【愛知県豊田市】マイナポイント操作支援窓口への予約制導入(セミナーレポート)
2月28日「役所窓口の待ち時間ゼロへ。マイナポイント操作支援窓口への予約制導入」をテーマに、愛知県豊田市行政改革推進課 廣濱氏をお招きし「Bot Express Showcase 第10回」を開催しました。
自治体職員の管理画面もお見せするデモンストレーション含むアーカイブ動画と、ポイントを書き起こしたイベントレポートをお届けします。
1.事例紹介
豊田市の取り組み
働くとは?
まずは問題提起をさせてください。そもそも「働く」とは何なのか、を一緒に考えていきたいと思います。
「働く」=「端を楽に」というのが語源だと言われています。自分、周囲も含め、自治体で働く職員、窓口に来る住民を楽にするために動くことだと考えています。
例えば、1,000時間かかる事務作業があった時、来年も10年後も同じ時間だけかかると考えるのではなく、1時間でも効率化していくことが必要だと考えています。効率化を繰り返していけば、1,000時間かかっていたものが500時間、無人化することもありうると思います。
仕事をやることは変えられなくても、「いかに効率的にやるか」を考えることが、働くということなのではと思っています。
労働人口が減り、少子高齢化など社会課題が増える、税収が減る一方、支出が増える・・私たちはそういった課題を解決するために働かなければならない、と常に思っています。
どうあるべきか
現在は、本当に人間にしかできない業務ができていない状況です(住民の困り事を聞くなど)。システムに任せられる範囲をいかに増やしていくか、がDX、業務効率化として私達が取り組むべき問題だと思っています。そして、このシステムでできる部分を増やすために出会ったのが「GovTech Express」です。
市役所のあるべき姿とは、人間がやるべき業務と、システムがやるべき業務が完全に分かれている状態だと思います。システムに任せることで効率的に仕事ができ、人件費も削減できます。労働人口が減る今、こうした状態に近づくことで、市民も行政も互いに幸せな環境が作れるのではないかと思います。
▼Bot Expressを選んだ理由
1.サブスク定額
例えば50課が全てバラバラに動いた場合、一つ一つ予算要求をしなければならなかったり、システム連携が取れず、市民にとっても不都合な状況になります。しかし、手続きが増えても定額なので予算要求は不要、「すぐできる」ことで所管課の背中を押すことになります。さらに、他自治体の事例が横展開で簡単に導入できることも良い点だと思っています。
2.ノーコード
リッチメニューから最後までノーコードで作成できたことに感動しました。
「自分でやる、実践投入する」のが何よりの人材育成だと思っていますが、ノーコードなので全員参加で改善を進めることができます。
3.LINE完結のUI/UX
使い心地の良さです。県共通のシステムは10年以上使っていても、用意しても市民から申請があがってこない、職員もせっかく作ったのに申請されないとやる気を失ってしまう・・という負のスパイラルが起きていました。電子申請が使われることで現場のやる気が出るので、使い心地の良い、UI/UXに優れたシステムを導入しなければならないと思っていましたが、その点がLINEにマッチしていました。
4.LINEにデータが保存されない
豊田市では国が認証するクラウドISMAPを推奨しています。LINEがフロントですが、実際はISMAP対応のSalesforceにデータが蓄積されるので、LINE上にはデータが保存されません。
5.市民とLINEでコミュニケーション可能
例えば、補助金申請の際、添付が漏れていたり、写真が鮮明でない時、これまでは不備があったら電話しか確認手段がなく、日中電話しても繋がらないことが多い状況でした。LINEがあれば、直接LINEでやり取りできるので、電話による行き違いがなくなります。
また、友だち登録が増えることでプッシュ型の通知が有効に働くので、防災や採用などにも活用でき、顧客としてつながるので次の展開に広がると思います。
「書かない窓口」にも挑戦したいと思っていますが、スマホを持たない高齢者に対し、Web版を使用すればスマホと同じクラウド(salesforce)にデータを保存できるので、そういった点も良いところだと思っています。
▼デモ
マイナポイント操作支援窓口の予約
LINE予約の良い点の一つとして、当日の持ち物の案内が楽になりました。既存のシステムでは、書いてあっても気づかれないことがありましたが、フレックスメッセージで配信できるので、必要なものが一目瞭然に分かります。
画像で表示していますが、拡大できるので、「スマホで小さくて見づらい」ということもありません。これまでは電話で案内し、メモを取ってもらったいましたが、それも不要になりました。また、前日にリマインド通知をすることもできます。
<管理画面>
▼マイナポイント予約化の効果
・通常、システム導入には2ヶ月かかるイメージですが、実際にはわずか2週間でシステム実装が完了しました。
業者にお願いすることなく、自分の手で作り上げる喜びもありますし、本番環境でデモを行えるので、テスト環境から本番環境へ移行する・・といった緊張感やストレスもなく実装できます。
・スマホ作業が苦手な方を対象とした手続きですが、スマホを保有しない方も母数に含めて25%が使用しているというのは、驚異的だと思います。なお、電話受付でもsalesforce上に情報入力しているので、データ管理も一元化できました。
・3時間待ちだった窓口が、待ち時間ゼロを達成しました。
・私達が始めたことをきっかけに、他の部門でも興味を持ち始め、アンケートを取った結果、34所属、60個のアイデアが出てきました。LINEは職員にも住民にも使いやすく、理解しやすいので、これだけの反響が出たのだと思います。
2.質疑応答
回答は豊田市廣濱様。
Q:導入にあたり一番苦労した点は?
A:マイナポイントはもともと予約なしでスタートしていましたが、途中で予約ありにしたので、事前周知に苦労しました。しかしながら、システムには苦労せず楽しくできたので良かったと思います。
Q:Bot Expressに一言!
A:初めて使った時、感動しました。今まで非効率が当たり前だった(窓口に来ないと手続きできない)のが、ブレイクスルーをしてくれる、ゲームチェンジャーのような存在です。今後も既存の概念を壊していって欲しいです。
Q :予約制の中、LINEで25%とのことだが、残り75%の予約はどのように行っているか?
A:電話(コールセンター)です。
Q:予約していない方も受け付けているか?
A:元々予約なしの方で口コミが広がったこともあり、あくまでも予約優先、ということでどちらも受け付けています。
Q:3時間待ちの混雑があった中、予約制にした場合、5月末までに必要な支援は可能か?
A:さばいている量は3時間待ちの時と一緒で、予約が空いている時は予約なしの方を受け入れているので問題ないです。
1週間先まで予約が埋まっていても、それ以降は空いているというのが職員が把握できるので、(今後の業務量の)目処が立ちやすくなると思っています。
Q:窓口予約している人としない人の交通整理は?
A:予約なしと予約ありで担当者をそれぞれ用意していて、予約ありの方はファストパスのように先に案内しています。
Q:基幹システムと連携して欲しいという原課のニーズは?
A:「書かない窓口」実現のためのWeb版の連携はこれからなので、実装したらそういった問題が出てくるかも知れません。
Q:LINEの運用はどこまで原課に権限を与えているか?
A:協議を進めている段階で、今後どうするか検討中です。
Q:子育て応援給付金等にもLINEを使用するか?
A:はい、利用する予定です。特に今の両親世代はLINEを使っているので、特に馴染みやすいと思います。
Q:アカウントを保有している課は?
A:今は1部門で、全体は15アカウント用意しています。優先順位をつけてどこから取り組むか検討しています。
Q:マイナポータルとの差別化は?
A:マイナポータルはマイナンバーカードを使うことが前提なので、今回のマイナポイント相談予約のように、マイナンバーカードを使用しないサービスには向いていません。
どちらでも使える仕組みが重要なので、GovTech Expressをメインに使うことを考えています。
Q:チャット形式は申請項目が多く、面倒ではないか?
A:Web版があるので、入力項目が多くて大変だと感じる時は、そちらを使用すれば良いので(LINEでありながらWebページを立ち上げることができる)、問題ないと考えています。
3.「スマホ市役所」を実現するLINE拡張サービスGovTech Express紹介
Bot Expressの営業担当仁志出より、GovTech Expressについてご紹介しました。仁志出は前職の大津市役所で当社サービスを活用しており、利用者としての経験も豊富です。自治体職員目線でサービスについてお話しできますので、ぜひ気になる点があればお気軽にお問い合わせ下さい。
▼サービスの特徴
情報発信や手続等を行う単なるツールではなく、「スマホ市役所」というオンライン窓口を実現できるのが当社のGovTech Expressです。
1.説明書がいらないIT
一問一答の対話型で分かりやすく、LINEのトーク内で全てが完結します。
2.時間もコストも不要な双方向コミュニケーション
LINEでコミュニケーションをとり、申請の不備までLINEで完結。セグメント配信も可能です。
3.LINE、Web、電話で利用可能(Web、電話は2022年度中に提供予定)
住民の誰一人も取りこぼすことのないサービスを提供可能です。
4.自治体職員が開発
実現したいサービスをすぐ実装、各種助成金や国の方針の変化などに柔軟な対応が可能で、専用アプリのダウンロードは必要ありません。マイナンバーカードを利用した手続きがLINEで完結できます。
5.全国でシェア
他自治体で使用しているサービスはすべて利用可能。追加費用なく新機能が利用できます。メール連携や園児チェックイン機能など新機能を拡充しています。
▼スマホ市役所による住民の行動変化を促すサービス
GovTech Expressは、いかに住民に使われるサービスになるかを重要視しています。7割がマイナンバーカードをLINEで受取予約(福山市)満足度98%のマイナンバーカードを使った手続き(魚津市)など、住民にも職員にも高い評価をいただいているツールとなっています。
▼住民票申請のデモ
こちらのレポートをご参照下さい(魚津市、福山市事例)。