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【世田谷区】「電話不要・待ち時間ゼロの子育て支援。利用率95%の一時保育予約や保育相談窓口予約など、子育てに関わる予約をLINEで受付」セミナーレポート

8月28日、「電話不要・待ち時間ゼロの子育て支援。利用率95%の一時保育予約や保育相談窓口予約など、子育てに関わる予約をLINEで受付」をテーマに、世田谷区小原様をお招きしBot Express Showcase 第27回を開催しました。自治体職員の管理画面もお見せするデモンストレーション含むアーカイブ動画と、ポイントを書き起こしたイベントレポートをお届けします。

1. 事例紹介

登壇者

世田谷区 DX推進担当部 DX推進担当課 係長 小原 恵介様
2012年度に世田谷区に入庁。保健福祉課(高齢者担当)、納税課、ICT推進課を経て2022年度からDX推進担当課に所属。昨年度までは電子申請システムや情報セキュリティを担当し、今年度から業務改善担当として区公式LINEの利用拡充に取り組む。 趣味はマラソン。目標はフルマラソン2時間50分切り。子育てとマラソンの両立に悪戦苦闘中。

▼世田谷区概要

人口:922,740人(8月時点)
令和6年度予算規模:3,716億円
LINE友だち数:60,579人(8月時点)

▼DX推進方針

▼最近の主な取り組み
・庁内での生成AI利用環境の職員による内製
TeamsのチャットからChatGPTやQAbotを利用する環境を職員が内製し、全庁に展開しています。
・次期情報化基盤の導入
今まではセキュリティ面を考慮して、事務作業を行う環境からインターネットはできないネットワーク構成でしたが、事務環境からインターネット環境にアクセスできる環境を構築しました。

▼区公式LINE運用開始の経緯

行政が見せたい情報と住民が見たい情報が必ずしも一致しないというのが現実で、区民目線に立った新たな情報発信の必要性を感じていたところでした。日常に組み込まれた最も身近なコミュニケーションツールは何かと考えた時、LINEであることは明らかであり、これを効果的に活用できれば、区民目線に立った新たなコミュニケーションが展開できるのではないかと考えました。実証実験を実施したのち、令和3年度からGovTech Expressを導入し、本格的にLINEアカウントの運用を開始しました。

▼LINEの活用により目指す姿

▼主なサービス

アクセスが多い住民票や転出入、マイナンバーカードに関する手続きの情報を集約したくらしメニュー、気象情報や災害時の避難情報、防災情報を集約した防災メニュー、区立公園や緑道の不具合についてLINEから通報できる通報メニュー、ゴミの分別や粗大ゴミの出し方、翌日のゴミ捨てリマインド通知を受信できる資源・ごみメニューがあります。

▼子育てメニューの充実

世田谷区は元々子育て世帯向けのサービスに力を入れていて、子育て応援アプリを導入するなどデジタル化に早くから取り組んでいました。
しかしながら、保育園入園までしか利用しないユーザーが多く、必要な情報が定期的に提供できないという課題がありました。
そこで、LINEにアプリの機能を移行し、サービス拡充するのが良いと判断し、LINEの子育てメニューに統合しました。
妊娠期や子育て世帯の保護者が「いつでもどこでも気軽に」というLINE利用コンセプトに合致する世帯ということで、現在も妊娠期、子育て世帯をメインターゲットとしてLINE拡充を図っています。
・プッシュ型子育て情報配信
利用者情報を登録すると、妊娠周期に応じた情報や予防接種の情報など、必要な情報が必要なタイミングで通知されます。
・オンライン予約
妊娠期面接、保育入園説明会など、子育て関連の予約は多く、LINEのオンライン予約を実施しています。
・BIツールを活用した施設検索機能
おむつ替えや授乳スペースなど子育て関連施設の空き情報をマッピングしたものをLINEから簡単に検索できるようにしています。

▼公式LINE友だち登録者数
令和5年4月から令和6年8月までで約3倍増加しています。
理由を調べてみると、保育入園個別相談・保育入園説明会が大きく影響していることが分かりました。予約を開始した令和5年8月の月間増加数は約7000人で、23.2%の増加率でした。この数値はアカウント開設から現在までで、友だち数増加幅としては最大の伸び幅でした。LINEでのサービス提供は子育て世帯のニーズに直撃したという証拠ではないかと思っています。

GEの予約機能を活用した子育て世帯向けサービス

▼保育入園個別相談・説明会予約

令和4年度までは窓口相談のみで、予約制も取っていませんでしたので、区民としては混雑具合が分からない、子供が待っていられない、などマイナス点が多くありました。職員側も来庁人数が読めず、窓口体制が組みづらい中、集団説明会を開こうにも募集に人材を割けないという状況でした。職員としても「区民に寄り添えていない」という課題感があり、解決の糸口を求めてDX推進課に相談がありました。「LINEを使えば個別相談も説明会も予約制にできるのではないか」ということで、フォームを作成し、相談からたった3ヶ月で個別相談、集団説明会共にLINE予約を運用開始しました
区民側としては待ち時間がなくなった、予定管理がしやすくなった、友だち登録するだけでいつでも気軽に予約ができる、という良い変化があったと思います。職員側も、リアルタイムで予約確認ができるので管理が楽、電話がないので業務に集中できる、事後的にシステム修正対応できる、など多くのメリットを享受できたという声が上がりました。

LINE予約申請の作成はGEマニュアルを参考に、わずか30分で作成可能でした。便利な機能としては、以下を活用しました。
・キャンセル待ち機能 
予約枠が満席になった時にキャンセルが出た場合、タイミングよく予約フォームを開いた人が予約できてしまうというのは不公平感があり望ましくないと感じていました。キャンセル待ち機能を使うと、満席の枠にキャンセル待ちとして予約ができるようになり、キャンセルが出ると自動で繰り上がるようになります。キャンセル待ちの方に専用メッセージを送ったり、繰り上がって予約確定した方に自動で予約完了したことを通知することも可能です。
・参加者へのメッセージ配信
説明会開催後、タイムリーにアンケートを参加者に回答してもらいたいと考えていて、メッセージ配信機能を使いました。開催後2時間後にメッセージを参加者に送信し、アンケート回答に誘導することで、回答率を高めることできました。効果的なタイミングで必要な方にメッセージ配信をすることができます。

LINE予約導入前後で、相談者数等に大きな変化

入園説明会では、募集人数を大幅に上回る申込数で、キャンセル待ち機能が役立ちましたが、一方で募集人数が少なすぎるという反省点や、父母2人での参加が多かったために会場が人数超過していたという課題が明らかになりました。これらのデータは、GovTech Expressから容易に出力可能で、可視化して課題を整理することで、今年度の準備に活かすことができました。自由にデータ出力できるので、利用状況報告等でも活用できるのではないかと思います。

▼ほっとステイ(子の一時預かり事業)利用予約

利用者は保育園と面談して利用登録する必要があり、登録者だけが予約可能となります。これまで電話でしか予約を受けていなかったので課題感があり、翌月分の予約が開始する10日10時のタイミングで保育園に電話が集中し、利用者は電話競争、職員は電話対応や予約管理に追われる状況でした。今年の6月からLINEを活用し、区民は空き状況がいつでも確認できるようになり、必死に電話をする必要がなくなりました。LINE予約は10日9時から予約が可能となり、あえて電話より有利な条件にすることでLINE活用に誘導する運用にしています。保育園側は予約電話の対応が不要になり、大幅な業務効率化となりました。現在は利用者の98%がLINEから予約をしています。

ほっとステイは利用者に制限があるため、利用時に登録者のデータベースを引用する参照機能を活用しました。これを活用することで、予約時に利用登録済み・面接完了済みの子どものみ利用可能とすることができました。
予約できる対象を絞り込むことができるのは、他の電子申請システムにはない機能だと思います。

▼参考:GEと電子申請システムの使い分け

どちらが良い悪いというわけではなく、どちらも申請が電子化できるツールですが、異なる強みがあるのでどちらも両立できると思っています。利用シーンや利用層を踏まえ、2つのツールを適切に使い分けることが重要だと考えています。

▼参考:要綱改定を行うことで、規定改正不要で電子申請可能に
ほっとステイ事業の規定として書面で受付することとなっていましたので改正が必要な状況でしたが、結果として改正はしていません。やり方としては、オンライン化に関する条例で「電子申請する場合は区長の定めた方法で申請する」という記載がありましたので、要綱に「区長の定めるところ」の1つとしてLINEからの申請を追加することで規定の改正を不要としました。これにより、LINE申請が包括的に認められることとなり、今後同様の案件があっても規定改正の必要性がなくなりました。

▼さいごに

所管課には課題感を持っている職員がいると思います。職員に対して情報政策部門が繋がり、共同戦線を張ることが第一歩として重要だと思います。情報政策部門がプロトタイプを短期で内製し、具体的な提案でボトムアップで庁内調整するとスムーズに進むのではないかと思います。世田谷区はこのやり方で進めることができた時がスムーズかつスピーディでした。

また、今後助成金の申請をLINEでできるようにするため、OCR機能の開発を進めています。今後も区民のアクションを簡単にする、ユーザー体験のRe-Designに繋がる取り組みを進めていきたいと思っています。

▼世田谷区LINEデモンストレーション

デモをご覧になりたい方はこちらの画像をクリック

2. 子育て支援関連機能

追加の開発費用不要で、子育てアプリを実現。限られた予算で機能拡充が可能です。
デモをご覧になりたい方はこちらの画像をクリック

3. 質疑応答

Q:LINEの友達追加への住民周知はどのように行なっていますか?
A:(世田谷区小原様)LINE周知はアカウント情報を関連するサービスのHPに掲載、SNSで定期的に案内する他、必要な人に渡すタイミングがあればそれを活用するようにしています。例えば妊娠届を区に提出すると母子手帳と母と子の保健バッグを渡すようになっていますが、バッグ内にLINEの案内を必ず入れています。また、保育のご案内として入園情報をまとめた冊子を用意していますが、その中にLINE情報を掲載しています。地道にアカウント情報をばらまいていくことが重要だと思っています。

Q:個別アプリを導入しようと考えていますが、個別アプリとLINEでは何が違いますか?
A:(Bot Express仁志出)個別アプリとLINEの違いについて、noteを投稿していますので、ぜひご参照ください。以下のような違いがあるかと思います。
・アプリ:インストールが必要、通知が届きにくい、双方向のやり取りがしづらい、メールアドレスが必要、IDPWを忘れてしまう
・LINE:インストール不要、通知を見逃さない、相談・オンライン決済・デジタル決済・写真やテキスト送信などの双方向コミュニケーションが可能、 メールアドレス不要

(世田谷区小原様)個別アプリだと見逃してしまうことがあると思いますが、LINEが日常生活に落とし込まれているツールなので、皆さんの目に届きやすいという利点があると思います。

4. 「スマホ市役所」を実現するLINE拡張サービスGovTech Express紹介

Bot Expressの営業担当執行役員仁志出より、GovTech Expressについてご紹介しました。仁志出は元自治体職員ですので、自治体職員目線で的確なアドバイスが可能です。ぜひ気になる点があればお気軽にお問い合わせ下さい。

▼サービスの特徴
情報発信や手続等を行う単なるツールではなく、「スマホ市役所」というオンライン窓口を実現できるのが当社のGovTech Expressです。予約、通報、各種申請など、様々な機能をレゴのパーツのように自由に組み立て、実装することができます。

1.説明書がいらないIT
聞かれたことに答えるだけ。一問一答の対話型で分かりやすく、LINEのトーク内で全てが完結します。

2.時間もコストも不要な双方向コミュニケーション
深夜や早朝でも連絡可能。LINEでコミュニケーションをとり、申請の不備までLINEで完結。セグメント配信や給付金に伴う送金手続きも可能です。

3.LINE、Webで利用可能
LINEやスマートフォンをお持ちでない方も利用可能なように、Webブラウザ版もご用意しています。住民の誰一人も取りこぼすことのなく公平なサービスを提供可能です。

4.自治体職員が開発
実現したいサービスをすぐ実装、各種助成金や国の方針の変化などに柔軟な対応が可能です。自分達で開発できるプラットフォームですので、新規予算や仕様書作成なども不要です。
各自治体でオンライン化した手続きはこちらからご覧いただけます。

5.全国でシェア
2024年7月時点で260以上の自治体職員が利用・開発し、「スマホ市役所」は日々急速に広がっています。他の自治体が実装しているサービスはすべて利用可能。短期間、一律料金で追加費用なく新機能が利用できます。

▼セキュリティ
LINEヤフー株式会社の追加規約に同意することでLINEにデータを残さない仕組みをご用意しています。また、他のシステムをご利用中の場合でも共存可能な仕組みになっていますので、ぜひご相談ください。

また、自治体LINE公式アカウントを他事業者でご利用中の場合でも、共存が可能ですので、ご要望がありましたらぜひご相談ください。

▼事例紹介
25事例をご用意した事例ブックをご覧ください。HPお問合せフォーム又はBot Express LINE公式アカウントよりご連絡ください。

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5. Bot Express登壇者

株式会社Bot Express パートナーサクセスマネージャー 淺田 恵里
誰でも利用できる行政サービスを充実させ、住民の暮らしを豊かにしたいと思い、名古屋市役所へ入庁。区役所での窓口事務や、条例等を制定する本庁部署において区役所事務の円滑な運営を支援。2021年6月より現職。パートナー自治体職員と共にGovTech Expressをフルに活用して多くの機能や手続きの実装に取り組む
株式会社Bot Express 執行役員 営業担当 仁志出彰子
23年勤めた前職の大津市役所では勤労福祉、情報システム、学校教育、保健予防、経営経理、経営戦略の業務に携わっていた。その経験を活かし、住民により便利な市役所サービスを提供するだけでなく、忙しい公務員を助けることができるBot Expressのサービスをたくさんの自治体に知ってほしいと思い営業として入社。
株式会社Bot Express 執行役員 PR・コーポレート担当 松尾 明美
Dell、LINEの親会社NAVER海外拠点を経て、前職はLINE国内第二拠点LINE Fukuokaにて、広報・採用組織を統括。企業広報・危機管理広報・PRマーケ、採用など担当。2022年2月より現職。テクノロジーを活用した最高の住民サービスを提供し、日本の暮らしにもっと自由な時間を創ること、楽しくすることを目指している。

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