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【長崎県長与町】ファミサポ事業のマッチングをデジタル化し、利用者・サポーター・職員の負担を軽減

子どもの預かり育児の援助を受けたい人(依頼会員)と援助を行いたい人(協力会員)をマッチングする子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)をご存知でしょうか?

実施主体は市町村で、2022年度時点では982の市町村が実施しています(子ども家庭庁HPより)。

実施要項によると、この事業は配置されたアドバイザーが依頼会員と協力会員のマッチングを行う必要がありますが、このマッチングのプロセスの一部をGovTech Expressで行うことで、援助依頼にかかる電話対応の時間を原則ゼロへ改善した長与町の事例を紹介したいと思います。


1.自治体概要

人口:39,936人(2,023年7月末時点)(長与町HPより)
友だち登録者数:6,023人(2023年8月14日時点)
LINEのトーク上で完結する手続き:出産後の訪問面談予約、各種イベント予約
LINE ID:@nagayo-mikkun

2.制度と取り組み

(1)制度
子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)では、子育て世帯が会員登録を行うことで、以下のシーンで子どもの預かりを依頼することができます。

ア 保育施設の保育開始前や保育終了後の子どもの預かり
イ 保育施設等までの送迎
ウ 放課後児童クラブ終了後の子どもの預かり
エ 学校の放課後の子どもの預かり
オ 冠婚葬祭や他の子どもの学校行事の際の子どもの預かり
カ 買い物等外出の際の子どもの預かり

厚労省通知文より

利用スキームは以下のとおりで、アドバイザーを経由してマッチングが実施されます。

こども家庭庁HPより

(2)長与町におけるGovTech Expressを使った取り組み
長与町では、今年の5月から協力会員の登録と、当該協力会員への依頼活動の案内、申込み受付、マッチング成立のお知らせをGovTech Expressを活用して行っています。

◆協力会員の登録
協力会員がオフラインで集まるタイミングで、一斉にLINEから登録を行ってもらいます。

◆協力会員への依頼~マッチング~成立のお知らせ
①依頼会員からサポート依頼の連絡を受けた後、「託児場所」「託児時間」「こどもの年齢」を記載したメッセージ(依頼活動の案内)を40名ほどいる(LINE登録している)協力会員へ一斉送信します。

メッセージには依頼番号が記載されています。

②協力できる場合は、「協力する」のボタンを押し、協力できる「依頼番号」を入力するだけで申請が完了します。

③協力会員からの申請を確認してマッチング。その結果は協力会員(全員)へお知らせします。

3.結果

◆BEFORE
以前は、サポートを引き受けてくれる協力会員を見つけるまで1件につき5~10件程(1件につき10分ほど)電話をしていました。

また、依頼会員からサポート依頼の連絡を受けた後、希望する条件の協力会員へ電話連絡連絡がつかない場合や、断られた場合はその後に数件電話しなければならず、依頼内容を説明する時間とあわせて【依頼1件につき1時間ほど】かかっていました。

ちなみに、年間の依頼件数(マッチングが必要な件数)ですが、昨年度は、1年間で、396件の利用がありましたので、単純計算すると1時間×396件=396時間となります。

金銭的コストを算出するために例として2023年8月時点の長崎県の最低賃金を使って金額になおすと、853円×396時間=約34万円となります。

◆AFTER
GovTech Expressを導入後、協力会員を見つけるための電話対応時間は【原則ゼロ】となりました(定期利用や急きょ、翌日や当日調整することになった場合を除く)。

依頼内容を知らせる配信用メッセージの作成が必要ですが、テンプレートがあるので作業は5~10分ほどで完了します。

電話対応と異なり、連絡がつかないことで生じる職員の精神的負担も発生しません。

なお、協力できる会員が複数人いる場合には、以前の対応状況などを加味してアドバイザーの裁量で判断を行っており、協力会員決定後は、アドバイザーが個別に協力会員に電話をかけ、詳細内容を説明しているとのことでした。

本年度は、4~6月(GovTech Expressの手続きは5月~開始)で既に133件のマッチングを行っており、年間で500~600件の件数を見込んでいますが、こちらの件数にも無理なく対応できる予定です。

4.職員インタビュー

長与町でGovTech Expressの所管をしている情報政策課の髙橋さんと担当課であるこども政策課の山口さんにお話を伺いました!

- 導入経緯

中原:まず、マッチングのプロセスをGovTech Expressを使ってオンライン化した経緯を教えてください。
髙橋さん:ファミリーサポートセンター事業について、2022年度まで運営を委託していましたが、2023年度から町の直営にて運営を開始しました。

開始時は、従来どおり電話を使用して協力会員と利用会員をマッチングしていましたが、サポートを引き受けてくれる協力会員を見つけるまでをしなければならず、時間がかかっていました。メールで一斉に送信することも試みましたが、リアルタイムに気づく人が少なかったため、結局電話でマッチング作業を行わざるを得ませんでした。

そこで、多くの人が普段使用していると思われるLINEのアプリを活用できるGovTech Expressの仕組みを取り入れ、マッチング作業の事務負担軽減を図れないかと思い、導入を検討しました。

説明されている方が髙橋さん。一度お会いしたことがありますが、熱心でお話もとてもおもしろい方です^^

- 職員側の変化・メリット

中原:マッチングの一部をGovTech Expressで行うことで、担当者の業務や働き方にどのような良い影響がありましたか?
山口さん:協力会員を探すための電話連絡にとられる時間が大幅に削減されました。以前は協力会員の希望日時や場所などを事前に調べ、対応可能な会員さんに電話してマッチング作業をしていましたが、現在は協力可能な(希望に沿うもののみ)申請を把握できるので、マッチング作業も容易になりました。

GovTech Expressの導入により削減された時間を依頼会員や、協力会員へのサポートの時間に充てることができ、そのことがよりよい関係性を築けている一因になっていると考えています。

- 住民側の変化・メリット

中原:今回の取組みで想定していなかった嬉しい変化はありますか?
山口さん:これまでお願いする協力会員が固定化していましたが、LINEを利用することによって今まで活動したことがない協力会員も積極的に申請していただくようになり、ファミリーサポートセンターの活性化に繋がりました。今では同様の仕組みを利用して児童館で会計年度任用職員が欠員した際の補充職員の参集を行っています。

中原:利用者からいただいたうれしい声などあれば教えてください。
山口さん:利用会員からは、
・「以前は兄弟同時での託児については、協力会員が見つからず断られることがあったが、今ではスムーズに託児をしてもらえるようになったので嬉しかった。」
・「普段利用している子育て支援センターで託児をしてもらえて安心して預けることができた」などの声が届いています。

これからも業務効率化によって生み出した時間でサポートの支援を行い、核家族化が進む中、「家族以外に頼ることができるファミリーサポートセンター」として、必要としている多くの人へ子育て支援を行っていきたいと思います。

5.さいごに

少子化が進む日本ですが、こども家庭庁によると児童虐待数の数は増加傾向にあります(子ども家庭庁HPより)。

以前、自立援助ホームを運営される方とお話したことがあるのですが、そのときに虐待が起きる原因の一つに「孤育て(誰にも頼れない状態で子育てを行うこと)」があるというお話を伺ったことがあります。

長与町では今回の手続きを開始した5月以降、協力会員も依頼件数も増加傾向と伺いましたが、手続きをオンライン化することで、子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)がより住民に身近な存在となり、頼り・頼られながら地域で子どもを育てるという文化がさらに発展するといいなと思います。

Bot Expressのパートナーサクセスマネージャは全国の自治体職員に伴走し、これからも住民を幸せにするオンライン行政を実現していきます。

GovTech Expressを利用している自治体であれば、追加費用なく今回のような手続きを実装することができますので、導入を検討される場合は是非パートナーサクセスマネージャまでご相談ください。






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