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【兵庫県明石市】LINE申請率95%の出産子育て応援給付金、デジタル送金により最短4日で給付。高い住民利用率で職員負担も軽減

明石市では、追加費用のかからないサブスクリプションサービス「GovTech Express」を活用し、LINEを通じて出産・子育て応援給付金の申請を行うことができるようになりました。申請受付後の送金も通常の口座振込に加えセブン銀行ATMでの受け取りも可能なため、金融機関の口座を持たない市民にも速やかな給付金の支給が実現しています。


1. 自治体概要

人口:306,505人(2025年1月1日現在)
LINE友だち登録者数: 5,971人(2025年1月1日現在)
アカウント名:明石市
LINE ID:@akashicity
LINEのトーク上で完結する手続き:出産応援給付金の申請、子育て応援給付金の申請、海岸の通報、公園の通報、道路の通報、ごみ収集日通知、ごみ分別検索、受信設定

2. 取り組み

出産・子育て応援給付金とは、妊娠届出をした妊婦及び出生児童の保護者(養育者)に対して、出産育児関連用品の購入費や子育て支援サービスの利用負担を軽減することを目的とした給付制度です。

明石市の人口1,000人当たりの出生率は8.9(令和5年)と、全国平均の6.0(令和5年)を上回っており、出産応援金だけでも200~300人ほどの対象者がいます。子育て応援金対象者を合わせると毎月400~500人の対象者がいる中、多数の申請者への迅速な給付金支給と、金融機関の口座を持たない市民への対応、さらに申請手続きの簡素化と利便性向上が課題として挙げられていました。

3. 特徴

先述の課題に対し、明石市ではLINEを活用した申請システムの導入によって手続きのデジタル化を進め、セブン銀行ATMでの受け取り対応により給付方法を多様化しました。また、契約から運用開始まで2.5ヶ月と短期間で実現しています。

3つの申請方法から選択可能

従来は、別Webシステムによるオンライン申請と紙媒体での申請を受付けていましたが、2024年10月からは新たにLINEからの申請も可能となりました。なお、現在は別Webシステムでの申請受付は終了し、以下の3つの方法から申請方法を選択いただけます。

・LINEでの申請(GovTech Express)
・対話型Webフォームでの申請(GovTech Express)
・紙媒体での申請

また、対話型WebフォームとLINEからの申請データは、いずれもGovTech Express上で一元管理されます。これによりレポート作成や申請状況の把握が効率化されます。

対話型Webフォームからの申請画面。LINEからの申請と同様に1問1答形式での申請が可能。

セブン銀行ATMでの受取りが可能

給付金は、従来の口座振込に加え、セブン銀行ATMでも受け取ることができます。これにより、金融機関の口座を持たない市民でも迅速に給付金を受け取ることが可能となりました。

決定通知とセブン銀行送金のお知らせ

二重申請にならないための仕組みづくり

今回、事前にデータベースに登録している方を対象として申請を受け付けしており、申請した方のデータベースには自動で申請済みのフラグがつくような仕組みを構築されております。この仕組みとしたことで二重申請を防ぐことが可能となり、担当職員の書類確認時間を大幅に削減することが実現しました。

4. 結果

市民に馴染みのあるLINEからの申請が95%と圧倒的多数を占めています。LINEを利用されない方のために対話型Webフォームでのオンライン申請も可能としており、利用者それぞれに適した申請方法を選択いただけるようになっています。

また、LINEおよび対話型WebフォームはGovTech Expressを利用した申請となっており、合わせると99.6%がGovTech Expressを通じての申請となっています。

<申請比率>
LINEからの申請:95%
対話型Webフォームからの申請:4.6%
紙からの申請:0.4%

ツール別申請比率

また、申請から給付までの期間は従来の1ヶ月程度に比べ、セブン銀行ATMでの受け取りの場合は平均5.7日と大幅に短縮されています。最短で4日での給付も可能となりました。

5.職員の声

右から子育て支援室長 勝見様、こども政策課長 福井様、係長 島田様、事務職員 奥田様

これまでは別のオンライン申請プラットフォームで給付金の申請を受け付けていましたが、市民の皆様にも馴染みのあるLINEから給付金を申請できるようになったことで、気軽に申請手続きをしていただけているようで、申請書類を発送してから申請を受け付けるまでの期間が大幅に短くなったと感じています。オンライン申請ができない方に対しては、引き続き郵送による申請も受け付けていますが、LINE申請開始後、郵送による申請はほぼなくなりました。また、申請時に口座振込だけでなくATM受取方式を選択できるようになり、申請者本人が金融機関の口座を持っていなくても、委任状等を徴収する手間なく、最短4日で給付金を給付できるようになりました。この仕組みは業務の効率化や市民の利便性向上に繋がるだけでなく、支援を必要とする方へ迅速に経済的支援を届けることができる有効な手段でもあります。誰もが安心して子どもを生み育てることができる社会の実現を目指し、今後も既存の運用方法に捉われることのない取り組みを続けていきたいです。

6.さいごに

給付金は通常、申請から受け取りまでに1か月程度を要しますが、明石市では今回の取り組みにより、多数の申請に対しても効率的な給付を実現しています。特に、セブン銀行ATMでの受け取り選択肢を導入したことで、最短4日での給付が可能となりました。さらに、郵送や窓口での申請が不要となったため、申請のために住民が足を運ぶ必要がなくなり、住民負担が大幅に軽減されました。
この取り組みは、人口規模の大きい明石市に限らず、1万人未満の小規模自治体を含む、様々な自治体で実施可能なものです。多忙な子育て世帯の負担軽減のため、他の自治体でもこのような取り組みが広がることを期待しています。


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