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【岩手県】避難所運営の職員負担を93%削減。LINEで報告される避難所外避難者情報、災害対策本部はマップで把握可能に。セミナーレポート

10月24日、「避難所運営の職員負担を93%削減。LINEで報告される避難所外避難者情報、災害対策本部はマップで把握可能に。」をテーマに、岩手県をお招きし、Bot Express Showcase 第30回を開催しました。自治体職員の管理画面もお見せするデモンストレーション含むアーカイブ動画と、ポイントを書き起こしたイベントレポートをお届けします。

1. 事例紹介

登壇者

岩手県 復興防災部 復興危機管理室 企画担当 鈴木 康平 様
2015年度に岩手県庁に入庁。沿岸広域振興局福祉課(生活保護業務)、地域福祉課を経て、2022年度から復興危機管理室に所属。現在は、「防災DX」の業務を担当し、今般、実施した避難所運営デジタル化実証実験を担当。

避難所運営デジタル化実証実験

▼概要

9月18日 久慈市と連携し、実証実験を実施

1つ目の取り組みは、従来型の紙受付、デジタル受付、混合受付(紙とデジタルをミックス)の3パターンを行い、それぞれでどれだけ時間を要するかを計測し、事務負担の軽減効果を検証しました。

2つ目の取り組みは避難所外避難者の把握です。東日本大震災や能登半島地震でも大きな課題となっていましたが、避難所に来ない方が今の災害の避難形態の中で大きな課題となっています。そうした方々をLINEを使って把握し、必要な支援を届けられないかという検証を行いました。

取り組みにあたり、混合受付について補足すると、実証実験の実施にあたり、仮にシステムが実装された場合でも従来型の紙受付をなくすのは難しいと考えています。災害規模によりインフラ系がダウンする可能性や、避難者全員がLINEを使えるわけではないので、従来型を残しつつ、出来るだけデジタル化をして業務負担を軽減できないかという主旨で混合受付を実施しています。紙受付の分はCSVファイルでインポートし、デジタルで受け付けた方と同様にシステムで集計する形で検証を行いました。

▼参加者
避難者役34名のうち26名は久慈市自主防災組織の方に参加いただきましたが、大半が60〜80代でした。実証実験を行う前は、「LINEを使っているのか」「スマホを持っているのか」等の不安がありましたが、全員がスマホを持っていて、LINEを使用できる状態でした。また、アンケートの結果を見ても、高齢者の方でも「紙受付よりデジタル受付の方が良かった」という声が多かったので良かったのではないかと思っています。

▼タイムスケジュール

※住民は全員事前登録済みで行いました

▼当日の様子

▼時間計測結果

紙とデジタルでは、受付時間だけでも約3分の短縮、名簿作成等も加味すると、約4分半の短縮に。

混合受付は、デジタル8割・紙2割で行い、1世帯あたりの平均は56秒となり、一部デジタル化をするだけでもデジタルの恩恵があるいう結果になりました。

▼避難所外避難者把握・支援の必要性と対策
避難所に来ない方の把握支援の必要性が今高まっています。
今年6月に内閣府が公表した資料によると、近年の災害では在宅や車中泊で避難生活を送る方が多く存在しています。コロナの感染症拡大の影響で分散避難をしないといけないという意識が進んでいて、避難者を取り巻く環境が変化していると考えられます。

内閣府が挙げている解決策として、「避難者等の状況把握」「避難所以外の避難者の支援拠点の設置」「車中泊避難者の支援」という3つの柱があるうち、
「避難者自ら情報発信を行う仕組みの構築」が大切だと内閣府が言っていて、岩手県ではこの部分をLINEで行えないかと実証実験に取り組みました。

▼内容(シナリオ)

▼デジタル化の影響・効果

<避難所>
避難所外避難者の把握ができること、避難者自身も位置情報や支援ニーズを簡単に登録ができる、支援者側もリアルタイムに把握できる、ということも大きなメリットだと感じています。

<災害対策本部>
避難所外避難者と双方向のコミュニケーションができるのはこれまでなかったので、デジタルの恩恵を受けられていると感じています。

▼今後の対応

今回の実証実験は、LINEに事前に登録が済んでいる状況で行いましたが、実際の災害を想定すると、事前登録をしていない方、スマホを持っていない方などの対応を今後実装に向けて課題になってくると思っています。

11月にも遠野市で実証実験を行いますが、新しい視点・新しい取り組みを取り入れる予定です。事前登録をしていない方の登録にどれだけ時間がかかるか、登録にフォローが必要な方(高齢者など)にどれだけ時間がかかるか、というのを検証したいと思っています。加えて、スマホを持っていない方の対応として、口頭受付(受付職員に口頭で伝え、職員が代理で登録をするとシステムにリアルタイムで反映される)も行う予定です。紙受付だとシステムへのインポート作業が必要になるため、それをなくす手法を考えたいと思っています。

実装に向けて、様々な課題があると思いますので、引き続き様々な視点で検証していきたいと思っています。

実証実験のデモンストレーション

ご覧になりたい方はこちらをクリック

避難所外避難者からの報告
https://vimeo.com/1023120582?share=copy#t=2105.931

他自治体事例(避難所検索) 
https://vimeo.com/1023120582?share=copy#t=2403.947

2. 質疑応答 

回答は岩手県鈴木様
Q:岩手県主導と想定しますが、LINEを使うきっかけがあればご教授ください。また、アプリではなくLINEとなった背景も合わせてご教授ください。
A:庁内でもさまざな議論をしましたが、避難所の受付をデジタル化するにあたり、何を持ってくるかということを議論しました。「スマホと財布は最低限逃げる時に持って行くのではないか」「スマホ持参者のうち、個別アプリを入れるのはハードルが高いのではないか」という結論になりました。ある民間調査によると、「スマホを持っている方の8割はLINEを使っている」という調査結果があり、スマホを持っていてLINEを使える方は相当数いるのではないかという議論があり、LINEを使うという結論に至りました。

Q:県が主体で検討されている災害対策ですが、実際に運用されるのは各市町村ですか?自治体はGovTech Expressを契約しているのでしょうか?
A:今後県として実装していくのか、市町村へ契約を促していくのか結論が出ていませんが、現在は県で契約して運用しています。

Q:このサービスを市民レベルに浸透させるための良いアイデアがありましたらお聞かせください。(ものすごく良い発案だと思います。災害対策本部と市民を結ぶシステムとしてこんな使い方ができるLINEは市民側のツールとして利用しやすく最適だと思います。ぜひ本市でも利用させていただきたいです。)
A:現在、岩手県の公式LINEの友だち数は6000人程度しかいない状況です。LINEの友だち登録数を増やしたり、事前登録をしていただく方を増やすことが大切だと思っています。
LINEの友だち登録数を増やすことは防災だけでは難しいと思いますので、ほかの施策や広報公聴課とも協議し、地道に増やしていくしかないかなと考えています。

Q:次回の訓練で行う予定だと言われていた避難所のQRコードを読み込んで登録する場合、LINE登録は必要でしょうか?
A:(Bot Express仁志出) GovTech Expressのサービス特徴として、「LINEでもwebでも」という特徴を紹介させていただきました。技術的には、受付についてQRコードを読み込み、対話型Webフォームで入力しチェックインするという方法も可能です(LINE登録は必ずしも必要ではない)、ただチェックインした人をチェックアウトするというものについて紐付けできるのはLINEだけとなりますので、岩手県での仕組みは必ずLINEを登録してもらう方法をとっています。スムーズにチェックアウトを紐づけるにはLINEで行うほうが確実です。ただし技術的にユニークな値を入力してチェックアウトを紐づける方法は可能だと思います。(GovTech Expressの導入は必要です)

Q:マイナンバーカードのみを持参した避難者の受付方法はどのようなものがありますか?
A:次回の実証実験の検証ポイントでもあると思っています。LINEを使えない方や、マイナンバーカードしか持っていない方には、口頭受付や従来型の紙受付が考えられると思います。
1点補足として、取り組みの肝でもあるマイナンバーカードの受付は、専用のカードリーダーが各避難所に必要になるという課題がありますが、GovTech Expressはスマホを職員が持っていれば受付が完了できるので、マイナンバーカードににこだわらなくても良いのではないかと思っています。

3. GovTech Express紹介

Bot Expressの営業担当執行役員仁志出より、GovTech Expressについてご紹介しました。仁志出は元自治体職員ですので、自治体職員目線で的確なアドバイスが可能です。ぜひ気になる点があればお気軽にお問い合わせ下さい。

▼サービスの特徴
情報発信や手続等を行う単なるツールではなく、「スマホ市役所」というオンライン窓口を実現できるのが当社のGovTech Expressです。レゴブロックのように、自治体の規模や業務フローに応じて、様々な機能を自由に組み立て、実装することができます。

1.説明書がいらないIT
聞かれたことに答えるだけ。一問一答の対話型で分かりやすく、LINEのトーク内で全てが完結します。電話や窓口と同じ形がチャットボットで実現できます。

2.時間もコストも不要な双方向コミュニケーション
深夜や早朝でも連絡可能。LINEでコミュニケーションをとり、申請の不備までLINEで完結。セグメント配信や給付金に伴う送金手続きなどが実装でき、一対一での対話も可能です。

3.LINE、Webで利用可能
LINEやスマートフォンをお持ちでない方も利用可能なように、Webブラウザ版もご用意しています。住民の誰一人も取りこぼすことのなく公平なサービスを提供可能です。

4.自治体職員が開発
実現したいサービスをすぐ実装、各種助成金や国の方針の変化などに柔軟な対応が可能です。自分達で開発できるプラットフォームですので、新規予算や仕様書作成なども不要です。
各自治体でオンライン化した手続きはこちらからご覧いただけます。

5.全国でシェア
2024年10月時点で280以上の自治体職員が利用・開発し、「スマホ市役所」は日々急速に広がっています。他の自治体が実装しているサービスはすべて利用可能。短期間、一律料金で追加費用なく新機能が利用できます。

▼セキュリティ
LINEヤフー株式会社の追加規約に同意することでLINEにデータを残さない仕組みをご用意しています。また、他のシステムをご利用中の場合でも共存可能な仕組みになっていますので、ぜひご相談ください。

また、自治体LINE公式アカウントを他事業者でご利用中の場合でも、共存が可能ですので、ご要望がありましたらぜひご相談ください。

▼事例紹介

愛知県常滑市 避難所受付が20秒で完了 QRコードで避難所チェックイン 

群馬県 5分で完了。スマホで避難訓練

神奈川県座間市 LINEを使った職員参集訓練

山形県庄内町 子育て支援金のLINE申請9割

▼「スマホ市役所」機能別動画集
「スマホ市役所」のさまざまな機能をご紹介している動画集です。過去に開催したセミナーもこちらからご覧いただけます。

4. Bot Express登壇者

株式会社Bot Express パートナーサクセスマネージャー 淺田 恵里
誰でも利用できる行政サービスを充実させ、住民の暮らしを豊かにしたいと思い、名古屋市役所へ入庁。区役所での窓口事務や、条例等を制定する本庁部署において区役所事務の円滑な運営を支援。2021年6月より現職。パートナー自治体職員と共にGovTech Expressをフルに活用して多くの機能や手続きの実装に取り組む。
株式会社Bot Express 執行役員 営業担当 仁志出彰子
23年勤めた前職の大津市役所では勤労福祉、情報システム、学校教育、保健予防、経営経理、経営戦略の業務に携わっていた。その経験を活かし、住民により便利な市役所サービスを提供するだけでなく、忙しい公務員を助けることができるBot Expressのサービスをたくさんの自治体に知ってほしいと思い営業として入社。
株式会社Bot Express 執行役員 PR・コーポレート担当 松尾 明美
Dell、LINEの親会社NAVER海外拠点を経て、前職はLINE国内第二拠点LINE Fukuokaにて、広報・採用組織を統括。企業広報・危機管理広報・PRマーケ、採用など担当。2022年2月より現職。テクノロジーを活用した最高の住民サービスを提供し、日本の暮らしにもっと自由な時間を創ること、楽しくすることを目指している。

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