【千葉県我孫子市】給付決定書を自動作成し、LINEで住民にデジタル通知する仕組み。利便性向上と職員負担軽減の両方を実現
2020年に作成された「政府CIO補佐官等ディスカッションペーパー」によると、自治体からの通知物の連絡手段である登録された住所への郵送や窓口での手渡し等は、処理や郵送に時間を要することや紛失リスクがあることが指摘されています。
今回紹介する我孫子市の取り組みは、申請をオンラインで受付できるようにするだけではなく、通知物を送るプロセスもデジタル化し、住民がより早く、より便利に通知を受け取ることを可能にしました。
1.自治体概要
2.取り組み
住民からの申請に対し、所定の様式で通知物を郵送している自治体は多いと思いますが、我孫子市では2023年9月から一部の行政手続きについて、LINEから申請された場合、紙ではなく自治体公式アカウント経由で申請者のLINEに通知内容を知らせるPDFリンクを送っています。
この機能はBot Expressでは帳票出力と呼んでいますが、当該PDFリンクをタップすると紙で受け取るものと同様に要綱等で定められた正式な様式にそったPDFが表示されます。このとき表示されたPDFはスマホにダウンロードすることもできます。
なお、現時点で対象となった手続きは、下記の5つです。
・定額減税補足給付金申請
・子どもみんなの給付金
・ヘルメット補助金申請
・駐輪場の利用申請
・あびっ子クラブ利用申請(放課後子ども教室の利用申請)
3.工夫
帳票出力のメリットは、単にトーク上にPDFリンクを送信することではありません。トーク上から送信された氏名などの各情報が格納される項目を差し込み項目として使うことで、申請者が送信した情報を管理画面外に出力することなく、そのまま所定の様式に落とし込み、PDFリンクの作成を行うことができる点にあります。
そのため、申請内容の確認以外に職員が必要な作業は、事前に差し込み項目を配置したエクセルフォーマットを用意し管理画面に取り込むだけでOKです。
なお、GovTech ExpressであればLINEを使って自治体と市民が双方向のやりとりを行うことも可能です。申請をオンラインで受け付けられるようにするだけではなく、入力不備があれば職員は申請者のトーク上に質問を送信できますし、申請者はトーク上から回答を送信することができるため、双方が電話によるコミュニケーションをとることは原則不要となります。
4.結果
定額減税補足給付金申請等の5つの手続きに関して、合計で約18,300件もの申請に対する通知をデジタル化、ペーパレス化することで下記のような結果を生むことができました。
オンラインによる申請と帳票出力の組み合わせにより即時伝達が可能になり、さらにスピーディーな行政サービスを実現できたといえますが、LINE申請に満足している利用者は全体の86.5%、帳票出力を使用したデジタル通知物に満足している方は全体の79%という結果が出ています。
また、上記のような定量的な変化に加え、紙媒体で通知を受け取らなくなったことについて、市民からはポジティブなコメントが寄せられています。
5.コメント
我孫子市デジタル戦略室 藤田様
我孫子市担当のパートナーサクセスマネージャー淺田
6.さいごに
皆さんは、家の郵便ポストって毎日見ていますか?私はポストは毎日見ませんが、LINEは毎日見ています。
通知物は紙で来るもの。それが当たり前だと思っていた私にとって、我孫子市の取り組みは、通知物の確認のためにポストを見なくて良くなるという点でとても画期的だと思いました。
出張や旅行、帰省で家を長期に不在にするときも、LINEで通知を受け取れるのであれば、ソワソワしなくて済みますよね。
頻繁に使わないアプリのダウンロードやID・パスワードの設定をしなくても、安全により早くより便利に通知を受け取る帳票出力の仕組みはGovTech Express導入自治体であれば追加費用なく利用いただくことができます。
自治体と双方向のやり取りができるということは友だち追加の十分な動機になると思うので、「LINE公式アカウントの友だちを増やしたい!」という自治体も是非、この機能を活用いただければと思います。
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