【北海道函館市】システム開発の外部委託から脱却。自治体職員自ら開発、導入から4ヶ月で10以上の機能を備えた「行かない窓口」を公開 セミナーレポート
7月18日、「システム開発の外部委託から脱却。自治体職員自ら開発、導入から4ヶ月で10以上の機能を備えた“行かない窓口”を公開」をテーマに、北海道函館市松林様をお招きしBot Express Showcase 第25回を開催しました。自治体職員の管理画面もお見せするデモンストレーション含むアーカイブ動画と、ポイントを書き起こしたイベントレポートをお届けします。
1. 事例紹介
登壇者
▼函館市概要
今年1月にGovTech Expressを導入し、LINEをリニューアルしました。LINE上に市役所を開設するということで、「ONLINE(オンライン)市役所」と題してPRを行っています。
函館市では、令和6年3月に「函館市デジタル変革推進ビジョン」を策定しました。10分野の目標のうち、行政分野の目指す姿として、オンライン手続きによる市民サービスの向上を掲げていて、その取組み中でも強い武器としてLINEの活用を考えています。LINEの活用については前向きな風土です。
▼LINE広報のあゆみ
令和4年9月に広報ツールとして公式LINEの活用を開始しました。他の都市と比べて遅いスタートでしたので、他自治体のLINE活用事例を調べていたところ、GovTech Expressに辿り着きました。
様々な手続きを実装できることを知り、「ただの広報ツールにしておくのはもったいない」と思い、LINE活用に関するアンケートを取りました。「災害時やオンラインでできる手続きを増やして欲しい」という声が多くあったので、「ONLINE市役所」プロジェクトとしてリニューアルのための予算要求をし、企画部地域デジタル課を設置、令和5年10月からGovTech Expressを導入開始し、4ヶ月の構築期間を経て公式LINEのリニューアルを実現しました。
▼4ヶ月で構築した機能
特にキャッシュレス導入は函館市としても自分自身としても、大きな進化・挑戦でしたので事例を共有します。
▼税証明書の申請
キャッシュレス決済を活用するものとして税証明書の申請をしました。
LINE上で申請し、マイナンバーカードを使って本人確認、手数料と郵便料をキャッシュレスで行い、証明書が自宅に届くという仕組みです。この機能を導入するため、Bot Expressとの契約に加え、本人確認とキャッシュレスを追加するために別の事業者と契約して始めました。
いざ導入するとなると、お金や他部門との業務調整、上司への説明など漠然とした不安があると思いますが、実際には全然難しくなかったということを主張したいと思います。
Bot Expressとの契約以外の主な作業は以下の通りです。
・収納代行業者との契約・利用申請
・公的個人認証サービス(JPKI)の利用申請
・指定納付受託者の指定
・内部のお金の流れの整理
・会計部門との確認
・税部門との細かい運用上の整理
ここまで用意できれば、どのような申請でも導入できるのではないかと思います。公的個人認証サービスは申し込みから利用開始まで3ヶ月かかるため、それを考慮して実運用の4ヶ月前には申し込みが完了しているようにしました。
このようにして4ヶ月で10以上の申請を用意しました。最初は「どうすれば他の先進自治体に追いつけるか」と悩みましたが、スピード感を出すために
「まずはやってみる」「小さく始める」ことが大切だと考えました。
まずは小さなことから始めることで、計画することの無駄を省き、結果的に短期間で多くの機能を実装することができました。
「システムを導入したがなかなか活用が進まない」「担当部局が前向きにならない」といった悩みのある自治体では、「やってから考えよう」という考えを広めていくのも1つではないかと思います。
▼課題と解決に向けた考え方
・紙の申請で良いのでは?
紙申請をオンライン化にするには、紙専用の質問項目を見直し、質問自体を再構築することで可能になると考えています。
・既存システムとの使い分け
WebフォームとLINEを使い分けないことで進めています。「この手続きはWebだけ、LINEだけ」といった面倒なルールは作らず、さまざまな手続きを用意して、使う側に使いやすい方を選んでもらう形にしています。
・担当課の負担
担当課では、日常業務をこなしながらオンライン申請について考えなければならず、時間がなくて進まないという事態が発生します。そこで、私は担当課の負担をできるだけなくし、余計な悩みを抱えさせないよう、ヒアリングする前に一旦申請を作ってしまい、担当課に始めるハードルを下げるようにしました。「やってみよう」という判断が出た段階で、申請受付後の運用イメージまで共有し、運用に向けた最終調整や広報戦略を考え、各フェーズでポジティブな選択ができるよう、悩みを先取りして進めることを意識しました。
・申請作成時のエラー
申請作成してもエラーが発生して申請完了できない時は、Bot Expressのパートナーサクセスマネージャーに相談し、悩みを解決しました。
▼導入の効果と成果
・産後ケア LINE申請90%
・出産子育て応援給付金 LINE申請80%
・税証明書の申請 (月4、5件想定)月100件以上→郵送の分がLINEに置き換わっているようです。LINEだと不備がほとんどなく、確認業務に手間がかからないなどのメリットがあるため、住民にも職員にも良い成果を上げられたと思います。
▼今後の展望
多くの自治体で公式LINEの運用が主流となっていますが、GovTech Expressを最大限に使いこなし、函館市公式LINEを全国トップのONELINE市役所に育てたいと思っています。今よりスピードアップしてさまざまな機能を実装するため、チームとして構築を加速していけるような環境を作っていきたいと思っています。
▼税証明書のデモンストレーション
2. GovTech Express 導入後の伴走
STEP1
基本操作の学習として、全8回のセミナーを毎月開催しています。アーカイブ配信も行っていますので、1回で分からなくても再度学ぶことができます。
STEP2
マニュアルにある機能は、インストーラーを使って簡単にセットアップができます。インストールしたい機能を選択し、アップロードするだけで実装できます。
マニュアルにない機能でも、他の自治体が行っている手続きであればコピー可能、前例がないものを構築する場合はBot Expressまでご相談ください。サポートとしてご用意しているのは操作マニュアルやインストーラー、ChatGPTを使った回答、Zoomでの個別サポート、お問い合わせフォームからの質問対応をしています。
STEP3
構築後、担当部署に確認いただきます。起動して確認、修正の有無を担当部門に確認します。業務フローの確認も大切で、オンライン化によって業務フローが変わってくると思いますので、担当職員に負担のないフローになるようフォローを行ってください。
STEP4
リッチメニュー(トーク画面下)とサブメニュー(メニューをタップした後の画面)を作成します。デザイン支援も行っていますのでご安心ください。
STEP5
公開は、広報誌での掲載、LINE以外のSNSでの発信、その他自治体によっては首長の記者会見を行っています。
3. 質疑応答
回答は函館市松林様
Q:函館市のLINE運⽤担当者は何名体制でしょうか。
A:3名体制です。
Q:LINEで可能な⼿続きの選定⽅法(他汎⽤的電⼦申請等との棲み分け等)や、実装以降の⼿続き実績(どれくいらいの利⽤状況か等)、今後の⼿続き拡充の⾒通しをご教⽰いただきたいです。
A:手続きの選定方法は、いろいろな人に公式LINEを使っていただきたいので、多くの人が申請しそうな手続きを選んでいます。棲み分けはしていません。今後の手続きは、8月に住民票の請求を追加しようと思っています。
Q:構築は松林様1名、運用は各課で行っていますか?
A:はい、その通りです。
Q:構築したものを修正する必要があった時には各課で修正していますか?
A:(松林様のみが行うのは)組織的に良くないと思うので、修正はなるべく各課で行っていくようにしています。
Q:マニュアルは独自のものを用意していますか?
A:マニュアルは独自では用意していませんので、Bot Expressが用意しているもののみです。
Q:税証明書の郵送料はどちらが負担していますか?
A:利用者負担です。
(Bot Express仁志出)受け取り方法で郵送か窓口を選択することもできます。デモをご用意していますのでこちらをご覧ください。
Q:住民票の請求が8月以降になる理由を教えて下さい。
A:当初の計画では同時に進めたかったのですが、内部調整などがあったため8月になりました。
Q:キャッシュレス決済に関する手数料の支払いはどの課ですか?
A:それぞれに払ってもらっています(税証明書は税務部門)。
4. 「スマホ市役所」を実現するLINE拡張サービスGovTech Express紹介
Bot Expressの営業担当執行役員仁志出より、GovTech Expressについてご紹介しました。仁志出は元自治体職員ですので、自治体職員目線で的確なアドバイスが可能です。ぜひ気になる点があればお気軽にお問い合わせ下さい。
▼サービスの特徴
情報発信や手続等を行う単なるツールではなく、「スマホ市役所」というオンライン窓口を実現できるのが当社のGovTech Expressです。予約、通報、各種申請など、様々な機能をレゴのパーツのように自由に組み立て、実装することができます。
1.説明書がいらないIT
聞かれたことに答えるだけ。一問一答の対話型で分かりやすく、LINEのトーク内で全てが完結します。
2.時間もコストも不要な双方向コミュニケーション
深夜や早朝でも連絡可能。LINEでコミュニケーションをとり、申請の不備までLINEで完結。セグメント配信や給付金に伴う送金手続きも可能です。
3.LINE、Webで利用可能
LINEやスマートフォンをお持ちでない方も利用可能なように、Webブラウザ版もご用意しています。住民の誰一人も取りこぼすことのなく公平なサービスを提供可能です。
4.自治体職員が開発
実現したいサービスをすぐ実装、各種助成金や国の方針の変化などに柔軟な対応が可能です。自分達で開発できるプラットフォームですので、新規予算や仕様書作成なども不要です。
各自治体でオンライン化した手続きはこちらからご覧いただけます。
5.全国でシェア
2024年7月時点で260以上の自治体職員が利用・開発し、「スマホ市役所」は日々急速に広がっています。他の自治体が実装しているサービスはすべて利用可能。短期間、一律料金で追加費用なく新機能が利用できます。
▼セキュリティ
LINEヤフー株式会社の追加規約に同意することでLINEにデータを残さない仕組みをご用意しています。また、他のシステムをご利用中の場合でも共存可能な仕組みになっていますので、ぜひご相談ください。
また、自治体LINE公式アカウントを他事業者でご利用中の場合でも、共存が可能ですので、ご要望がありましたらぜひご相談ください。
▼事例紹介
25事例をご用意した事例ブックをご覧ください。HPお問合せフォーム又はBot Express LINE公式アカウントよりご連絡ください。
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