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【長野県松本市】LINEでの一時預かり抽選予約導入。住民利用率100%、年間300時間の電話対応時間を削減

松本市は、市内の公立保育園8園での一時預かり予約を、2023年12月利用分からLINE経由で受け付けるシステムを導入しました。利用者は747人に達し、すべての申し込みがLINEを経由して行われました。これにより、電話予約による年間336時間の業務時間削減が実現し、抽選方式の導入で公平性が向上しました。利用者アンケートでは、多くの好意的な意見が寄せられ、職員と保護者の負担が大幅に軽減されました。


1.自治体概要

人口:235,511人(令和5年12月1日現在)
LINE開設:2019年3月(@matsumoto_city)
主なLINEの機能:一時預かりの予約、オンライン子育て相談、離乳食教室等の申込、ごみ処理辞典(分別チャットボット)、ごみ分別の有人問合せ、ごみリマインダー通知、通報機能(道路、公園、動物の死骸)など。

2.取り組み

松本市では、市内の公立保育園8園で行なう一時預かりの事業について、2023年12月1日の利用分からLINEによる予約受付を開始しました。令和5年度の利用登録人数(子どもの数)は、2024年3月31日現在で747人です。

2023年10月5日から、保護者のサービス利用登録の受付をLINE上で開始しました。申込者は、事前に保育園との面談を経て利用登録をした後、2023年11月6~9日の期間で12月分の予約受付を行いました。

一時預かりメニュー

予約は抽選としています。11月9日で利用申込を締め切り、抽選後11月15日に申込者に対して当選・落選のお知らせをしました。以後、毎月の予約を同様のスケジュールで受け付けています。

予約システムによる受付スケジュールは以下の通りです。

予約システムによる受付スケジュール

3.結果

2023年12月利用分は、全8園での申し込み数は合計345名。すべての申し込みがLINEを通じて行われ、LINEの利用率は100%に達しました。

この件数の申し込みを電話で受け付けた場合、1件の受付に5分かかると仮定すると、約28時間の電話対応時間が発生します。これを毎月繰り返すことを考えると、年間で約336時間の電話対応時間を削減できたという計算になります。さらに、利用申し込みの電話応対だけでなく、その後の抽選結果の通知なども、メッセージ配信機能を活用することで業務効率化が実現しました。

また、利用住民からも電話の手間がなくなるだけでなく、抽選予約制に移行したことによって、公平な方法で申し込みが行われるようになったと好意的な声が寄せられています。

4.利用者の声

2024年3月に行った利用者に対するアンケート調査では、電話からLINE予約に変わったことに対する喜びの声が寄せられました。

  • 毎月電話申し込みでとても苦労してたので、LINEで申し込みができるようになりすごく助かりました。

  • 電話の時のように早い者勝ちでなく利用できるのは本当にありがたいです。

  • 電話予約では全然つながらずに予約が取れなかったが、LINEの予約システムでは予約しやすくなり改善され良かった。

  • 電話予約に比べ手間も減り公平性が保たれ非常に良くなったと感じます。

5.松本市様コメント

松本市 こども育成課 主査補 長岡真理 様
(取材時は保育課 主任)

これまで、一時預かりの予約は電話による先着順で受け付けていましたが、保護者の方から「2時間くらい電話をかけ続けても、つながったときには予約が埋まっている。電子申請をできるようにしてほしい」という声をいただいていました。このような状況を改善するために、予約システムの導入を検討することとなりました。

当初は保育現場も予約システムの導入に対して良いイメージを持っておらず、反発が強かったことも事実です。園の職員や市民の声を取り入れながら、システムを構築してきました。システムの導入後は、これまで電話がつながらないことにより予約をあきらめていた人たちも、手軽に予約ができるようになったと思います。

システムの導入は完了しましたが、修正していきたい課題はまだ残っていますので、より利用しやすいシステムへと向上を図っていきます。
最後になりますが、今回のシステム構築に関しては、現場の職員、DX推進本部の三代澤さん、そして株式会社BotExpressの秋葉さんにかなりの無理をお願いしました。この場を借りて、深く感謝の意を表したいと思います。

松本市 総合戦略局DX推進本部 主事 三代澤一秀 様

担当課から「電話予約のみで行っている一時預かりの予約を電子化したい」という話をいただいた際、以下の点からLINEでの電子化が最も市民にとって利便性が高いと判断し、今回の機能実装を行いました。

①子育て世代への親和性が高い(使い慣れている)
②簡易な方法で予約可能
③抽選結果・リマインドを通知することができる 

結果としては、毎月特定の日時に電話をかけ早い者勝ちで予約を取り合う状況から、受付開始から24時間いつでも予約ができるようになり、保護者の負担軽減と公平性の確保を行うことができました。電話による受付時に比べ予約数が増加し、抽選で当選しないことがあるという問題もありますが、電話の予約では把握できない需要が本来これくらいあった、ということを知る機会になったと考えています。

市民対象に行ったフィードバックアンケートでは、機能について58%の人が「おすすめする」、31%の人が「中立」と、おおむね良い評価を頂けたと考えています。今後、フィードバック調査などで頂いた意見などを反映し、より職員・市民にとって効率的で便利な形に改修しながら続けていきたいと思います。

6.さいごに

電話による予約受付は、保護者アンケートからも明らかな通り、保護者にとっても職員にとっても大きな負担となっていました。保育園側では、受付期間中に8園合計で400件近い電話を受ける状況が想定され、職員の負担は計り知れませんでした。

今回、LINEを活用した新たな予約システムの導入により、保護者が予約をスムーズに行えるようになっただけでなく、保育園の職員も電話対応から解放され、業務に集中できる環境が整いました。このようなデジタル化は、関わる全ての人が笑顔になる方向に進むものであり、他の自治体にも積極的に取り入れてほしいと強く願います。

私たちBot Expressは、今回の事例のように、ひとつの業務に関わるすべての人の負担軽減を目指し、デジタルツールの活用を通じて人々の生活をより良いものにする努力を惜しみません。他の自治体でも同様の取り組みを行うことで、より多くの人々がその恩恵を受けることができると信じています。

<参考資料>

東京都港区での一時預かり申請の事例。

東京都渋谷区での一時保育の予約の事例。

ライフステージを通した子育て支援DX。


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