【北海道恵庭市】「ごみアプリ」同様機能をLINEに搭載。セミナーレポート
10月18日、聞かれたことに答えるだけで、粗大ごみ予約・オンライン決済が可能なスマホ市役所。「ごみアプリ」同様機能をLINEに搭載、をテーマに北海道恵庭市をお招きし、Bot Express Showcase 第29回を開催しました。自治体職員の管理画面もお見せするデモンストレーション含むアーカイブ動画と、ポイントを書き起こしたイベントレポートをお届けします。
1. 事例紹介
登壇者
▼恵庭市概要
▼デジタル戦略とLINEの位置付け
上記5つの基本方針に基づき、デジタル化推進計画として約50の事業に取り組んでいます。実施計画の中に「LINEを活用した市民サービスの導入」という事業があり、情報政策課主導のもと推進しています。庁内調整〜構築まで1人で行っていましたが、LINE活用推進をより加速させるため、最近は2名体制で構築しています。
住民の利便性向上と、職員の事務負担軽減を目的として導入しました。しかし情報政策課の思いとは裏腹に、「LINEで一体何ができるのか」「新しいツールが増えると仕事が増えそう」といった漠然とした不安が全庁的にあり、LINE実装に消極的な雰囲気で、実施計画通りに進まないのではないかと不安になりました。しかしながら、機能が充実して友だち数が増えたことで、庁内のLINEに対する意識が変わりつつあると感じています。
今日付(10/18)では11,900人弱、人口の約16%をカバーしています。今年度末までに人口の20%にあたる14,000人を目標としています。増加の要因として、新機能実装や広報誌掲載などが影響しています。
▼実装機能と庁内調整
固定資産の利用状況等の変更届は、家屋の取り壊しや増改築、利用状況に変更があったときにLINEで届け出てもらう機能です。
花シェアは、通報機能を活用し、花が綺麗な場所の写真等をLINEで共有してもらうもので、春に桜の開花情報シェアを行い、桜が終了したタイミングで花シェアに切り替えました。現在は紅葉シェアとして公開しています。「ガーデニングのまち」である当市らしい機能だと感じています。
先にご説明した通り、LINEで実装することに消極的な雰囲気があり、課題となっていました。そのため、LINEをなぜ導入したか、具体的に何ができるのかを知ってもらうためにBot Expressの協力をあおぎ、全庁向けの事例紹介・個別相談会を実施しました。その後、すぐに他市の事例をリスト化し、各業務の主管に実装の可否と、実装不可の場合は理由を調査しました。他市の事例はBot Expressの公開事例を活用しました。
実装機能調査の結果を元に実装機能を選定し、原課に提案することを考えていましたが、説明会実施により、庁内のLINEへの理解が深まったことで、原課から相談されることが多くなり、今はその対応に追われているという嬉しい誤算がありました。
相談される機能以外にも、アンケートで住民への利用満足度を調査し、要望が多かった機能を原課に打診するということも行っています。原課との調整はヒアリング後に情報政策課で構築し、原課に確認して住民公開するという流れを基本としています。
まずはヒアリング自体をしっかり行い、現状の運用の確認や、LINEで運用する場合の現状とのギャップについて時間をかけて話し合っています。
紙での運用をそのままLINEに適用すると業務効率化にはならず、システム的にも難しい部分があります。少しでも利用者が使いやすく、職員の事務負担が軽減できるよう、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を含めた構築を心がけています。
恵庭市のLINEは、公開から8ヶ月程度と発展途上ですが、LINEに関する相談件数も増え、恵庭市でのLINEの位置付けが高くなっていることを日々感じています。
ごみ関連機能紹介
廃棄物管理課のモットーとして「ごみのことなら全てLINEで解決!」を掲げて構築に取り組んでいます。ごみに関する困りごとをデジタルでサポートできる環境の構築に努めています。
▼ごみ分別回答
本機能のメリット
<市民側>
・24時間365日いつでも検索することができる
・分別冊子には記載のない細かな品目まで確認することができる
<職員側>
・平均100件/月の電話対応件数の減少
▼ごみの日通知設定
本機能のメリット
<市民側>
・「出し忘れ」や「曜日間違い」を防ぐことが可能
※特に月に一度しかない「燃やせないごみ」の曜日忘れ防止に最適
<職員側>
・収集日間違いにより置いていくごみの対応件数の減少
▼ごみの日(収集日カレンダー機能)
本機能のメリット
<市民側>
・24時間365日いつでもどこでも確認することができる
・紙のカレンダーを紛失しても安心
<職員側>
・紙のカレンダーの紛失に伴う再配布対応件数の減少
▼ごみの出し方
本機能のメリット
<市民側>
・分別や出し方について、分かりやすい動画で確認が可能
・分別冊子がなくても細かい分別・出し方について確認が可能
<職員側>
・市民の分別意識の醸成や分別知識の習得が見込める
▼ごみ袋等販売先の案内
本機能のメリット
<市民側>
・現在地から最も近い取扱店を確認することが可能
・ばら売りを実施している取扱店を確認することが可能
<職員側>
・「自宅から最も近い取扱店」や「ばら売りを実施している取扱店」の確認や問い合わせ件数の減少
▼ごみ・リサイクル情報
本機能のメリット
<市民側>
・回収店舗先や拠点回収先をすぐに確認することが可能
・各種リサイクル事業の詳細についてもすぐに確認が可能
<職員側>
・リサイクルの推進や市民のリサイクル意識の醸成が見込める
▼不法投棄通報
本機能のメリット
<市民側>
・24時間365日いつでも通報することができる
・現場の写真で状況を伝えることができる
<職員側>
・不法投棄の現状を即座に確認することが可能
▼ボランティア袋回収連絡
本機能のメリット
<市民側>
・24時間365日いつでも依頼することができる
・電話や紙媒体で行っていた依頼がLINEで可能となる
<職員側>
・電話および窓口応対件数の減少
▼収集漏れの連絡
本機能のメリット
<市民側>
・24時間365日いつでもどこでも依頼することができる
・電話でのヒアリングを割愛することができる
<職員側>
・電話応対件数の減少
新機能の紹介 粗大ごみの受付
▼機能紹介
▼構築面・運用面での工夫
・粗大ごみのカテゴリーの中でリストに含めないものもあるためカテゴリー名を分けて差別化。
→LINEでの受付は粗大ごみ全てでなく、品目を絞っているため、「粗大ごみ」と「粗大ごみLINE申込」を分けるといった工夫をしています。
・品目の写真を必須とすることで誤申請及び虚偽申請を未然に防止。
→リストの中から実際に出される粗大ごみを選択した後、出される品目の写真も必須としています。これにより、申請品目と相違がある場合や安い金額で申請するような虚偽申請を、写真と突合することで防ぐことが可能です。
・申請件数及び申請個数に制限を設け、ミニマムスタートで実施。
→1日に申請できる件数を5件まで、一度に2つまでと制限をしています。ミニマムでスタートし、状況を見て制限を緩和していくような形で取り組みたいと考えています。現在1日あたり10件程度申請を受けていますが、制限を設けたことで、委託業者へのフォローアップがしやすく、良い工夫だったと感じています。
・電子決済に加えて、ごみ処理券も使用可とすることによって市民の選択肢を拡大。
→電子決済はPayPayとクレジットカードが使用可能です。加えて、現金で購入するごみ処理券での対応も可としています。申請自体は電子申請で行い、決済はごみ処理券で行うという形で、選択肢の拡大を実現しています。
▼委託業者との調整
・操作マニュアルの作成、操作研修の実施によって、システムの導入に抵抗なく運用開始を迎えることができた。
→操作マニュアル作成後、研修自体は2回程度しか実施していませんが、委託業者の抵抗もなく進めることができています。
・初心者でも操作しやすいレイアウトで、操作内容も簡潔なシステムであるため、委託業者でも問題なく操作可能。
▼恵庭市デモンストレーション(粗大ごみ)
2. 質疑応答
回答は恵庭市高田様
Q:収集業者とのやり取りの方法を知りたいです。
当町では粗大ごみのリクエスト回収を実施しています。手数料と引き換えに粗大ごみに貼る識別シールを交付し、これを対象のごみへ貼っておいておくと、委託業者が回収してくれるというものです。スマホ市役所の機能で、手数料決済や対象のごみの識別(役場サイド)までは思いつきますが、委託業者との調整をどうしたら良いか悩んでいます
A:恵庭市の場合、委託業者にシステムアカウントを付与していますので、基本的に受付から最後の処理まで委託業者で行っています。市でも管理画面で確認できますので、何か問題があれば互いに確認しながらどのような対応を取るか調整して運用しています。
Q:品目の写真と実際の粗大ごみの現場での確認方法はどのようになっていますか?タブレットなどで確認しているのでしょうか?
A:品目の写真を必須としていますので、写真と申請された品目に相違がなければ受付するようになっています。相違がない場合は申請された品目を実際に収集員に伝え、その品目と同じものであれば収集するようになっていますので、タブレットや品目の写真を持参するということはありません。
Q:ごみ処理券利用の場合とLINEで完結する場合利用者が支払う料金に差はありますか?
A:支払う料金は同じです。申請の段階で金額が確定し、その金額を電子決済かごみ処理券かで分岐しますので、支払う料金に差は発生しません。
Q:システム権限について、委託事業者用のアカウント作成し、GovTech Expressにログインして運用する形ですか?その場合、権限設定はどのように棲み分けしていますか?
A:委託業者専用のアカウントを発行し、運用する形です。委託業者には粗大ごみの申請に係る権限のみを付与していますので、他の申請機能は見られないように設定しています。
Q:委託業者は管理画面を元にスケジュール管理をしていますか?あるいは別システムで管理していますか?
A:管理画面を元に、申請された内容について紙で収集一覧リストを作成し、リストを持って収集に伺う形になります。申請するところまでを管理画面で管理していますので、別システムで管理している部分はありません。
Q:希望日に回収に行けない場合はありますか?
A:市で回収に伺える日のみを選択できるように設定していますので、回収に行けない場合はありません。
Q:オンライン決済にかかる手数料はどの部門で負担していますか?他にも様々な部署で決済が可能だと思いますが、どのような分け方をしていますか?
A:現在は粗大ごみの手続きのみで手数料決済をしていますが、運用方針としては、各所管課で負担することを考えています。
3. 「スマホ市役所」を実現するGovTech Express紹介
Bot Expressの営業担当執行役員仁志出より、GovTech Expressについてご紹介しました。仁志出は元自治体職員ですので、自治体職員目線で的確なアドバイスが可能です。ぜひ気になる点があればお気軽にお問い合わせ下さい。
▼サービスの特徴
情報発信や手続等を行う単なるツールではなく、「スマホ市役所」というオンライン窓口を実現できるのが当社のGovTech Expressです。レゴブロックのように、自治体の規模や業務フローに応じて、様々な機能を自由に組み立て、実装することができます。
1.説明書がいらないIT
聞かれたことに答えるだけ。一問一答の対話型で分かりやすく、LINEのトーク内で全てが完結します。電話や窓口と同じ形がチャットボットで実現できます。
2.時間もコストも不要な双方向コミュニケーション
深夜や早朝でも連絡可能。LINEでコミュニケーションをとり、申請の不備までLINEで完結。セグメント配信や給付金に伴う送金手続きなどが実装でき、一対一での対話も可能です。
3.LINE、Webで利用可能
LINEやスマートフォンをお持ちでない方も利用可能なように、Webブラウザ版もご用意しています。住民の誰一人も取りこぼすことのなく公平なサービスを提供可能です。
4.自治体職員が開発
実現したいサービスをすぐ実装、各種助成金や国の方針の変化などに柔軟な対応が可能です。自分達で開発できるプラットフォームですので、新規予算や仕様書作成なども不要です。
各自治体でオンライン化した手続きはこちらからご覧いただけます。
5.全国でシェア
2024年10月時点で280以上の自治体職員が利用・開発し、「スマホ市役所」は日々急速に広がっています。他の自治体が実装しているサービスはすべて利用可能。短期間、一律料金で追加費用なく新機能が利用できます。
▼セキュリティ
LINEヤフー株式会社の追加規約に同意することでLINEにデータを残さない仕組みをご用意しています。また、他のシステムをご利用中の場合でも共存可能な仕組みになっていますので、ぜひご相談ください。
また、自治体LINE公式アカウントを他事業者でご利用中の場合でも、共存が可能ですので、ご要望がありましたらぜひご相談ください。
▼事例紹介
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▼「スマホ市役所」機能別動画集
「スマホ市役所」のさまざまな機能をご紹介している動画集です。過去に開催したセミナーもこちらからご覧いただけます。
https://bot-express.notion.site/ba1b3407a7c14aae9ea14ab72db3ff4c