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【鹿児島県さつま町】避難所へのチェックイン機能導入(セミナーレポート)

10月27日、LINEを使った避難所DX!避難所へのチェックイン機能導入で避難者情報をリアルタイムに集約をテーマに、鹿児島県さつま町総務課 主査 髙木様、総務課主事 上西様をお招きしBot Express Showcase 第20回を開催しました。自治体職員の管理画面もお見せするデモンストレーション含むアーカイブ動画と、ポイントを書き起こしたイベントレポートをお届けします。

1.事例紹介

登壇者

さつま町 総務課 主査 髙木 繁典様
2004年入庁後、高齢者政策、産業振興、子育て支援分野に従事し、2022年10月より現職。LINEの機能拡張により、コロナワクチン予約以外にも住民に身近な行政サービスの提供範囲を拡大していきたいと考えています。
さつま町 総務課主事 上西 雅人様
2017年入庁後、商工観光PR課、農業委員会事務局に従事し、2022年10月より総務課危機管理係に所属しています。防災分野のデジタル化などを通して町民の皆様の安心・安全に貢献していきたいと思います。

さつま町概要

人口 18,804人(令和5年9月)

LINE公式アカウント登録者の属性 
・男女比 男性45.2% 女性54.8%
・年代属性 50代以上がユーザーの約過半数(47.9%)

LINE公式アカウント登録者数
・2018年開設当初(導入前)は1,000人程度
・GoVTech Express導入後、コロナワクチン接種の円滑な予約、LINEと電話予約に分散させることに大きく貢献した結果、5,000人超に。

LINE公式アカウントの開設と活用状況
行政の情報発信については、従来の紙媒体、防災無線、HP、メールなどが認知されていますが、スマホの普及と共にSNS・特にLINEの活用が急速に増加しています。
このような状況から、公式LINEからの情報配信は各課から行えるような運用になっています。

LINEで現在提供中のサービスについて
先進自治体のような幅広い機能提供ではないですが、今日ご紹介する防災機能以外にも、各課の相談に対応し、徐々に活用が広がっています。

避難所チェックイン機能(防災機能)提供の背景
さつま町では、過去に大きな災害経験があることから安全安心のまちづくりを目指しています。令和5年には、避難所備品等の充実やWiFi・タブレットなどの環境整備を行いました。こういった環境整備を踏まえて、避難所チェックイン機能の実証実験につながっています。

避難所チェックイン機能とは

モデル地区の選定
町内1公民会をモデル地区として、避難所チェックイン機能の説明会を11回開催しました。この公民会は、過去に洪水により浸水した経験があり、さつま町の中では世帯数も多く、高齢者から子育て世代まで、幅広い年代が住んでいるため、モデル地区として選定しました。

住民説明会での反応
当初は説明後にQRコードの作成まで行うことを考えていましたが、高齢者などスマホ操作が不慣れな方が多く、うまくいかない状況でした。
参加した方から、「自分では作成できない」「作るのが面倒だ」「町の指定避難所には避難しない」などの意見が寄せられました。

2回目以降の説明会
2回目以降の説明会では、避難所チェックイン機能の仕組みを紹介して、QRコード作成はお願いのみにとどめました。
その結果、積極的にQRコードを作成する方もいましたが、スマホ操作が苦手な高齢者など、作成に繋がらない場合が多かったです。
また、町の指定避難所に避難しない方も多いため、知人宅や車中泊避難をした場合は、LINE実装済みの「自主避難申告機能」を活用して、避難先を報告するように呼び掛けました。

取り組み結果として、160名に説明し、45名がQRコードを作成されました。

今後の課題解決への取り組み
・実際に避難所へ避難した方へ説明し、QRコードの作成を促します。
スマホを持っていても操作が不慣れな方には作成補助、スマホを持たない方については、希望者に対して危機管理係でQRコードを作成し、紙で配付を行う対策を考えています。
・ホームページや広報紙などでQRコード作成方法のPRを行う予定です。
・現在は職員自身の端末でQRコードを読み込むことになっていますが、これに抵抗がある職員もいるため、今年度から避難所に配備しているタブレットで読み込むなど、代替方法を構築する必要があると感じています。

以上のように、まだまだ課題がありますが、普及に向けて今後も取り組んでいきたいと考えています。

▼避難所チェックインのデモ

※16分58秒から

職員管理画面

2.GovTech Expressを活用したチェックイン機能

チェックイン機能とは

自治体がQRコードを発行し、住民がQRコードを読み取るパターン
自治体がQRコードを発行し、それを住民がスマホに読み込むことで記録ができます。施設ごとにポイントを付与することも可能で、スタンプラリー等に活用できます。
例えば観光スポットにQRコードを貼っておき、全てにチェックインしたらポイントを付与、ポイントが貯まった人に特別なメッセージやアンケートを送付することが可能です。

住民がQRコードを発行し、自治体が読み込むパターン
住民が事前登録することで、住民用のQRコードが生成されます。自治体側が読み込むことで、(避難所等で使用する場合は)入所者の属性を把握できます。さつま町の取り組みはこちらのパターンです。
利点としては、チェックインした人の氏名や生年月日を事前入力してもらうので、入所者の情報を細かく把握することが可能です。

▼デモ:QRコードを読み取ってポイントをゲット

※31分39秒から

QRコードを読み取るとポイント付与。ポイントが貯まった人にアンケートを通知することも可能。重複登録を防ぐような不正防止の機能もある。

▼デモ:QRコードを作成して成人式チェックインを行う

※35分35秒から

必要な情報を入力してQRコードを発行。これを読み込むことでチェックインが完了する。レポートでチェックイン状況を把握することもできる。

参考:神戸市事例

3.質疑応答

回答はさつま町総務課 髙木様、上西様

Q:災害時の避難者は老若男女問わず、多様な属性の住民が対象となる。
これを踏まえながら、LINEアプリによる受付を実行された一番大きな理由は何か?

A:これまで避難所に関する周知が不足していた部分がありました。個別にQRコードを発行することが今回の防災機能実装の目的ではありません。
LINE活用で、受付作業の簡略化により職員負担が軽減すると考えています。職員数が減っても避難所対応の質を落とさないようにしていきたいという考えで、今回の取り組みを行っているというのも理由として挙げられます。

Q:Salesforceに住基データを入れているのか?リストは別にあって突合できるIDなどを設定してそれをやり取りしているのか
A:住基データの取り込みはしておらず、今後も予定はありません。理由としては、一時帰省などの方が災害にあった場合は住基データと連動してこないという状況になるので、基本的には避難する方が住基データと連動する必要はないと考えています。

Q:入力された情報の現場(避難所)での確認方法
A:レポート、ダッシュボードの活用で確認できます。

Q:大規模災害時にインターネットが使用できない場合の対応
A:この機能を運用しても、当面はハイブリッド運用を考えています。引き続き避難所では紙の受付も残していく予定です。

Q:在宅避難者等の把握も想定しているか
A:リッチメニューの防災>自主避難申告による機能で把握しています。
避難者がどういった状況にあるのか、QRコード以外での把握もできるようにしています。

Q:機能を導入することで避難所運営に必要な人員は削減できたのか。
効率的な運営に繋がった部分についてご教示いただきたい
A:まだ実証実験という段階なので、多くの課題に対して機能改善・実装した結果を踏まえて効果的な運用を考えていきたいと思います。

Q:QRコード作成目標 全住民中のどのくらいを考えていますか?
A:直近の災害として大きなものは令和3年で、避難所には約500名が避難しました。有事に備えて1000名程度を目指しています。

Q:チェックイン重複の制御はできるか?
A:(Bot Express矢田)デモでお見せたしように、2回目を登録しようとすると弾くような設定が可能です。

Q:QRコードが作成できない、というのはどのような状況だったか?
A:高齢者はスマホ操作に慣れていないので、登録ができない状況でした。マニュアルを見ても分からない状況だったので、職員側で補助をしながら作成を進めていく必要があると思います。

Q:スマホを持っていない人への対策(QRコードを配布するなど)
A:実際に避難が必要な方は、高齢者支援部門や保健福祉部門で把握していいます。この機能を活用していくために、紙での印刷を配布することも検討しています。

Q:QRコードを素早く読み込むための工夫はありますか?
A:全避難所にWifi、タブレット端末を整備しています。職員のスマホを使うということに対する抵抗もあるので、配備されているタブレットを使えないかと検討しています。

Q:紙の時よりも、「QRコードを読み込むだけ」というのは短縮化できるという想定だと思うが、待ち時間は解決できたか?
A:QRコードは1回発行したらそれを使い続ける運用なので、一度住民がこの機能を行えば、その後住民の手は煩わせないと考えています。

Q:タブレットは何台?
A:1避難所1台(計20台)です。

Q:機能実装にかかった期間は?
A:大まかな機能ができたのは1ヶ月かからないくらいです。既に園児チェックイン機能というものがあったので、そこまで時間はかからなかったと思います。追加費用はありません。

Q:当日に付帯状況を追記することはできるか?
A:(Bot Express矢田)「追加情報を入力しますか?」というメッセージを入れて追加する事もできます。

Q:平時からQRコードの利用に慣れる必要があると思いますが、日常生活での使用や訓練は想定していますか?
A:モデル地区に対して、避難訓練を実施する予定です。イベント等でも広報しなければならないなと考えています。

4. 「スマホ市役所」を実現するLINE拡張サービスGovTech Express紹介

Bot Expressのパートナーサクセスマネージャー井上より、GovTech Expressについてご紹介しました。井上の前職は京都市役所、元自治体職員ですので、自治体職員目線で的確なアドバイスが可能です。ぜひ気になる点があればお気軽にお問い合わせ下さい。

▼サービスの特徴
情報発信や手続等を行う単なるツールではなく、「スマホ市役所」というオンライン窓口を実現できるのが当社のGovTech Expressです。施設予約、通報、各種申請など、様々な機能をレゴのパーツのように自由に組み立て、実装することができます。

1.説明書がいらないIT
聞かれたことに答えるだけ。一問一答の対話型で分かりやすく、LINEのトーク内で全てが完結します。

2.時間もコストも不要な双方向コミュニケーション
深夜や早朝でも連絡可能。LINEでコミュニケーションをとり、申請の不備までLINEで完結。セグメント配信や給付金に伴う送金手続きも可能です。

3.LINE、Webで利用可能
住民の誰一人も取りこぼすことのなく公平なサービスを提供可能です。Webフォームは大幅にバージョンアップして公開予定です。先日のセミナーでご紹介したデモがありますので、ぜひご覧ください。

4.自治体職員が開発
実現したいサービスをすぐ実装、各種助成金や国の方針の変化などに柔軟な対応が可能で、専用アプリのダウンロードは必要ありません。マイナンバーカードを利用した手続きがLINEで完結できます。
各自治体でオンライン化した手続きはこちらからご覧いただけます。

5.全国でシェア
2023年10月時点で190以上の自治体のスーパースター(自治体職員)が利用・開発し、「スマホ市役所」は日々急速に広がっています。他の自治体が実装しているサービスはすべて利用可能。短期間、一律料金で追加費用なく新機能が利用できます。

▼友達を増やす虎の巻
自治体のLINE公式アカウントで友だち追加に繋がった事例をまとめた「友だちを増やす虎の巻」を公開しています。

その他、事例ブックやケーススタディ集、フレックスメッセージ集もご用意していますので、HPお問合せフォーム又はBot Express LINE公式アカウントよりご連絡ください。

5. Bot Express登壇者


株式会社Bot Express パートナーサクセスマネージャー 小海途 悠真
新卒で伊勢市役所へ入庁し、生活保護、デジタル政策分野に従事。行政サービスのDXに取り組む中でGovTech Expressに出会い、サービス実現率の高さ、リリースまでのスピードの速さに惹かれ、この魅力を全国に広めるべく転職を決意。住民・自治体職員ともに便利に感じるサービスを実現し、いち早くまちの笑顔を増やしたい。さつま町を担当。
Bot Express登壇者:Bot Express パートナーサクセスマネージャー矢田 貴宏
静岡県庁に入庁し、用地買収業務、予算編成業務、防災業務に従事。その後民間企業を経て2022年10月より現職。行政サービスのDX化に関心があり、その実現を図るべくBot Expressに入社。GovTech Expressを全国に広め、住民・自治体職員双方が便利になる仕組みを作ることに使命感を感じている。
株式会社Bot Express パートナーサクセスマネージャー 井上 遼
新卒で京都市役所に入社後、地域防災・保健福祉分野を経験し、2023年7月から現職。 前職時から業務を効率化することに関心があり、自治体の「当たり前」を変えることができるBot Expressのサービスに強い衝撃を受け、入社を決意。住民と自治体の双方が便利になるよう全力を尽くしたい。趣味は筋トレとハンドボール。
株式会社Bot Express 執行役員 PR・コーポレート担当 松尾 明美
Dell、LINEの親会社NAVER海外拠点を経て、前職はLINE国内第二拠点LINE Fukuokaにて、広報・採用組織を統括。企業広報・危機管理広報・PRマーケ、採用など担当。2022年2月より現職。テクノロジーを活用した最高の住民サービスを提供し、日本の暮らしにもっと自由な時間を創ること、楽しくすることを目指している。





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