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【INTERVIEW】Bot Expressの目指す世界と現在地

いつでもどこでも行政手続きが可能となる「スマホ市役所」。Bot Expressは、それを実現させるための官公庁専用対話型アプリケーション「GovTech Express」を開発提供しています。自治体のシステムとしては珍しい定額料金で使いたい放題のサブスクリプション型プラットフォームです。

創業者であり代表取締役中嶋に、Bot Expressの歩み、プロダクトの特徴、自治体に対する思い、思いを実現するためのチームづくりについて話を聞きました。聞き手はPRコーポレート担当の松尾。2回に分けてお届けします。インタビュー動画も公開しますので合わせてご覧ください。

今回のテーマは「Bot Expressの目指す世界と現在地」です。

中嶋 一樹 株式会社Bot Express 代表取締役
Salesforce、日本オラクル等でエバンジェリストとしてキャリアを重ね、前職のLINE在籍時に日本初のLINEを使った行政サービスとなる粗大ごみ申請(福岡市)の仕組みを実現。 2019年に株式会社Bot Expressを創業。「お客様は住民、自治体はパートナー」という理念のもと、共鳴していただけるパートナーと最高の住民サービスを提供することをミッションとして事業を推進。



ー なぜBot Expressを起業したのか。

中嶋:
僕自身、エバンジェリストというキャリアで、これまでの社会人の大半を過ごし、エバンジェリストは天職だと思いました。新しい技術について調べ、テクノロジーという形だと一般の方々にどのような価値があるのか理解がしづらいというところを「社会実装したらこういう形になる」とデモやプレゼンテーションを通してみんなに訴求していく。自分にはあってるなあと思ってやってきました。

その一方で、自分にできるのはコンセプトや示唆を与えることで、実現するところまでやれなかった。アイデアを実際に社会に浸透させるところまでやりきりたいと思うようになって、いつの日か起業したいと考えていました。

ビジネスが行政のエリアになった理由は「伸び代が大きいから」です。簡単に言えばみんなが現状に満足していないエリア。今の行政サービスを便利だと思っている方々は多くないんじゃないかと。そういった中で、テクノロジーを使えば、ぐっと進歩させられると思いました。その可能性を感じ、Bot Expressを起業しました。


ー 社会的信用面などでスタートアップの参入が難しいと言われる自治体を対象とするビジネス。Bot Expressが創業4年で100以上の自治体に支持された要因は。

中嶋:
まず、4年間で100自治体が成功とはいえないと思っています。もっともっとやれることはあったと思うので、十分の数かどうかは検証が必要です。
ただ、最初の実績がない時は難しいというのは確か。その中で僕が幸運だったのは、前職において自治体との実績ができていたことです。当社の実績ではなく前職の経験ではありますが、やりきった経験や知見としてお伝えできる状態であったことが大きかったと思います。実績があったからこそ、自治体とのビジネスは、どういった順序で行われるのか理解できていました。

ー 自治体のシステムとしては珍しいSaaS。どのような考え方でプロダクトは生まれたのか。

中嶋:
サービスは常に改良し続けなければなりません。そう考えると、納品したら終わりでは不十分です。継続的にアップグレードできるような、そういう性質のものでなければいけないと思っていました。予算調達、開発、納品、というやり方では、テクノロジーの進歩やユーザーニーズに応えられない。よってSaaSという形態は良かったと思います。

ー 現状はLINEをインターフェースとしてサービスを提供している。その他の手段の提供など、今後の計画は。

中嶋:
LINE以外のチャネル・ユーザーインターフェースにおいても可能にするというプランがあります。Webや電話を使ってAIが応答するということもテクノロジー的には可能なので今後随時オープンさせていきたいと思っています。いずれにせよ大事なのは、実質的に使える状態にすることです。網羅性を追求するより、実質的に多くの人が使えることが重要だと考えています。

GovTech Express紹介資料

ー 自治体の住民サービスは機微な情報を多く扱う。Bot Expressのセキュリティ対策は。

中嶋:
当社のサービスは、Salesforceをプラットフォームとしています。同社は20年以上クラウドサービスを提供しており、これまで致命的なセキュリティ事故を起こしていません。我々のようなベンチャー企業がゼロからクラウドサービスを作るのではなくて銀行の貸金庫を使っているようなものです。一戸建ての家の金庫ではなく、銀行の貸金庫。Bot Expressは小さなスタートアップですが、バックエンドに20年以上実績のある非常にセキュアでセキュリティに毎年投資しているプラットフォームを使っているのはポイントです。日本政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを評価登録する制度「ISMAP」にも登録されており、国内においても信頼されているサービスです。

また、インターフェースはLINEですが、LINEから入力したデータであってもそのデータが保存されるのはSalesforceのシステムで、LINE上に個人情報とか機微な情報が保存されるということはないです。LINEを通過するのすら避けたい、ということであれば、ユーザーインターフェース上はLINE上で操作をしているように見えるけれども、実際にはLINEをバイパスしてユーザーのLINEの端末から当社のシステムに直接データが保存されるような形、バイパスするようなシステムという方式もあります。自治体や住民の要望に応じて柔軟に手段を提供しています

GovTech Expressのセキュリティ

ー 4年目のBot Expressについて、社長としての手応え。

中嶋:
信念を実現すること」と「会社を継続していくこと」を考えて舵取りしています。SaaSは甘いエリアではありません。しっかりと生き残っていくには、トップをとる必要があり日本で一番の企業にならないといけないという感覚があります。そう考えた時にスタートアップで、それくらいの勢いを出し成長していこうと思うと、今の成長スピードが十分かというと、事業拡大の規模からいうともっと加速しないといけないというのが、僕自身の今の会社のスコアボードに対する感覚です。

一方で、私たちは、事業規模を拡大することをプライオリティとしておいていません。株式も100%保持した状態。よって、私たちが思うがままに信念を叶えていくための企業です。あまり成長を追うのではなく、一つ一つの自治体で価値を提供できているだろうか、その結果住民の方々が「これは今まではとは違う」と感じていただいているだろうか、ということが一番の関心事です。それを突き詰めた結果、会社が伸びる、というのが理想的です。


ー 資金調達など財務基盤強化についての考え方。

中嶋:
外部からの資金調達は創業時考えもしなかったですし現状一切受けていません。相談すればそういう可能性もあったかもしれませんが、当初の思いでいうと、自分達には考えがあったので、その考えを実行できる環境にしておきたかった、ということがあり資金調達せずにここまできています。

幸運にも我々は資金調達せずにある程度キャッシュフローがプラスの状態を維持できる状態になったので、その状態を地道に愚直にやってきたというところだと思います。通常は投資を受けて赤字をほりながらやっていくというのが、今のスタートアップのスタンダードなやり方だと思いますが、我々は会社経営の基礎の基礎である「入っていくお金よりも出ていくお金を少なくする」ということで黒字経営をしてきました。これからも、無理に外部資金を調達することはなく、自分達の思いを叶えていきます。

ー 最後の質問です。2023年、創業5年目をどのように歩んでいきたいですか。

中嶋:
もっともっと会社をユニークにしたいなと思っています。他の会社とは圧倒的に違うねと、やっていることとかコンセプトというのがまるっきり違う会社だね、と比較する会社がないという状態に、私たち自身はありたいと思うし、世の中からの評価もそのような形で獲得したいなと思っています。そうするためには、他の会社がやっていないようなサービスを提供するべきだし、その結果、住民の生活もこれまでとは、がらっと変わるようなサービスを提供したいなと思います。

社内のメンバーもみんなそうだと思いますが、そのような形で考えたサービスが「住民の行動」を変えていきます。より良いものになっていくことを実感する時、自治体職員からフィードバックを受けた時、我々が事業をやっていてよかったなあ、とひしひしと感じる瞬間です。

Bot Expressメンバーオフショット

そういった意味でも、我々自身がこの事業に対して、常に情熱をもって接していられる、あるいは仕事自体が価値ある取り組みであると自分達自身が考えられるように、そういった「ユニーク」であり「住民の暮らしにおおきな変化を与えるサービスを提供していきたい」と考えています。


次のインタビューでは、これらの思いを実現するためのチーム作りについてご紹介します。「住民の行動変容を起こすサービスを提供する」こと、そして私たち自身が「ハードワークだけど、豊かに過ごし、心身がエネルギーと希望に満ち溢れている状態」を維持するために取り組んでいることを深掘りします。お楽しみに。

行政サービスのあるべき姿の追求、今後数年で日本のデファクトスタンダードを自らの手で確立する、独創的に仕事をする。
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▼メンバーインタビュー企画全編
Work Styleマガジンよりご覧いただけます。


編集後記

中嶋さんに話を聞いた松尾です。私自身、3人の子供を育てながら仕事をし、さまざまな行政手続きを必要とする、とある町の住民です。忙しい日々の中で、慣れない行政手続きが発生した際に、あまりの複雑さと自分自身の準備不足で手続きがなかなか終わらず、役所窓口で倒れそうになった経験があります。丁寧に対応してくれた窓口の方の時間も使ってしまい、とても申し訳ない気持ちにもなりました。

自分自身もサービスを受ける側の人間であるからこそ具体的にイメージできる、行政の「こうだったらいいのにな」の形。Bot Expressのサービスで実現した日本各地のスマホ市役所。住民の皆さんから聞こえてくる「便利だった!助かった!」という声、そしてその結果に対する自治体職員の喜びに触れるたびに、なんて幸せな仕事なんだ、と感じています。今回話に出た2023年の目標である「比較にならないくらいユニークであること」。自治体・住民、そしてBot Expressの進化に向けて、PRの側面から実現していきます。(決意)

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