3自治体事例を一挙に紹介。博多駅で開催したリアルセミナーレポート
オンラインもいいけど、そろそろ対面でお会いしたい!ということで、Bot Express初のリアルセミナーを、10月に福岡市にて開催しました。会場にお越しいただけなかった方にも、自治体事例を知っていただきたく書き起こしレポートをお届けします。
LINEの友だちを増やす方法を模索している方
行かない・書かない・待たない役所窓口を実現したい方
スマホ市役所導入後の庁内調整や企画の立て方について知りたい方
これらに該当する自治体職員の方に向けたコンテンツです。プレゼンスライドの送付も可能です。希望される方は「リアルセミナー資料請求」と記載の上、以下よりご連絡ください。
【お問い合わせ】https://www.bot-express.com/contact/
セミナー概要
会場は九州の玄関口「JR博多駅」。九州圏内はもとより、関西圏からも足を運びやすい場所という理由で選定しました。結果的に、九州や中国地方、関西からご参加いただきました。
導入自治体担当者による取り組み紹介
1:驚異的なLINE友だち数!人口相当の友だち数獲得術(長岡京市)
長岡京市の井手と申します。人口相当の友だち獲得術についてお話しします。
<LINE活用状況>
まずLINEの活用状況ですが、現在友だち数が8.8万人。人口対比で100%以上の友だち数となっています。約6万人が市民だと推定しています。
長岡京市LINE公式アカウントは、50以上の手続きを提供しています。2020年3月から情報発信ツールの一つとして運用を開始していますが、当初から「市の事業とリンクさせて友だちを増やしていく」という方針で進めてまいりました。
<友だち増加の推移>
LINEをはじめて1年である2021年3月は7,000人、翌年7月に45,000人、2022年11月に79,000人、そして今年8月末で88,000人獲得しています。LINEとGovTech Expressを連動させ、新事業施策と組み合わせることで、約2年間で10倍以上友だちを獲得することができました。
<LINEを活用した事業>
事業と組み合わせて実施したものについて、2つご紹介します。
まず、1つ目がワクチン接種予約のLINE実装。80%の方がLINEからの申し込みでした。その結果友だちが3万人増えました。
2つ目がLINEクーポン祭です。市内の事業者に協力いただいて、市内で3割引で商品を買えたりサービスを受けられたりする取り組みです。市民からの反響も非常に大きく、3.4万人の友だちを増やすことができました。
<LINEクーポン祭り、取り組み背景>
LINEクーポン祭について詳しくお話させていただきます。
事業の目的としては2つ。コロナで影響を受けた事業者の支援と、市内での買い物を促すためです。
従来、紙の商品券やプレミアム商品券を発行していましたが、課題がありました。大規模店舗で集中的に使われ市内の回遊性が高まらないこと、そして、事務経費です。偽造防止の紙を使ったり、書留で郵送したり、銀行での換金手数料を委託したりと、事業費のうち事務経費が高止まりしていました。
そこで、担当課からデジタルを使って課題を解決できないかと相談があり、LINEとGovTech Expressを活用し、システムを構築しました。
<LINEクーポン祭りの仕組み>
まずリッチメニューの一つを使い、すぐにアクセスしやすくしました。タップすると、カテゴリを選べるようになっています。カテゴリーを選ぶことで、クーポン券が表示されるという仕組みです。「食べる」の後には、ラーメンや焼肉といった、さらに細かいカテゴリがでてきます。
工夫した点は、店舗ごとに推しの写真を使うことと、市民が自身のスマホを使ってクーポン券を掲示するという形。これにより、店舗側の導入負担はありません。キャッシュレス決済を導入していない事業者も参加できるため、市民はたくさんのお店に行くことができました。
<LINE×GovTech Expressのメリット>
LINEクーポン祭りにおいて、LINEとGovTech Expressを使ったことでの職員のメリットは2つありました。
一つ目は、実装スピードの早さ。相談を受け付けてから翌日にはデモを見せることができます。担当課は構築したデモを活用し、市長や上層部へプレゼンを行いました。意思決定のスピードが非常に早かったです。
二つ目は事務経費。
かかった費用は、担当課へのアカウント付与1つだけです。紙印刷などの事務経費がほとんどかからなくなりました。事業費のほとんどを市民や事業者に還元できたということで、非常に効率の良い事業になったかなと思います。
業者に発注して納期を待つというようなこともないので、今までの行政の仕事の進め方や進捗の仕方を一変させています。サブスクリプション型で、職員自らが自由に開発できる最強のツール、LINEとGovTech Expressの組み合わせです。ちょっとやってみよう!ということへのハードルがすごく下がりますので、色んなことにチャレンジするようになりました。
<LINEクーポン祭りの事業実績>
クーポンは17万回以上使われました。多い日は1万回以上作動していましたが、システム的には全く問題なく稼働しています。ワクチン接種予約の際も非常にアクセスが集中しましたが、その時でも問題なくシステムは稼働していたため、非常に安定しているシステムだと再認識しています。
事業費は約1億3,000万でしたが、地域の経済効果としては、4億3000万円ほどあったと試算しています。友だちは3万以上増えています。
<これから>
「世界からめんどくさいをなくせ」という言葉、Bot Expressのキャッチコピーとして使われていますが、僕は本当にこの言葉が好きです。
市役所は非効率な仕組みが山ほどあり、何とかそれを無くしたいと思っています。市民にとっても便利で、職員にとってもめんどくさいがなくなったら一番いいなと思っていて、それを実現できるのがGovTech Expressだと感じています。
今日初めて、福山市、古賀市のご担当者の方とお会いしましたが、同じシステムを使い役所を変える挑戦をしている仲間として、悩みや課題をお話しすることができました。ぜひ皆さんとも、GovTech Expressを使って、一緒に仕事のあり方を変えて行けたらいいなと思っています。ありがとうございました。
2:JPKI導入で行かない、書かない、待たない役所窓口!(福山市)
登壇者:広島県 福山市 総務局総務部ICT推進課 曽根様
広島県福山市ICT推進課曽根と申します。福山市からは、行政手続きに特化した内容で共有させていただけたらと思います。
<福山市のデジタル戦略>
福山市が取り組むデジタル戦略について共有します。コロナを一つのきっかけとし、2021年度にデジタル化実⾏計画を策定いたしました。⽬標は「誰もが、デジタル化の恩恵を享受できる都市 ふくやま」です。その中でも市民サービスの向上という項目で「行かない・書かない・待たない」行政手続きの実現を掲げています。
<福山市LINE公式アカウントの導入経緯と提供しているサービス>
2020年にLINE公式アカウントを開設し、情報発信ツールとして活用していました。2023年9月時点では、友だち数は約15万人になっており、3人に一人の方が登録いただいているという状況です。
LINEを開設した後、2021年11⽉に⾏政版デジタル化実⾏計画を策定し、デジタル化を進めていく中で住⺠との重要なコミュニケーション⼿段であるLINEに注⽬をしました。LINE活⽤を深めるために事案を調べる中で、GovTech Expressと出会い、プロポーザルを経て、導⼊しました。LINEとGovTech Expressを組み合わせて稼働し始めた2022年3⽉から、申請から⼿数料の決済までLINE上で解決できる「オンライン市役所」を始めました。申請以外にも、予約機能や、セグメント配信、⼦育て関係の⼀時預かり予約などを可能としています。
<LINEを活用した公的個人認証(JPKIのメリット>
LINEを通して公的個人認証を行えることのメリットは、「申請から手数料の決済までひとつのアプリで行える」ことが大きいと考えています。
導⼊したのが2022年3⽉、コロナ禍で外出への不安感もある中で⾃宅から申請ができることが大きなメリットでした。そして現在でも窓⼝対応を削減できるなどのメリットもあります。昨今、マイナンバーカードに不安を感じる報道がありますが、住⺠からマイナンバーカードとLINEを活⽤した申請⼿続きに関連する批判の声は届いていません。そういった意味でも、LINEを活⽤した申請⼿続きは住⺠の信頼を得ていると感じています。
<受付件数と得た成果>
申請結果です。導入して1年5カ月が経過していますが、前年度と比較すると受付件数は増加傾向にあります。申請のうち、約5割が時間外の申請です。
申請後にフィードバックアンケートを行っており、回答者のうち7割が「便利だった」「ありがたい」と高い評価をしてくれています。
改善点として「マイナンバーカードの読み取りが難しい」という声もあります。あとは「他の申請手続きも増やしてほしい」という要望も届いています。
<業務内容の改善と負担軽減>
住民からの申請受付をオンライン化していくことで、徐々に効果を実感してくれている状態です。住民から担当課への操作方法についての問い合わせが少ないこと、担当課からICT推進課への操作方法についての問い合わせが少ないことが特徴的です。
オンライン申請が増えることで、電話や窓⼝の対応件数が減少し、職員は本来の業務に集中することが可能になりつつあります。また,申請は1問1答形式のため、操作に迷うことなく申請が可能です。記⼊漏れ等も激減しています。窓⼝業務担当者からは、外国籍の⽅のオンライン申請が予想以上に多いと聞いています。窓⼝に出向いて⾃分で記⼊したり、説明を受けるよりLINEから申請するほうが、当事者にとってハードルが低いのだろうと感じています。
<これから>
「行かない・書かない・待たない」市役所を目指して取り組んでいますが、我々はまだ現状には満足しておらず、まだまだ改善できる余地があると考えています。BPR観点も持って、各部署と密にコミュニケーションを取りながら、課題解決に向けた提案をしています。LINEとGovTech Expressを組み合わせる技術は、間違いなく、デジタル化推進の新たな基盤としての重要な役割を担っていると思います。今後も住⺠サービスの向上につながるようDXを推進していきます。
3:短期間で住民公開!スピード開発・庁内調整の秘訣(古賀市)
登壇者:福岡県 古賀市 総務部 経営戦略課 横山様
古賀市の横山です。古賀市のLINE公式アカウントは、運用開始から約半年経過しました。利用者目線で取り組んでいますので、その観点でシェアさせていただきます。
「ひと育つ こが育つ」とありますが、これは古賀市の総合計画基本構想の将来像として掲げているイメージです。この都市イメージのもと、あらゆる分野で「すべての人」を重要なキーワードとしています。そんな中、行政サービスの向上やデジタル化の恩恵を広く享受できる環境を推進しようと、LINEの開設に至りました。
私個人としては、デジタルに明るいとは言えない状況です。だからこそ、利用者の目線で、まずやれるところから進めていこうとしているところです。
<古賀市の概要>
福岡都市圏の域内にあり、人口は6万人弱です。JR鹿児島本線、国道3号線と九州自動車道の古賀インターなど、アクセスに恵まれた町です。最近の取り組みとしましては、ゼロカーボンシティ宣言を行って脱炭素化に向けた起業支援や、温泉施設を改装したインキュベーション施設快生館の運営を行うなど、公民連携で新たな価値を生み出すまちづくりを行っています。
<GovTech Expressを選んだ理由>
古賀市では、LINE公式アカウントを2023年1月開設しました。そのタイミングでGovTech Expressも導入しています。選定理由は、LINE上で会話をするように答えていくだけで手続きが完結すること、ノーコードツールで構築がすぐにできること、他自治体事例をベースに職員自身がカスタマイズできること、公的個人認証サービス(JPKI)が使えることなどがあります。
<LINE公式アカウント友だち推移>
開設して8月までの友だち数の推移です。半年間で人口の約1割の友だち数になりました。青い箇所が友だちがぐっと増えたところになります。
1月、友だち追加でプレゼントを渡す企画を組みました。3カ月間、毎月抽選で20人にプレゼントするというもので、3カ月で730人の応募がありました。
3月には、なの花祭りで、その場で友だち追加してくれた方にプレゼントを渡す企画を行い、1日で500人増えました。そしてアビスパ応援DAY企画は、試合に小学生を招待するというものですが、これまではホームページの申込フォームで応募してもらっていましたが、LINEだけに切り替え一気に小学生の保護者の友だちが増えました。5月、食の祭典で割引クーポンをプレゼントの取り組みで500人。そして子育て支援事業を開始したことで乳幼児の保護者の友だちが増えました。
<友だちを増やす取り組み>
友だちを増やす取り組みの紹介です。広報での特集に加え、市民のご意見コーナーで紹介したところ、中高年の方の友だち追加に効果がありました。クーポンは実際にメッセージ配信したもの、ポスターは食の祭典で会場に貼っていたものです。
市長から、ポスターを公共施設に掲出し、「何が起きているのか!」と思わせるような状態にしてほしいというリクエストがあり、公式でダウンロードできるポスターを関係各所に貼って回りました。
ショップカードは名刺サイズです。各課でも独自にショップカードを作ってくれて、窓口で個別に配って地道に友だちを増やしていっています。
<LINEに実装した機能、予約・申込編>
ここ半年で実装した予約申し込みメニューを記載しています。どれも担当課から相談があって実装した機能です。
<LINEに実装した機能、その他編>
次に、予約申し込み以外に実装したメニューがこちらです。
行政区長、隣組長等の報酬の支払い口座を届けてもらうことに、初めてJPKIを活用しました。ごみの分別検索機能により、問い合わせが減ったということで、担当課が喜んでいます。
ポイント機能は、ボランティアに参加する際にQRコードを読み込みポイントを貯めてもらい、最後にポイントの累計に応じた手当を払うものになっています。
セグメント配信は市からのお知らせ以外を記載していますが、情報を受け取りたい人に設定してもらうことで、その人達限定のメッセージを配信しています。防災無線のメールtoLINEは、最初に設定すれば、防災メールが発信されるたびに同じ内容が自動的にLINEで配信され、とても便利な仕組みになっています。
<事例紹介、リーパスカレッジ>
3月ごろに構築した申込のメニューをご紹介します。半年後に開催する生涯学習のための100近い講座に関する申込業務です。
これまでは、Googleフォームで申し込みを受け付けていました。子供向けの講座や大人向けの講座をひとりの方が複数申込し、さらに持ってくるものなどについて、電話やメールで連絡していました。電話はつながらないことが多く、折り返しがあっても、今度は職員の不在があったり、メールは定期的に確認しない人が多く、メールの返事が返ってこないということが悩みで、職員の負担となっていました。
今年度からLINEでの申し込みを一本化し、申込者への連絡がLINEでできる、返事もすぐくるということで、かなりストレスが減ったと担当者も喜んでいます。今までより講座自体の認知度も上がっています。
これ以降、LINEで手続きを行うことに迷う職員に対して「リーパスではこんなことあったよ!」と具体的な変化を伝えることができる成功体験となりました。
<運用開始までの流れ>
運用開始までの流れをご説明します。1年ほど前にBot Expressと契約をし、10月後半に職員向けに説明会を実施しました。LINEでできることを各課で検討いただきつつ、こちらからも担当に打診するなどして、構築を進めてきました。市によって、考え方が異なるかと思いますが、古賀市では「いきなり完璧な状態で始めるのではなくやりながら拡げていこう」ということで現在に至っています。
<機能公開までの流れ>
古賀市での現在の体制をご紹介します。全体調整とメッセージ配信を経営支援課、アンケート等の構築をデジタル推進課が行うという2名体制で進めています。
各課より、メッセージ配信の依頼が入ってきた時に、電話申し込みになってしまっているときには「LINEで申込しないか?」と打診し、LINE移行を促しています。各課には申込内容をシートに記入してもらいますが、この段階では住所やメールアドレスや電話番号等をヒアリングする形で構築依頼がきます。LINE申込の場合はそれらの情報を聞く必要がないので、アドバイスを行い、より簡単なものにしていきます。実装は1日で出来たりしますので、デモ画面を見ながら最終調整を行い、メッセージ配信で住民にお知らせしています。
<今後の展望>
現在構築中のメニューは、スライドの通りです。来月開催のコンサートの応募、祭りで各エリアを回ってポイントを貯めてもらい、抽選でプレゼントをする企画などがあります。さらに「こがそだつLINE」という取り組みで、子育てメニューの拡充を進めていく予定です。今後は、LINE上で決済まで完結する機能やJPKIの拡充、LINEスタンプの販売もできたらいいなと考えているところです。
インターン学生がスマホ教室のコンテンツを作ってくれました。公民館などで高齢者に向けてスマホ教室を開催する際に、この教材を用い、LINEでできることを体験してもらう予定です。意外と難しくないことをご理解いただいて、LINEでの申し込みに移行を促したいと考えています。QRコードを読み取っていただければ、どなたでも体験できますので、よろしければお試しください。
<これから>
担当課から上がってくる相談の中で、他の市ではまだ実装されていないことがあったとしても「でもやれるんでしょ?」といわれて、こちらがびっくりします。機能拡張に向けて、Bot Expressが開催するセミナーに参加して事例を学んだり、パートナーサクセスマネージャーと相談しながら、取り組んでいるところです。
最後に
Bot Expressは、官公庁に特化したシステム開発会社として、住民の行動変容を起こすサービス開発を目指しています。そして、自治体職員自らサービスを開発できる状態となることも目標の一つです。
自治体のDX化は、優れたシステムがあるだけでは実現しません。GovTech Expressのパートナー自治体の現場は、試行錯誤の繰り返しです。試行錯誤する中で、他のエリアの自治体職員であったとしても、同じ悩みを持つ仲間の成功事例や工夫を知ることが推進力につながると考えています。
自治体が実装した機能はテンプレートとしてシェア
DX推進の企画の立て方、進め方、実装の工夫、結果をセミナーで共有
各領域ごとの優れた取り組みをまとめた事例BOOKや、庁内調整に活用できるCASE STUDYを配付
Bot Expressはパートナー自治体の皆様のご協力のもと、さまざまな手段でスマホ市役所の実現を支援しています。
Bot Express、そして、190を超えるGovTech Expressパートナー自治体の皆様と共に、住民利用率・住民満足度の高い、愛される行政サービスを作りませんか。
導入に関するご相談は常時受け付けています。セミナーのプレゼンスライド、事例BOOKやCASE STUDYの送付を希望される方は、お問い合わせよりご連絡ください。
長岡京市井手様、福山市曽根様、古賀市横山様、ありがとうございました!現地でお会いした皆様も、ご参加いただきありがとうございました。