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【東京都渋谷区】LINEを使った一時保育の予約(セミナーレポート)

5月17日、「LINEを使った一時保育の予約」をテーマに、渋谷区 デジタルサービス部 デジタルサービス推進担当課長宝田氏をお招きし「Bot Express Showcase 第11回」を開催しました。

自治体職員の管理画面もお見せするデモンストレーション含むアーカイブ動画と、ポイントを書き起こしたイベントレポートをお届けします。

1.事例紹介

登壇者

渋谷区 デジタルサービス部 デジタルサービス推進担当課長宝田英之様
2016年経営企画課在籍時に、LINE株式会社との協定及び公式アカウントの立ち上げに携わり、以降、渋谷区LINE公式アカウントの企画運用を担当。現在はデジタルコミュニケーションに関わる業務に従事。様々なサービスをわかりやすく便利に提供できるように、デジタルコミュニケーションを強化していきたいと考えている。

渋谷区LINE公式アカウントの概要

デジタルサービス部は約50名、LINEに関する業務はICTセンター職員と共に3名で運用
2020年度サービス導入により友だち数が急増

2017年2月に立ち上げてから毎年断続的にサービスを立ち上げてきましたが、ターニングポイントとなったのは2020年度GovTech Expressの導入で、LINEの活用用途が一気に広がり、登録者数も急増しました。現在は「LINEを有効活用しよう」というの機運が全庁的に進んでいます。

現在約65,000人。友だち数増加とともに増えたブロック数を減らすことが今後の課題
ここ数年でLINEが急増しているのが顕著に表れています。区長をはじめとして、LINEの有効活用を検討する風潮ができつつあります。
様々な仕組みと柔軟に連携できるのがLINEの強み

区民にとってLINEという使い慣れたプラットフォームで、あらゆる行政サービスにアクセスでき、あらゆる手続きがスマホで完結する、というのが渋谷区が目指す非来庁サービスだと考えています。

申請機能

LINEでできる申請の基本的なフロー

区民がLINEメニューなどからLINEによる申請を行います。申請をすると所管部署にアラートメールが送信され、そのメールから管理画面にアクセスし、必要な後処理をします。不備があれば管理画面から住民に連絡を行い、再申請などの対応を行うことができます。

去年の申請実績の一例

LINEはターゲティングをする申請が得意です。あらかじめ申請対象が特定できるものはLINEでのセグメント配信で効率的に周知することが可能です。これから申請する方に、LINEでの申請を案内すると、高い確率でLINEの申請を選択する傾向があります。

ハッピーマザー出産助成金は、LINEでの申請に限り、セブン銀行ATMでの受け取りを可能とし、区民の利便性向上に繋がっていると考えています。

多くの利用者で、図書館サービスとLINEの親和性が高いことが実証された

図書館システムのLINE連携では、LINEから検索・予約・利用者登録ができるという機能のほか、LINEから図書館カードを表示することで、カードを持参しなくても利用できるようになりました。昨年9月に開始しすぐに反響があり、多くの方に活用いただいています。

2ヶ月半で2000件以上の申請がLINEから行われた

出産子育て給付金は、あらかじめ多くの方が申請することが想定されるので、オンライン申請は必須だと考えています。その中で「何のツールを使うか」が重要となっています。

子育て世代には、さまざまな用途でLINEを活用いただいています。また、多くの人が使うものは使い慣れた仕組みで行う必要があります。LINEは、他のツールと比べてもあっけないほどスムーズに申請完了できますので、利便性向上、現場職員の業務負荷軽減につながると考えています。

アンケートでは98%の利用者が「便利」だと回答

主なオンライン申請システムとしてLINE以外にも2つのツールを用意していいます。申請項目が多く、一時保存などをしなければならないものはLINE以外の方法、逆にそうでないものはLINEで実装していきます。
基本的にはLINEでの実装を検討の起点としています。

所管部署にどのような申請を行いたいのかヒアリングし、定義書にまとめてもらいます。それに基づき申請を作成し、テスト、追加修正等を行い本番リリースとなります。

予約機能

予約日前日にはリマインド、職員側の管理画面で予約状況はレポートで抽出できる

予約が開始すると、申請と同様に所管部署にアラートを送ることもできます。区民はキャンセル期限までは自由にキャンセルでき(期間は設定可能)、予約日前日にはリマインドが配信されます。

8割がLINEを選択。職員の電話作業が削減、業務効率化に大きく寄与

▼一時保育について
これまでは、複雑な仕組みで運用していました。月に1回予約開放日のみインターネットで予約を受け付けており、10日ごろに簡易的なフォームを設置、各園が予約決定となる方を決定し、翌日から決定者に電話でお知らせする方法をとっていました。

予約枠を先着で埋めるのでなく、一旦入力してもらい、締切後に職員が人力で先着の方を抽出するという方法だったので、各園の業務負担は大きく、対象者への電話連絡が必要なので、かなりの時間を要していました。
システムも簡易的なので、予約のたびに同じ情報を入力したり、園ごとの定員に関係なく入力できてしまうので、チェックに時間がかかったり、同一児童が重複したりというシステム上の課題もありました。

今年度からLINEに切り替えて、こういった課題が解決できたと考えています。事前に利用登録を済ませることで、氏名など基本情報は入力しなくて済むようになりました。空き枠に沿って入力できるので、予約完了までLINEでできるようになり、区民の皆さんにも分かりやすい仕組みとなりました。
LINEの導入により、あらゆる自動化が進み、システム・運用上の負担がかなり軽減されました。

▼一時保育の予約デモ(Bot Express淺田)


情報配信機能

セグメント配信では、登録者の求める情報を選別して配信することで、登録者に煩わしい思いをさせることが少なくなります。一方、重要な情報は一斉配信できますので、区民全員に関係する内容や緊急情報をこの機能を使っています。

その他の機能

落書きは特徴的な課題で、多くの方に通報いただいている。有事の通報も用意し、防災課で対応
予算を新たに取る必要がなく、大規模な周知が可能。瞬時に多くの回答を集めることができる
申請機能を活用。選択形式で防災の理解を深めるもの

ほとんどの人にとって役所は頻繁に通う場所ではなく、リアルなタッチポイントは限られてしまいます。LINEは区と住民を繋ぐデジタルなタッチポイントとして最も身近な存在になっていて、普段あまり得ることのない区の情報をLINEで共有できるので、区にとっても住民にとっても、貴重な存在になっていると考えています。
Bot Expressの機能により、LINEでできることが一気に広がったと感じていますので、今後も活用して区民満足度を向上していきたいと考えています。

2.質疑応答

Q:システム導入のために一番大事なことは、個人情報保護について配慮されているか否かだと思う。このシステムは、LG-WAN ASPか?
A:個人情報に関して、前提として政府のガイドラインに適合しない状態で個人情報を使って電子申請をすることはできません。もちろん、弊社サービスはこのガイドラインに適合しています。自治体と住民のやりとりはLINEのサーバー上に残らない形で、弊社のクラウドサービスsalesforce上にデータが格納される仕組みです。
LG-WAN ASPについては、物理的には実装可能ですが、コストが高いことと、弊社がその環境を見られないので、自治体側のシステムサポートが制限される形になっています。今150以上の導入自治体がありますが、LG-WANは選択されていない状況です。アクセス元のグローバルIPを制限していますので、セキュリティ的には問題ありません。(Bot Express仁志出回答)

※以下、宝田様回答

Q:導入に当たり、事務の見直しを行なったか?
A:一時保育の例ですが、LINE活用にあたり、これまでのシステムを置き換えるのでは意味がなく、あわせて業務効率化のための見直しをしました。
これまでは先着で予約する仕組みではなく、第1希望から第8希望まで入力してもらい、第1希望から第4希望までで先着順を決定し、あわせて下位グループで先着順を決定するという運用でしたが、システムで先着順にする仕組みになったので、こういった作業が不要になりました。
一方で、なるべく多くの方に利用してもらえるよう、いきなり8枠を予約するのでなく、(予約)初日に限り4枠予約できるようにし、翌日以降に残り4枠を予約できるようにして、これまでの希望順位を取るのと同じ効果が取れるルールにしています。

Q:一時保育を利用するには、施設側へ保育する子供の面談や情報提供を行った上で、受け入れ可能と判断してもらう必要がある。新規による情報提供がない状態で予約も可能なのか。それとも、電話やHPで空きや予約を行っていたのが、LINEによるツールで解決できるようになったのか。
なぜ、LINEである必要があったのか?今回の課題と背景、解決したい内容を伺いたい。
A:渋谷区でも、初回予約の方には事前面談を行なっています。今回のシステム導入後もそれは変わりませんが、システム上児童の利用登録と予約は申請の入口が別なので、利用登録時に面談を行なった上で、予約可能とする運用ができるような設計にしています。
現在は、システム上は面談を待たずとも予約できるようにし、初回の方には個別に職員が連絡し、面談をするようにしています。
従来は入力フォームの内容を見て、初回予約かどうか職員が確認し、個別に連絡をしていましたが、今回のシステムではステイタスが明確に管理できるようになったので、職員チェックの負担が軽減されたと思っています。
また、LINEを使用した理由について、渋谷区ではLINEによる申請・予約を広く行なっていて、特に子育て世代には「便利で助かる」という評価を多くいただいています。お知らせがLINEで届き、そのままLINEで手続きが完了するので、情報が散乱して分からなくなることもないですし、使い慣れたツールで完結できるのがLINEの強みだと思っています。

Q:簡単に予約できることになり、当日キャンセルは相次いでいないか?
A:児童の利用登録が前提となっていますので、イタズラ予約などは発生しない仕組みになっています。利用登録の情報を見て、職員が確認した上で予約可としていますので、キャンセルが増えたということは聞いていません。

Q:対象保育園は公立のみだと思うが、今後私立も対応する予定はあるか?
A:そういった要望は聞いておらず、区としての予定もありません。これまでも公立保育園のみでした。

Q:メッセージ配信について、原課で行なっているか?
A:原課が直接配信することは検討していません。
メッセージ配信については、セグメント配信と一斉配信を最適な組み合わせで配信計画を立てる必要があります。現場に任せると(多くの人に届けたいという想いで)全てが一斉配信になる危険性もあるので、コントロールは一定必要だと考えていて、デジタルサービス部が担当しています。

3.「スマホ市役所」を実現するLINE拡張サービスGovTech Express紹介

Bot Expressの営業担当仁志出より、GovTech Expressについてご紹介しました。仁志出は前職の大津市役所で当社サービスを活用しており、利用者としての経験も豊富です。また、契約後に伴走する弊社パートナーサクセスマネージャーも元自治体職員ですので、自治体職員目線で的確なアドバイスが可能です。ぜひ気になる点があればお気軽にお問い合わせ下さい。

▼サービスの特徴
情報発信や手続等を行う単なるツールではなく、「スマホ市役所」というオンライン窓口を実現できるのが当社のGovTech Expressです。

1.説明書がいらないIT
一問一答の対話型で分かりやすく、LINEのトーク内で全てが完結します。

2.時間もコストも不要な双方向コミュニケーション
LINEでコミュニケーションをとり、申請の不備までLINEで完結。セグメント配信も可能です。
例えば給付金の受け取りをAmazonギフト、セブン銀行などの選択肢があります。

3.LINE、Webで利用可能
住民の誰一人も取りこぼすことのないサービスを提供可能です。

4.自治体職員が開発
実現したいサービスをすぐ実装、各種助成金や国の方針の変化などに柔軟な対応が可能で、専用アプリのダウンロードは必要ありません。マイナンバーカードを利用した手続きがLINEで完結できます。
最近では、出産子育て応援交付金の手続き申請について、2週間で自治体職員自ら実装したという実績もあります。

5.全国でシェア
現在150以上の自治体が利用しています。他の自治体で使用しているサービスはすべて利用可能。追加費用なく新機能が利用できます。

▼スマホ市役所による住民の行動変化を促すサービス
新しい事例を追加し、17の自治体を紹介した事例ブック
を配布しています。GovTech Expressは、いかに住民に使われるサービスになるかを重視しています。保護者の8割が利用していて、利用者満足度95%の学校欠席連絡(与那原町)、98%が利用し続けたいと回答した献立配信(広島市)、など住民にも職員にも高い評価をいただいているツールとなっています。

Bot Express登壇者

株式会社Bot Express パートナーサクセスマネージャー 淺田 恵里
誰でも利用できる行政サービスを充実させ、住民の暮らしを豊かにしたいと思い、名古屋市役所へ入庁。区役所での窓口事務や、条例等を制定する本庁部署において区役所事務の円滑な運営を支援。2021年6月より現職。パートナー自治体職員と共にGovTech Expressをフルに活用して多くの機能や手続きの実装に取り組む。
株式会社Bot Express 営業担当 仁志出彰子
23年勤めた前職の大津市役所では勤労福祉、情報システム、学校教育、保健予防、経営経理、経営戦略の業務に携わっていた。その経験を活かし、住民により便利な市役所サービスを提供するだけでなく、忙しい公務員を助けることができるBot Expressのサービスをたくさんの自治体に知ってほしいと思い営業として入社。
株式会社Bot Express 執行役員 PR・コーポレート担当 松尾 明美
Dell、LINEの親会社NAVER海外拠点を経て、前職はLINE国内第二拠点LINE Fukuokaにて、広報・採用組織を統括。企業広報・危機管理広報・PRマーケ、採用など担当。2022年2月より現職。テクノロジーを活用した最高の住民サービスを提供し、日本の暮らしにもっと自由な時間を創ること、楽しくすることを目指している。



<参考>
Bot Expressでは毎月2回無料のオンラインイベントを開催しています。参加受付中のイベントや過去に開催したイベントのレポートは以下よりご確認いただきます。お気軽にお申し込みください。


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