【秋田県湯沢市】申請後1日で給付を実現した「子育てまるっと応援給付金」
秋田県湯沢市では、エネルギー価格や食費等の物価高騰の影響を受けている子育て世帯における生活の支援を行うため、子育てまるっと応援給付金を支給しました。これまでの給付金の手続きは、紙で申請されたものを審査し、振込までに2〜3週間ほどかかっていましたが、GovTech Expressを活用しLINE申請・セブン銀行ATM受取を行うことで、申請された翌日の給付が実現しました。
1.自治体概要
2.取組概要
湯沢市に住所がある対象児童(平成17年4月2日生まれ以降)を養育している条件に該当する方に通知文を送付し、「湯沢市LINE公式アカウント」、「郵送」、「窓口」の3パターンで受付を開始しました。案内文にはLINEからの申請についてのメリットを記載し、LINEからの申請を促しています。
給付金を早く受け取ることができます(通常3週間程度→最短3日)
24時間どこでもスマホで申請手続きができます
銀行口座の通帳等の写しの提出が不要です
LINEからの申請は、湯沢市LINE公式アカウントを友だち追加し、質問に回答することで申請が完了します。本人確認には、マイナンバーカードを用いた「LINE Pay公的個人認証サービス」を活用しています。マイナンバーカードを読み取るためのアプリをダウンロードする必要もなく、住民はLINE上でシームレスに操作することが可能です。
3.結果
給付金の対象者1,081人のうち、過半数(約55%・604人)の住民がLINEを経由して申請しました。LINE経由の申請は、最短で翌日には審査が完了し、申請からわずか1日で給付金を受け取ることができた方もいました。
給付金の申請を行った方を対象として行ったアンケートでは、LINE経由での申請は98%が便利だと回答するなど、非常に高い満足度となりました。
この高い満足度は、申請から審査完了までの時間が大幅に短縮され、申請者の利便性が向上した結果といえると思います。
4.自治体、4つの利点
システムへのデータ入力不要
LINEから申請されたデータはSalesforce(※)に格納されるので、紙で受付けた申請を見ながら、システムにデータ手入力が不要となりました。格納されたデータはcsvやExcelでエクスポートできる他、ダッシュボード表示など分析資料としても利用できます。
申請の不備による訂正印のやり取りや、電話連絡が不要
申請の不備をLINEで解決することが可能なため、電話連絡が日中に繋がらないなどもなく、職員と住民の時間を有効に活用することができます。
友だち追加の増加
湯沢市では今回の給付金の申請期間(2/1〜3/15)中、約1,000人程度お友だち数が増えました。自治体LINE公式アカウントのお友だち登録の年代層は40〜60代となっています。20〜40代の子育て世代のお友達を増やすことができます。商品券などの郵送が不要
2024年秋には値上げが予定されている郵便代。商品券の発送などを不要にし素早く給付できます。GovTech Expressでは、セブン銀行ATM受取の他、LINE Pay送金、Amazonギフトコード、QUOカードPay、ギフティを連携し給付金や助成金に対応しています。
5.湯沢市様コメント
ATM受取を導入するにあたり、住民に混乱を招かないか不安な部分がありましたが、ATM受取に関する問い合わせはほとんどなく、支給後に実施したアンケートでは満足度、次回利用意向ともに98%を超える結果となり、住民にスムーズに受け入れられたと思います。
LINE申請とATM受取を組み合わせることで、申請から給付までの期間を圧縮するだけでなく、事務効率化や事務ミスの抑制にも繋がり、LINE申請の効果を最大化することができたかと思います。今後、他事務への横展開や他の給付方法も検討していきたいと考えています。
6.さいごに
湯沢市がGovTech Expressを活用し、給付金支給のプロセスを大幅に効率化した取り組みは、自治体の行政サービスにおける革新的な一歩であると感じます。給付金の速やかな支給は、支援を必要とする世帯にとって極めて重要です。従来の手法では給付までの日数を短縮することに限界があり、そのために自治体職員に過度な負担がかかっていました。しかし、湯沢市の事例では、職員の負担を軽減しつつ、到底不可能と思われていたスピードでの給付を実現しました。
この結果はツールの力だけでなく、GovTech Expressを使った業務フローの改善に取り組んだ湯沢市の職員の皆様の努力によって実現したものと考えております。子ども未来課の担当者様をはじめ、関わった多くの職員の皆様にあらためてお礼を申し上げたいと思います。
また、この事例は他の自治体にも大きな示唆を与えるものと考えております。GovTech Expressの活用は、行政サービスの効率化において非常に有効であり、他の自治体でもこの取り組みを参考に給付事務の改善を検討することをお勧めします。自治体がより効率的かつ迅速に支援を行うためには、湯沢市のような先進的なアプローチが不可欠であると考えます。
<参考資料>
9割以上の申請をLINEで受付、1日で給付した山形県庄内町の事例。
マイナンバーカードを活用した行かない窓口の構築事例。