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【千葉県我孫子市】給付決定書を自動作成し、LINEで住民にデジタル通知する仕組み。利便性向上と職員負担軽減の両方を実現

2020年に作成された「政府CIO補佐官等ディスカッションペーパー」によると、自治体からの通知物の連絡手段である登録された住所への郵送や窓口での手渡し等は、処理や郵送に時間を要することや紛失リスクがあることが指摘されています。

今回紹介する我孫子市の取り組みは、申請をオンラインで受付できるようにするだけではなく、通知物を送るプロセスもデジタル化し、住民がより早く、より便利に通知を受け取ることを可能にしました。

決定通知のお知らせをLINEで受け取ることができます

1.自治体概要

人口:131.152人(2024年3月1日時点)(我孫子市HPより
友だち登録者数:33,260人(2024年12月23日時点)
LINEのトーク上で完結する手続き:自転車乗車用ヘルメット購入費補助金の申請、あびっ子クラブ利用許可申請、自転車駐車場定期使用申請、文芸だよりの投稿、ふれあいキャンプ場の使用予約、おくやみコーナーの予約、ウェルカムベビー学級の予約、公立保育園の欠席連絡、子ども・子育て相談窓口
LINE ID:@abiko_city

2.取り組み

住民からの申請に対し、所定の様式で通知物を郵送している自治体は多いと思いますが、我孫子市では2023年9月から一部の行政手続きについて、LINEから申請された場合、紙ではなく自治体公式アカウント経由で申請者のLINEに通知内容を知らせるPDFリンクを送っています。

この機能はBot Expressでは帳票出力と呼んでいますが、当該PDFリンクをタップすると紙で受け取るものと同様に要綱等で定められた正式な様式にそったPDFが表示されます。このとき表示されたPDFはスマホにダウンロードすることもできます。

なお、現時点で対象となった手続きは、下記の5つです。
・定額減税補足給付金申請
・子どもみんなの給付金
・ヘルメット補助金申請
・駐輪場の利用申請
・あびっ子クラブ利用申請(放課後子ども教室の利用申請)

①決定通知のお知らせ→②リンクが通知→③通知内容が表示

3.工夫

帳票出力のメリットは、単にトーク上にPDFリンクを送信することではありません。トーク上から送信された氏名などの各情報が格納される項目を差し込み項目として使うことで、申請者が送信した情報を管理画面外に出力することなく、そのまま所定の様式に落とし込み、PDFリンクの作成を行うことができる点にあります。

そのため、申請内容の確認以外に職員が必要な作業は、事前に差し込み項目を配置したエクセルフォーマットを用意し管理画面に取り込むだけでOKです。

なお、GovTech ExpressであればLINEを使って自治体と市民が双方向のやりとりを行うことも可能です。申請をオンラインで受け付けられるようにするだけではなく、入力不備があれば職員は申請者のトーク上に質問を送信できますし、申請者はトーク上から回答を送信することができるため、双方が電話によるコミュニケーションをとることは原則不要となります。

差し込み項目を挿入した決定通知書の様式。和暦の表記も可能です。

4.結果

定額減税補足給付金申請等の5つの手続きに関して、合計で約18,300件もの申請に対する通知をデジタル化、ペーパレス化することで下記のような結果を生むことができました。

印刷〜封入の作業時間やコストを削減することができました

オンラインによる申請と帳票出力の組み合わせにより即時伝達が可能になり、さらにスピーディーな行政サービスを実現できたといえますが、LINE申請に満足している利用者は全体の86.5%、帳票出力を使用したデジタル通知物に満足している方は全体の79%という結果が出ています。

また、上記のような定量的な変化に加え、紙媒体で通知を受け取らなくなったことについて、市民からはポジティブなコメントが寄せられています。

◼️ 市民からの声
• 紙媒体だと紛失や手元に届いて確認するまでに時間がかかるが携帯だとすぐに確認できて良かったです
• 紙の保管をしなくて済む
• すぐ確認できるし、ペーパーレスの方が不要になった時にゴミにならなくていいと思いました。
• 紙がなくて、開封や保管の必要がない
• あとから探しやすくて良いです

5.コメント

我孫子市デジタル戦略室 藤田様

通知物をデジタル化したことにより、市民はいつでもどこでもスマートフォンで通知内容を確認でき、必要な場合はダウンロードして保存することも可能となりました。

紙媒体の通知を受け取る手間や時間がなくなり、紛失や保管のリスクもなくなったことで、今まで以上に、市民の利便性が向上したと実感しています。

今後は、通知物のデジタル化を含め、GovTechExpressで実装可能なあらゆるサービスを増やしていくことにより、市民サービスの充実を図るとともに、業務所管課の職員の業務効率化に繋げていき、市全体のデジタル化を推進していきます 。

我孫子市担当のパートナーサクセスマネージャー淺田

 

今回紹介した帳票出力は、我孫子市と当社のエンジニアも一丸となり開発した機能になりますが、この機能は例えば施設の利用者が利用許可通知書をスマホで提示できるようにすることも可能ですし、様々なシーンで活用いただけるものになっているので、多くの自治体で活用いただけると嬉しいです。

我孫子市は約1,300人いる全職員がGovTech Expressユーザとなり、市民の利便性向上だけではなく、職員の業務効率化、負担軽減も目指してシステムを利用していますが、今後も住民の「ありがとう」が聞こえるオンライン行政サービスが我孫子市で増えていくことを期待しています。

6.さいごに

皆さんは、家の郵便ポストって毎日見ていますか?私はポストは毎日見ませんが、LINEは毎日見ています。

通知物は紙で来るもの。それが当たり前だと思っていた私にとって、我孫子市の取り組みは、通知物の確認のためにポストを見なくて良くなるという点でとても画期的だと思いました。

出張や旅行、帰省で家を長期に不在にするときも、LINEで通知を受け取れるのであれば、ソワソワしなくて済みますよね。

頻繁に使わないアプリのダウンロードやID・パスワードの設定をしなくても、安全により早くより便利に通知を受け取る帳票出力の仕組みはGovTech Express導入自治体であれば追加費用なく利用いただくことができます。

自治体と双方向のやり取りができるということは友だち追加の十分な動機になると思うので、「LINE公式アカウントの友だちを増やしたい!」という自治体も是非、この機能を活用いただければと思います。


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