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【京都府長岡京市】申請者約半数が利用、粗大ごみ収集申込(セミナーレポート)

6月15日、「申請者の約半数が利用するLINEを使った粗大ごみ収集申し込み」をテーマに、長岡京市デジタル戦略課 井手氏をお招きし「Bot Express Showcase 第13回」を開催しました。自治体職員の管理画面もお見せするデモンストレーション含むアーカイブ動画と、ポイントを書き起こしたイベントレポートをお届けします。


1.事例紹介

登壇者

京都府 長岡京市デジタル戦略課 井手 竜太様
民間企業から公務員に転職し12年。福祉や防災部局での勤務経験を経て、2021年からデジタル推進担当に。住民の便利さと職員の業務改善を追求し、LINEやビジネスチャットツール、デジタルデバイド対策を担当する。Bot ExpressのCM「楽な方がいいじゃん」をモットーに、便利で楽な社会を実現するために奮闘中。

長岡京市概要
人口:81,507人
職員:565人
LINE友だち数:81,997人(2023年5月時点)

長岡京市デジタル戦略

新庁舎建設期間(令和3年度〜令和7年度の5年間)が対象期間で、この期間を集中改革期間として取り組むべき目標を明示しています。
建物が新しくなるだけでなく、「職員が新しい働き方をすることで市民サービスの質や方法も変わる、そのためにデジタル技術を活用しましょう」という考えです。

<目指すべき姿>

ペーパーレス化を強化し、市長室への紙資料は持ち込み禁止となっている

全てに共通するのはLINE活用で、LINEを活用することで目指すべき姿の実現が可能だと考えていて、LINEを中心に業務改善を進めています。
LINEとGovTech Expressの組み合わせが最強のツールだと考えています。


LINE活用の経過

▼LINE基本情報
LINEの友だち数を見ると人口を超えた数になっています。アンケート結果から8割程度が市民だと推定しています。
LINEでできる手続きは、オープンなものからクローズドのものも含めて約40手続きがあります。2020年3月から運用開始し、情報発信ツールの一つとして活用しています。

▼GovTech Express導入まで
公式LINE運用開始から1年目は2020年3月のコロナ禍の始まりの頃でした。緊急事態宣言やガイドライン変更でイベント中止、学校の休校、施設の閉鎖などの情報を即座に住民に伝える必要がありましたが、LINEで画像添付やリンク先を送ることができるので、便利なツールだという実感を持ちました。

そこで、広報や防災部局を中心に、市の事業とリンクさせて友だち数を増やそうという取り組みを始めました。友だち数が増えれば効果が高まり、災害時の情報伝達にも活用できるので、市の方針としてLINE活用を決定しました。
その後庁内でLINE活用アンケートをしたところ、さまざまなニーズが上がっていました。LINE活用により実現可能なことと、市が目指す方向性が一致したことでGovTech Expressの導入を決めました。

2021年4月からサービス導入し、申請を開始しました。初めに人数が増えたのはコロナワクチン接種予約で、8割がLINE経由です。
2022年7月と10月にLINEクーポン祭を開催し、市内の事業者支援サービスの一環として実装したところ、反響が大きく、友だち数が急激に増えました。LINEとGovTech Expressの組み合わせに市の事業を組み合わせることで、2年で10倍以上の友だち数を獲得し、公式LINEは非常に大きな効果を得られるツールとして確立しています。

▼LINE活用の反応

LINEを使えない人はどうするのか?という質問も多く出ましたが、市の方針として、事業とリンクさせてLINE友だちを増やすという軸があったので、ぶれることなく活用を進められました。また、市長がLINE友だち数が増えることの効果を理解していたことも大きかったです。

デバイド対策としてはサポート窓口を設置し、市役所や通信事業者、さらに高校のボランティア部の活動として、高齢者の方にLINEを教えるという取り組みを実施しています。
職員全体にLINE事業を周知していましたので、どの窓口でもLINE手続きに関して手伝えるような取り組みをしていました。

▼LINE申請の活用事例

全世帯を対象にする事業でLINEを使って手続きができるということをアピールしたいという考えから給付金事業をLINEで実装しました。
LINE申請が全体の32%で、庁内では大変インパクトのある結果で、約1万件の郵便物対応(開封作業、書類チェック、データ入力など)などの作業がなくなりました。給付金事業はスピードを要する事業なので、担当者から助かったという声が上がりました。

また、申請データ1万件のうち25%が60歳以上の方でした。これまで高齢者に馴染まないと言われていましたが、この事業の後、免許返納事業など高齢者向けの施策でもLINE申請が進みました。
こういったデータが収集できるのもGovTech Expressの良いところだと思います。

▼LINE申請の効果

LINEが情報発信ツールだけでなく、申請ツールだという認識が広まった。職員からは、「LINEを活用できないか」という相談が増え、LINE活用の意識が高まった


LINEを使った粗大ゴミ収集の申込

この機能が市で初めて実装した機能になります。

▼導入の背景

上記を検討した結果、粗大ごみ収集を一番初めに実装することを考えた。分かりやすい実績が出るのも良いところ

▼導入に際しての調整

前日・当日のリマインド通知で出し忘れが減った。電話問い合わせが多いのが金額・種類で、申請をする前に分別システムに誘導し、事前に金額など確認できるようにした

作業員から住宅地図を使いたいという声があり、Google Mapから住宅地図へのマーキングをしたり、電話分は別台帳で管理したいという声も反映しました。システムで全て行うのではなく、一見非効率でも現場を考え、主体的に取り組んでもらえるよう業務改善を進めました。

LINE申請の比率が向上。40%分の電話対応がなくなり、業務効率が上がった。フォローアップ機能で個別に問い合わせできる機能があるので、「時間外でも連絡ができ助かっている」という原課から声が上がっている

▼今年度の展開
LINEでのキャッシュレス決済機能の実装を導入予定です。申請から支払いまでオンラインで完結するので、さらに利便性が向上すると期待しています。
リユース事業と連携として、不用品の中にも有効活用できるものがあるので、民間企業のリユースシステムとの連携が検討できればと思っています。
廃棄だけでなく、リユースという選択肢を増やすことでごみの減量につながると考えています。


LINE活用の今後の展開

現在は約20%ブロックがあるので、セグメントを配信強化し、適切な情報を届けることで効果が出せたらと考えている。また、LINE以外でシステムを運用しているが、LINEに集約することを検討中

Bot Expressの「世界からめんどくさいをなくせ」という考えに共感しています。公務員に転職して12年になりますが、民間企業と比べて業務量も多く、大変だと思う一方、改善する伸びしろがあると思っています。住民だけでなく、職員にとっても「めんどくさいをなくす」ことを目指して取り組んでいます。
皆さまもぜひこのシステムを体感し、活用いただけたらと思います。

▼粗大ゴミ申請のデモ

▼管理画面

「完了」に移動することで自動的にメッセージが届く。オンライン決済を実施している場合、この後オンライン決済画面に移動する

2.質疑応答

回答は長岡京市井手様。

Q:LINEアカウント、驚異的な登録者数を獲得するために工夫した点、広報手段
A:市の事業と組み合わせるのが一番効率的だと思います。広報もBot Express Showcaseを参考にし、文字や画像のみを送るのでなく、ボタンやフレックスメッセージなど工夫するようにしています。

Q:職員の協力を得るためにどのような工夫をしたか
A:「課題感を持っている担当と取り組む」「すぐに動いてくれる職員と行う」「インパクトのある課題に取り組む」がポイントだと思います。
この3つが揃わないこともありますが、動いてくれる課でインパクトが出せれば自然とやりたいという気持ちが出てくると思います。

Q:粗大ごみ収集申込の導入にあたり、事務の見直しを行なったか
A:現状の業務を変えるのは難しく、現場も受け入れにくいので丁寧に説明し、お願いできることはお願いし、強引に変えることはないようにしました。

Q:回収業者側が回収場所や回収物を確認し、回収を終えたものを入力することができる機能を実装し、職員がその状況を確認することができるように
なっているか
A:完了になった案件=回収という形で運用していますので、実際に回収できたかどうかまでは追っていません。

Q:収集業者に対して、市民が連絡し収集場所と収集日などを決め、収集に係る費用は排出する方が業者へ支払っている。長岡京市様の収集形態は
A:粗大ゴミ回収は直営で行っています。

Q:複数部署がLINEで申請受付をしている場合、他部署の申請者の情報は見ることができないような設定が可能か
A:自分の部署のデータしか見られないよう設定しています。センシティブな申請もあるので、他部署が見られない設定をしています。

Q:LINE社と連携協定は結んでいるか
A:教育分野で包括連携協定を結んでいますが、今回の取り組みとは関係していません。連携協定していなくてもこのような取り組みは可能です。

Q:住宅地図へのマーキングについて、回収事業者への連絡は紙か
A:紙にマーキングし、それを指示書として渡しています。

Q:サポートで業務が増えることへの抵抗感はなかったか
A:LINE導入は市を上げての事業という認識だったので、抵抗しているという感じはありません。「市の事業」として協力いただいている形です。

Q:個人情報をインターネットで受け付けることに問題はないか、セキュリティポリシーはどうなっているか
A:Bot Express社のシステムがセキュリティ上対応できているのと、個別契約で市のポリシーに則り運用しているので、問題ないと考えています。
(Bot Express仁志出)政府ガイドラインに適合した地方公共団体プランの場合、LINE上にデータを残さないという規約があるので、LINEサーバ上にデータを残すことなく、当社のクラウドサーバSalesforce上に残るので、セキュリティの懸念点はクリアできています。

Q:高齢者対応、デジタルデバイドの効果を知りたい
A:通信事業者に依頼してLINEを使ったスマートフォン講座を毎月開催しています。高齢者の方や障害者の方、子育て世代がLINE申請を使用することは効果的だと思うので、そういった課を中心に講座をご案内しています。

Q:紙とLINE申請データの突合はどうしているか?
A:GovTech Expressのデータベースを利用した申請を活用していて、申請者番号と誕生日をキーにして申請を行っています。その後LINEデータを別のシステムにRPAで入力して確認をしています。

Q:申込チャネルが増えることで市民の利便性は向上していると思うが、職員の負担は増えないのか
A:導入課から一番言われます(仕事が増える)が、LINE申請導入が目的でなく、LINEで業務改善することが目的なので、オンラインに即したフローに変わり、結果として業務改善になると思っています。
業務改善のためにLINE申請を導入しているので、その効果が出ていると考えています。

Q:粗大ゴミについて電話申込分とLINE件数の調整はどうしているか
A:1日10数件の枠があり、1日の空き枠がなくなることは基本的にないので問題ないと思っています。電話で受けた分はGovTech Expressで空き枠を確認して件数が超えないような調整をしています。

3.「スマホ市役所」を実現するLINE拡張サービスGovTech Express紹介

Bot Expressの営業担当仁志出より、GovTech Expressについてご紹介しました。仁志出は前職の大津市役所で当社サービスを活用しており、利用者としての経験も豊富です。また、契約後に伴走する弊社パートナーサクセスマネージャーも元自治体職員ですので、自治体職員目線で的確なアドバイスが可能です。ぜひ気になる点があればお気軽にお問い合わせ下さい。

▼サービスの特徴
情報発信や手続等を行う単なるツールではなく、「スマホ市役所」というオンライン窓口を実現できるのが当社のGovTech Expressです。

1.説明書がいらないIT
一問一答の対話型で分かりやすく、LINEのトーク内で全てが完結します。

2.時間もコストも不要な双方向コミュニケーション
LINEでコミュニケーションをとり、申請の不備までLINEで完結。セグメント配信も可能です。

3.LINE、Webで利用可能
住民の誰一人も取りこぼすことのないサービスを提供可能です。

4.自治体職員が開発
実現したいサービスをすぐ実装、各種助成金や国の方針の変化などに柔軟な対応が可能で、専用アプリのダウンロードは必要ありません。マイナンバーカードを利用した手続きがLINEで完結できます。
最近では、出産子育て応援交付金の手続き申請について、2週間で自治体職員自ら実装したという実績もあります。

5.全国でシェア
現在150以上の自治体が利用しています。他の自治体で使用しているサービスはすべて利用可能。追加費用なく新機能が利用できます。

▼スマホ市役所による住民の行動変化を促すサービス
新しい事例を追加し、17の自治体を紹介した事例ブックを配布しています。GovTech Expressは、いかに住民に使われるサービスになるかを重視しています。最近は施設予約の仕組みへの問い合わせが増えていますので、串間区の事例をご紹介します。一問一答の対話型で、聞かれたことに答えるだけで予約が完了します。
予約完了後のオンライン決済の実装も可能です。(PayPayも今後実装予定)

▼串間市デモ

ケーススタディ集を作成しました。HPまたはLINE公式アカウントからぜひお問い合わせ下さい
フレックスメッセージ集もHPまたはLINE公式アカウントからぜひお問い合わせ下さい

Bot Express登壇者

株式会社Bot Express パートナーサクセスマネージャー 秋葉 直人
自治体職員として税務、財政、公営企業(病院)の財務などを経験。2022年9月から現職。3人の子供の父親として、子供たちの為にもっと便利な世の中を実現したいと思いBot Expressに入社。全国の熱い志を持った自治体職員と一緒に行政サービスの「当たり前」を変えていきたい。北海道在住。
株式会社Bot Express 執行役員 営業担当 仁志出彰子
23年勤めた前職の大津市役所では勤労福祉、情報システム、学校教育、保健予防、経営経理、経営戦略の業務に携わっていた。その経験を活かし、住民により便利な市役所サービスを提供するだけでなく、忙しい公務員を助けることができるBot Expressのサービスをたくさんの自治体に知ってほしいと思い営業として入社。
株式会社Bot Express 執行役員 PR・コーポレート担当 松尾 明美
Dell、LINEの親会社NAVER海外拠点を経て、前職はLINE国内第二拠点LINE Fukuokaにて、広報・採用組織を統括。企業広報・危機管理広報・PRマーケ、採用など担当。2022年2月より現職。テクノロジーを活用した最高の住民サービスを提供し、日本の暮らしにもっと自由な時間を創ること、楽しくすることを目指している。




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