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【長崎県長与町】LINEを使ったファミサポ事業のマッチングで電話対応ゼロ(セミナーレポート)

11月30日、「LINEを使ったファミサポ事業のマッチングで電話対応ゼロ」をテーマに、長崎県長与町高橋様をお招きしBot Express Showcase 第21回を開催しました。自治体職員の管理画面もお見せするデモンストレーション含むアーカイブ動画と、ポイントを書き起こしたイベントレポートをお届けします。

1.事例紹介


登壇者

長崎県長与町 情報政策課 高橋 大輔 様
民間企業から公務員に転職し、2015年度入庁。情報管理課(現情報政策課)、教育総務課を経て2022年度から現職に従事し、DX推進業務を担当。自治体職員の「当たり前」をアップデートし、住みやすい町・社会への変革を目指す。

長与町概要

人口:39,903人(2023年10月31日時点)
職員数:195人(普通会計職員数)
LINE友だち数:6,372人

長与町LINE公式アカウントについて
4月にGovTech Expressを導入したことに伴い、住民サービス向上を目的とした機能拡充のため、広報担当が持っていた業務を引き継ぎ、情報政策課にて運用を開始しました。
本年10月にはメニューの更新を行い、本格的な実装に取りかかり始めました。
メニューに配置しているみかんをタップすると、別メニューが表示されるなど、遊び心を取り入れています。LINEを活用している人が触って楽しいと思えるようなアカウント作りを目指しています。

手続きについて

DXの進め方
全体戦略としては、自治体DXの推進に伴い、令和4年から各課にDXプロモーターと呼ばれるDX推進担当を配置しています。
LINEの位置付けは、令和5年からGovTech Expressを導入開始、オンライン申請の主軸として情報配信や通報システムなどあらゆる機能の導入を進めています。
取組方法については、Bot Express Showcase第7回山形県庄内町のレポートにある「実装の流れ」を参考にしてオンライン化を進めています。

今回のファミリーサポートにおける機能の実装については、担当課から提案があったものを当係で実装し、担当課と改善を重ねた後、本格利用を始めるという形です。住民利用スタートまで2週間で実装公開が完了しています

LINE活用の背景

ファミサポ事業は令和4年度までは委託、次年度から町の直営です。
開始当初は、従来通り電話連絡でマッチング作業を行っていましたが、対応してくれる協力会員を見つけるまで、1案件につき10件ほど電話をしなければならず、連絡がつかない会員も多かったため、かなりの時間がかかっていました。電話連絡は、連絡のたびにサポートの依頼情報を伝える必要があり、多くの人に情報が伝えられず、折り返しがあった時には別の方に決まっている場合があるなどの多くの問題が発生していました。

メールの一斉配信も行いましたが、リアルタイムに気づく人が少なく、結局電話連絡でマッチング作業をすることも多くありました。
そこで、多くの人が普段利用しているLINEならマッチング問題を解決できるのではと思い実装に至りました。

会員への説明・周知
令和5年4月、直営開始時に説明会を実施しました。
以下を説明し、LINEで託児依頼を行うことについて理解を求めました。

・電話での依頼は、事務局・協力会員ともに負担がかかるので極力避けたい
・LINEでの依頼に変更すれば、サポート内容を確認して自分の都合がいい場合のみ協力してもらうことができる
・メールは普段使用している人が少なく、リアルタイムに気付かないため送信しない

協力会員は幅広い年齢層の方がいますが、ほとんどの人がLINEを使用しているため反対する人はいませんでした。
また、このLINEを受け取るには町の公式LINEで登録する必要がありますが、
自力登録が難しい会員には個別に登録方法をお伝えし、当日中にテスト配信まで行ってもらいました。現在34名の登録会員が登録しています。
託児依頼LINEを送信し、翌日には数名から託児可能との返信が来ています。
久しぶりの託児や不安を感じている人にはアドバイザーから電話や対面アドバイスをし、マッチング業務で効率化できた時間をサポートに当てています。
今後は協力会員、会員住民の方を交えた交流会を定期的に行う予定です。
協力会員としては登録しているものの、説明会に参加できず活動が進んでいなかった方にも参加できるようにし、交流会の中でLINE登録を促すことで登録者数を随時追加していくことができればと考えています。

システム利用中の協力会員について
56%が60歳以上となっています。以下、システム利用中の方からの感想です。

・少々難しかったが、何とか登録できた。最初は思うように操作できなかったが、今は操作にも慣れ便利。
・アナログ世代でも簡単に登録でき、無駄がなく便利。
・電話は都合が悪い時に断りづらく、申し訳なさが残っていたが、今は体調に合わせて割り切って活動できるので、負担にならない。

マッチングの実績

4月以降、協力会員が見つからず託児をお断りした人は一人もいません。


実施の効果
これまではお願いする協力会員が固定していましたが、LINEを利用することによって今まで活動したことがない協力会員とのつながりもでき、ファミリーサポートセンター事業全体が活性化していったと感じています。

直営になったことにより、子育てに不安を持っている保護者にファミリーサポートセンターの利用を勧めるなど、支援センターとの連携もスムーズになりました。また、GovTech Expressを導入したことにより、協力会員を短時間で探すことができるようになった分、アドバイザーが利用会員や協力会員へのサポートに充てる時間を増やすことができており、より良い関係性を築けている一因になっていると考えています。

利用会員からは
「今まで兄弟同時での託児は、協力会員が見つからず断られることがあったが、託児をしてもらえて嬉しかった。」
「子育て支援センターで安心して預けることができた。」
などの声が届いています。

今後について
今後は、協力会員との個別のやりとりや、オンラインによる事前協議、利用会員の補助金申請など、さらなるサービス拡充に努めるとともに、直営ならではのメリットを活かし、核家族化が進む中、家族以外に頼ることができるファミリーサポートセンターとして、必要としている多くの人へ、子育て支援を行っていきたいと考えています。

長崎県での取り組み
GovTech Express共同調達として、長崎モデルと呼ばれるものがあります。これは、長崎県市町村行政振興協議会が市町村分を取りまとめて共同調達を行うことで、契約事務手続きの省力化や費用負担軽減を図り、情報共有のハブ的役割も担っているものです。1月の勉強会では他市町の担当者と運用状況や課題の共有ができました。本庁LINEの通報システム実装においては、近隣市町へシステムの実装や運用上の課題、システム等の詳細について聞くことができ、本庁の担当者も安心してシステム利用が開始できたと話していました。
県内のみならず、全国の担当者と事例や情報を共有できるのがGovTech Expressの強みだと感じています。

フィードバックアンケートの共有
LINEで実装した「産後の面談予約」のフィードバックアンケートにおける評価を共有します。出産後に保健師等による面談およびアンケートを取るための訪問日時を予約するための手続きになります。
・5段階評価のうち平均4.52点(103件)
・窓口や電話での手続と比べて、LINEの手続は便利だと思いますか。
→「はい」と答えた人が98%(101/103件)
・他の手続きについてもLINEを利用できればよいと思いますか。
→「はい」と答えた人が98%(101/103件)

<特徴的な意見>
・文字も選択出来て、あまり打つ手間もなく、サクサク進んで、とてもスムーズに日程予約出来て、とても良かった。
・いつでも時間のあるときに予約を行えるところがとても便利。
・時と場合に応じてどの方法で行うか選べるので便利。

これらの意見から、使いはじめの段階でつまずくことがあるため、事前の周知や利用方法の手順書をしっかりと整備しておく必要があると認識しました。

出産後来庁することや日中に電話の時間を割くことが困難な方もいらっしゃる中、時間や場所に制約のない手続きにできたことが高評価につながったと考えています。他の手続きについても実装して欲しいとの要望があることから、さらに機能拡充を加速させたいという決意も生まれました。

サービスを届けるには仕組みづくりが大切だと感じました。
システム実装後は協力会員が見つからず、お断りした人は一人もいないという結果が出ています。担当職員や協力会員が仕組みづくりに一生懸命に取り組んだ成果だと思っています。
GovTech Expressならば、全国の自治体担当者と課題解決の好事例や仕組みを共有することができます。一人でも多くの人にサービスを提供できるようなシステム実装を心がけ、ウェルビーイングの実現を目指していきたいと思います。

▼ファミサポ事業のデモ

※15:27から

管理画面で予約進捗状況を把握することができる


2.GovTech Expressを利用した送金手続き

送金機能とは

システム連携をしなくともフォローアップ機能を使って対応。

送金事業のデモ

※41:03から

管理画面、ステイタスはカードをスライドするだけで移行可能

3.質疑応答

回答は長与町様

Q:マッチング機能の導入にあたり、庁内での意志決定や関係部署との調整で工夫されたことがありましたら、ご教授ください。
A:直営開始時には時間がかかり、業務移行がスムーズでない状況でした。何とか業務の効率化を図りたいと考え、アドバイザーや担当者は、高齢の方でもすぐに活用できる方法を見つけるため、情報政策課に依頼したとのことです。
行政として必要な情報をシステムに組み込むことを検討していましたが、登録者に高齢者が多いことを考慮して、情報は名前のみに限定し、利用方法もシンプルな工程にしました。
利用開始するまでは担当課には手厚いサポートをするようにお願いしました。

Q:導入後、子育て援助の協力者やアドバイザーからの感想はいかがでしょうか?
A:アドバイザーからは、利用会員からの急な依頼や活動予定の方が急に予定がつかなくなっても余裕を持って慌てずに対応できています。
一斉送信をすると誰かが参加してくれることが多く、柔軟に対応できていると聞いています。

Q:利用会員が運営を通さずに直接会員に依頼をできますか?
A:利用会員は必ず運営を通し、登録会員にのみ依頼しています。
LINEから直接協力会員に連絡することはできず、必ずマッチング作業は町が行っています。

Q:依頼について、特定の会員のみに配信できますか?
A:特定配信にはなっていません。以前、一斉送信後に協力会員に託児をお願いして、「もう一度同じ人に来てもらいたい」という意見をもらうこともありますが、その時は個別依頼するようにしています。
(Bot Express中原)直接特定の方に連絡したいという要望があった場合でも、システム的にはLINE上で対応することが可能です。

Q:提供会員の信用度調査は事前に行っていますか?
A:前委託先から運営を受け継いだ時に説明会を実施し、アドバイザーと職員で顔合わせをしています。また、実績があるかどうかも前委託先から引き継いでいます。
長与町の特徴として、支援センターと連携しているので、問題がないかも見てもらったりフォローをしてもらっていて、気になることがあればセンターに報告いただくようにしています。

Q:長与町LINE公式アカウント1つで行っていますか?
A:はい、一つで完結しています。

Q:マッチングサポート機能に費用はかかりましたか?
A:(Bot Express中原)プラットフォームの利用料とユーザー費用という料金体系なので、手続き追加は追加費用なく無料で作成することが可能です。
今回と同じ仕組みを導入したい場合、契約自治体であれば無料で実装可能です。

4. 「スマホ市役所」を実現するLINE拡張サービスGovTech Express紹介

Bot Expressのパートナーサクセスマネージャー中原より、GovTech Expressについてご紹介しました。中原は元自治体職員ですので、自治体職員目線で的確なアドバイスが可能です。ぜひ気になる点があればお気軽にお問い合わせ下さい。

▼サービスの特徴
情報発信や手続等を行う単なるツールではなく、「スマホ市役所」というオンライン窓口を実現できるのが当社のGovTech Expressです。施設予約、通報、各種申請など、様々な機能をレゴのパーツのように自由に組み立て、実装することができます。

1.説明書がいらないIT
聞かれたことに答えるだけ。一問一答の対話型で分かりやすく、LINEのトーク内で全てが完結します。

2.時間もコストも不要な双方向コミュニケーション
深夜や早朝でも連絡可能。LINEでコミュニケーションをとり、申請の不備までLINEで完結。セグメント配信や給付金に伴う送金手続きも可能です。

3.LINE、Webで利用可能
住民の誰一人も取りこぼすことのなく公平なサービスを提供可能です。Webフォームは大幅にバージョンアップして公開予定です。先日のセミナーでご紹介したデモがありますので、ぜひご覧ください。

4.自治体職員が開発
実現したいサービスをすぐ実装、各種助成金や国の方針の変化などに柔軟な対応が可能で、専用アプリのダウンロードは必要ありません。マイナンバーカードを利用した手続きがLINEで完結できます。
各自治体でオンライン化した手続きはこちらからご覧いただけます。

5.全国でシェア
2023年10月時点で190以上の自治体のスーパースター(自治体職員)が利用・開発し、「スマホ市役所」は日々急速に広がっています。他の自治体が実装しているサービスはすべて利用可能。短期間、一律料金で追加費用なく新機能が利用できます。

▼友達を増やす虎の巻
自治体のLINE公式アカウントで友だち追加に繋がった事例をまとめた「友だちを増やす虎の巻」を公開しています。

その他、事例ブックやケーススタディ集、フレックスメッセージ集もご用意していますので、HPお問合せフォーム又はBot Express LINE公式アカウントよりご連絡ください。

5. Bot Express登壇者


Bot Express登壇者:株式会社Bot Express パートナーサクセスマネージャー 中原 郁美
性別や年代などを問わず、多くの方たちに寄り添ったサービスを作りたく、自治体やクラウドファンディングサービスの業務に従事。住民の満足度を追求しつつ、自治体の挑戦を応援できるところに惹かれ、2022年5月から現職。感覚的に使える便利なサービスを広め、より身近な行政サービスの実現を目指す。
Bot Express登壇者:Bot Express パートナーサクセスマネージャー矢田 貴宏
静岡県庁に入庁し、用地買収業務、予算編成業務、防災業務に従事。その後民間企業を経て2022年10月より現職。行政サービスのDX化に関心があり、その実現を図るべくBot Expressに入社。GovTech Expressを全国に広め、住民・自治体職員双方が便利になる仕組みを作ることに使命感を感じている。
株式会社Bot Express 執行役員 PR・コーポレート担当 松尾 明美
Dell、LINEの親会社NAVER海外拠点を経て、前職はLINE国内第二拠点LINE Fukuokaにて、広報・採用組織を統括。企業広報・危機管理広報・PRマーケ、採用など担当。2022年2月より現職。テクノロジーを活用した最高の住民サービスを提供し、日本の暮らしにもっと自由な時間を創ること、楽しくすることを目指している。

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