【長崎県五島市】GovTech Expressで給付金の審査業務効率化を実現
五島市では、5月10日(五島の日)から子育ての面談予約が、6月12日から出産・子育て応援給付金の申請手続きがLINEからできるようになります。
今回は適切な申請のみ受付け、かつより少ない工数で審査をするということに注力した給付金手続きの裏側を紹介します!
自治体概要
手続き概要
全国の自治体で実施されているためご存知の方も多いかもしれませんが、対象者に子育てに関する給付金を支給するというもので、対象となる方については、いくつか条件があります。
例えば、出産応援給付金であれば、「令和3年度妊娠届出している方で、令和4年4月1日以降に出産した方、令和4年4月1日以降に妊娠届出をした方」が対象者になり、紙による申請の場合、そもそも母子手帳番号等入力された情報に誤りがないかや対象者かどうか等を目視で審査する必要があります(五島市のHP)。
工夫した点・特徴
GovTech Expressでは参照や数式、フローという機能を用いることで、確認や判定などの業務を自動化し、以下のような効率化を行うことができます。
1. 対象者の申請のみ受け付ける
✅仕組み
対象者の情報(母子手帳番号、氏名、氏名カナ、生年月日)を取り込み、GovTech Express内にデータベースを作成。申請者が送信した「母子手帳番号」と「母子手帳に紐づく生年月日」がデータベースと一致するかを瞬時に自動判定します。
✅メリット
対象者データベースに該当がある場合のみ次の質問に進むことができるため、職員は申請後に申請者が対象者かどうかを審査する必要はありません。
2. 面談が実施済みであれば、予約を促す
✅仕組み
面談を実施しているかどうか判定する項目を用意し、チェックがない(未実施の方)については、面談予約を促すメッセージが送信されます。
✅メリット
給付金を受け取るためには、実際に面談を実施する必要がありますが、対象者自ら給付金の申請の過程で日時を入力すると、①対象者の入力工数が増える、②入力ミスのおそれがある、②職員が審査する情報が増えてしまうという懸念がありした。
今回の仕組み化により、上記3点は解消されます。
※まだ実施されていない場合、「このまま予約を行ってください」のメッセージが送信され面談予約へスムーズへ移行します。
3. 審査フェーズを管理
✅仕組み
申請ページに審査フェーズを選択肢から選べる項目を配置。記録を残すだけではなく例えば担当者A(初回審査担当)にはフェーズが初回審査の申請のみ管理画面に表示させる、担当者B(最終審査担当)には一次審査済みの申請のみ表示させることができます。
✅メリット
効率的にエスカレーションを行うことが可能でかつ自分が審査すべきものがひと目でわかります。
4. 口座名義と申請者が同一であることを自動チェック
✅仕組み
母子手帳番号に紐づく氏名カナを自動で口座名義カナの項目へ転記します。
※五島市の場合、トーク上で申請者と口座名義人が一致するか質問を行い、一致する場合のみ次の質問に進めるようになっています。
✅メリット
対象者と口座名義カナの一致を職員が目視で確認する必要はありません。
✅その他
五島市ではよく使われる金融機関情報についてデータベースを作成しています。対象者が金融機関を選択すると金融機関コードも引用することができるため、金融機関名が正しいかなどを審査対象から除くことができます。
なお、通帳などの画像の送信を必須にしているため、その他の情報については職員が審査を行います。
5. 重複申請は受け付けない
✅仕組み
申請が行われると、対象者データベースに自動で給付状況が入力され、この情報をもとに申請を受け付けて良い方か自動判定しています。
✅メリット
申請済にチェックが入っている対象者が再度申請を行おうとすると、申請済であることが分かるメッセージが送信され、手続きも終了します。そのため、申請が有効なものかの審査を行う工数を減らすことができます。
さいごに
特に給付金業務は申請の受付方法を便利にするだけではなく、審査業務の負荷をどう軽減するかということも同時に考慮して手続きを構築する必要がありますが、GovTech Expressを活用することで各自治体の運用に合った構築が可能です。
また、申請手続きでヒアリングしたお子様の生年月日情報から、幼児検診に関するお知らせを自動で配信することもできるため、自治体は妊娠期から子育て期の切れ目ない支援に繋げることもできます。
今回、参照や数式、フローを使った手続き構築に伴走しましたが、少しでも職員の業務負担が軽減され、制度の企画立案・ブラッシュアップにより多くの時間を割ける環境を実現できますように…という想いを込めた手続きになっています。
五島市の担当者の皆様、公開まで大変お疲れさまでした🎉(今回の記事の要約版PDFは【こちら】からダウンロードいただけます)
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