキャンプ。


株式会社Bot Express パートナーサクセスマネージャー 淺田 恵里
誰でも利用できる行政サービスを充実させ、住民の暮らしを豊かにしたいと思い、名古屋市役所へ入庁。区役所での窓口事務や、条例等を制定する本庁部署において区役所事務の円滑な運営を支援。2021年6月より現職。パートナー自治体職員と共にGovTech Expressをフルに活用して多くの機能や手続きの実装に取り組む
株式会社Bot Express 執行役員 PR・コーポレート担当 松尾 明美
Dell、LINEの親会社NAVER海外拠点を経て、前職はLINE国内第二拠点LINE Fukuokaにて、広報・採用組織を統括。企業広報・危機管理広報・PRマーケ、採用など担当。2022年2月より現職。テクノロジーを活用した最高の住民サービスを提供し、日本の暮らしにもっと自由な時間を創ること、楽しくすることを目指している。
登壇者の集合写真

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